小説を読まなくなった、そして再び③夏目漱石
『蛇』ー 「永日小品」より 夏目漱石 著
(本書より紹介)
近代日本を代表する文豪。以下有名なので省く。…(略)本編は明治四十二年(1909年)大阪と東京の朝日新聞に掲載された『永日小品』の一篇(一月十四日掲載)。
名高い『夢十夜』(1908年)の流れを汲む小品だが、夢という仮構に依らない怪奇の迫真性には、内田百閒の先駆をなす鬼気が漂う。なお、作中の「貴王(きおう)」とは、小泉八雲旧居にもほど近い、東京大久保の鬼王(きおう)神社を指す由。
(あらすじ)
雨降る中で、魚捕りをしていた叔父さんと甥っ子が聞いた声。
甥っ子は叔父さんの声だと思ったが、叔父さんは誰の声だかよく分からないという。うなぎだと思って引き上げたのが、蛇だった。
網を陸にはね返るようにして、向こうの土手に落ちた。
と思うと、草の中からむくりと鎌首を一尺ばかり持ち上げた。そうして持ち上げたままキッと二人を見た。「覚えてろ」。
今でも叔父にこの話をする度に、誰だかよく分からないと答えては妙な顔をする。という話である。
(感想)
なんとも短くて、あっという間に話が終わってしまう。これもまた感想を書くことが難しい…。小説というより小話のような作品だった。
蛇は日本神道では、神の使いとか化身扱いになっているけどねえ…。私は、実際の蛇と神の使いは別物だと思っていて、似ているけど違うっていう。象徴と実物の差。
神秘主義者は「似ているものは同じと見なす」という解釈をしているけれど。
ま、神ではないよね、この話でいえば。なんて言ったって捨て台詞を吐いているのだから。