見出し画像

アリゾナ州 フラッグスタッフ Flagstaff Arizona

日本人観光客にはあまり旅行先としては知られていない観光地を紹介します。フラッグスタッフという街の名前は聞いたことがあるでしょうか。おそらくグランドキャニオン観光に行った方ならなんとなく記憶に残っている街かも知れません。
フラッグスタッフは、グランドキャニオンのゲートシティとしては知られています。グランドキャニオン内に宿を予約できない時は、この街に宿泊することがおおいからです。しかし殆どの観光客はこの街を素通りしてしまうのです。それは、世界的に有名なグランドキャニオンを目指してきているからです。この街自体に興味を抱く観光客は少ないと言えます。

今回は、そんなちょっと可哀想な街の魅力をいくつかのトピックにわけて紹介します。この記事を読んで、次回グランドキャニオンやグランドサークル、ルート66観光をするときに立ち寄ってみてください。今のアメリカの日常が見えてくるはずです。


宿場町として

フラッグスタッフへのアクセスですが、ロサンゼルスからは車で7時間、ラスベガスからは5時間程度です。フェニックスからは2時間です。空港もありますが車でのアクセスが一般的です。
この街は、もともと宿場街として発展してきました。実は今もその機能は変わっていません。
1880年代、この街は林業・羊毛・肉牛などの流通の要になりました。東にあるアルバカーキと西にあるカリフォルニア、南にあるフェニックスを結ぶ街道の宿場町として適した場所であったため発展を続けました。
その後、シカゴからロサンゼルスまでアメリカ大陸を横断するルート66が開通すると、フラッグスタッフは大きく発展していきます。そしてモータリゼーションの到来により、この街には沢山の人々が宿泊地として人が訪れるようになりました。
フラッッグスタッフには、早くから鉄道も通っていたため街は安定して発展し続けました。
現在は、アメリカの東西を結ぶ高速道路40号線の宿場町、そしてグランドキャニオンの宿場町として繁栄しています。

若者の街

フラッグスタッフの平均年齢は、なんと26.8歳です。これほどまでに若い理由は、いくつかあります。
まずこの街には北アリゾナ大学があり、学生が全米から移り住んでいます。そして、この街の魅力に触れ卒業後もそのまま街にとどまる若者が多いのです。
次の理由は、この街のある場所に関係しています。標高2,000mを越える高地にあるため、アウトドアスポーツが盛んです。夏はトレッキング、釣り、冬はスキーなど、若者が楽しめる自然を相手にした遊びが沢山提供されているのです。オリンピック選手など若いアスリートの練習拠点としても人気があります。
そして、緑豊かな町並みや景色も大きな魅力です。逆に冬の寒さや雪かきを嫌って老人は暖かい地へと引っ越してしまいます。
こうして高学歴でアクティブな若者が集まることで、面白い現象が起きています。アリゾナは保守的で共和党が強い地域ですが、フラッグスタッフは民主的でリベラルな町として発展しています。そして治安はよく自然を大切に思う人々が、ひっそりと暮らしているのです。

フラッグスタッフ駅

鉄道の町

100年以上前にできた鉄道、鉄道の街としてのフラッグスタッフは今も健在です。この街にあるモーテルに泊まると驚くのは鉄道が昼夜問わずひっきりなしに走ることです。まるで東京都心の電車並みの頻度で列車が走っています。よく観察すると、それは旅客列車ではなく貨物列車です。旅人を乗せている列車は日に数本しか走っていません。有名なのはシカゴとロサンゼルスを結ぶアムトラック サウスウエスト・チーフ号です。殆どは、長い長い貨物列車なのです。フラッグスタッフを走る鉄道路線はアメリカの東西の交通の重要路線です。そのため、物資が行き来しているのです。
鉄道好きなら、駅付近で30分も見ているとおおくの列車を見ることができます。そこには、様々な物資が積まれているので、アメリカの物流事情を垣間見ることができます。
困るのは、法律で街に入る列車はホーンを鳴らすというルールがあることです。ホテルを町はずれに取ると部屋にいても大きな警笛の音を一晩中聞き続けることになります。もし警笛を聞きたくない場合は、できるだけ線路から離れたホテルに宿泊した方が良いと思います。

