adieu 〔勝手にコラボ〕
adieu(上白石萌歌さん)の「よるのあと」のあとを描いた物語です。
朝が始まる
大きな嘘をついていました
そう残して彼は去った。
そうして、わたしは小さなクマになった。暗い森の中を進んで行くと、小屋を見つけた。中には奇妙な形の帽子をかぶった魔女がいて、オマエさんの心には遊びが足りない、だから相手を苦しめる、森で遊んでくるといいと言われた。仕方なく森を歩いていると、足が沈んで、森に根を張った。わたしの森深くでは、木々の葉を殴るように雨が降っていた。梢には、くすぐるような風が吹き、口のまわりについたご飯粒のように虫が樹皮にとまった。森の広場にはキツネさん、タヌキさん、小さなクマさんがいた。焚火のまわりをドンチャン、ドンチャン、踊っていた。キツネさんとタヌキさんに誘われて、踊ったことのないクマさんも踊る。クマさんも楽しそう。みんなで泣いた。ほとばしる、愛の踊りだ。空がだんだん明るくなって、魔女の奇妙な声が聞こえた。
ヒトになっていた。ベッドから起き上がる。これから、わたしの青い朝が始まる。
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