ダークスカイ・コミュニティ

フラッグスタッフには、天文学者パーシヴァル・ローウェルが設立したローウェル天文台があります。高地で空気が澄んでいるため星が奇麗に見えます。街では、夜間の無駄な点灯をやめ、夜空を大切にする運動を行っています。なので、夜になると街は真っ暗になります。必要な照明は赤く点灯しているので、なんとも幻想的な夜景です。
街の中心から外れると、我々が生活していると見ることのできない美しい星空を見ることができます。あまりの星の数に驚き感動します。よく見ると天の川は勿論、人工衛星までよく見えます。フラッグスタッフに行ったら是非この夜景を楽しんでみてください。

大自然の中にある街

ノンチェーン・レストランを大切にする町

フラッグスタッフはリベラルな街なので、中心街にある店も他の都市とは変わっています。とにかくローカルビジネスを大切にしているのです。世界中にあるマクドナルドやデニーズもありますが、おおくの店は個人経営です。一見馴染みのない名前やロゴですが、店に入るとたくさんの人がのんびりとコーヒーを飲んだり食事をしています。我々日本人もすっかりチェーン店文化に浸って生活していますが、フラッグスタッフにある心の通った個人経営の店に入ると、文化の豊かさを実感できます。
フラッグスタッフに行ったら是非入ってほしい店をいくつか紹介します。

Macy's European Coffee House & Bakery
14 South Beaver St.
コーヒーがとてもおいしいです。

Altitudes Bar & Grill
813 West University Ave.
線路近くにあり、列車が通ると「TRAIN!」と騒ぐトレインショットが有名です。

Salsa BRAVA
2220 East Rt 66
928.779.5293
量が多いですが、とてもおいしいです。

The Cottage Place Restaurant
126 W. Cottage Ave.
928.774.8431
雰囲気の良いアメリカンダイナー。

Hiro Sushi Bar & Japanese Restaurant
1312 S. Plaza Way
928.226.8030
日本人経営の寿司屋。ただし日本人が寿司を握っているとは限らないです。

冬のフラッグスタッフ

宿泊地としての町

宿場町として発展してきたので、ホテルやモーテルはとても沢山あります。DAYS INNやQuality Innなどほぼ全てのチェーンが展開されています。
チェーン・ホテルは町の郊外にあります。おおくはルート40号の出口付近に集まっています。よっぽどのハイシーズンでない限り部屋は空いていると思って良いです。ただ夏場などは予約をお勧めします。というのも、もしフラッグスタッフに宿が取れない場合、隣町は遙か先です。車で3時間くらい走らないと次の宿は現れません。列車の汽笛がうるさいと思う方はEast Flagstaff周辺のモーテルは避けましょう。汽笛は本当にうるさいです。
お勧めは、個人経営のホテルです。
古くからある名物ホテルがこの町にはいくつもあります。ただこれら個人経営ホテルは人気があるので予約が必要です。

Little America Hotel
2515 East Butler Ave.
928.779.7900
古き良きアメリカのイメージが色濃く出ている素敵なホテルです。設備は新しく快適。

Hotel Monte Vista
100 N. S. San Fransisco
928.779.6971
町の中心にあり、目立つので直ぐわかります。ここには幽霊伝説があり、おおくのファンが訪れています。

ルート66の通る町

このnoteでも何度か紹介していますが、フラッグスタッフにはルート66が通っています。現在も名前が残っています。ルート66を旅する場合も、この町にお世話になるのです。シカゴから来ると、Gallup以来の大きな町となります。ギャラップから5時間以上に死に走ってきてフラッグスタッフの街を見るとホッとします。ロサンゼルスから走ってくると、懐かしい景色のルート66は、ここでいったん終わります。この先は何もない高地となりますので、フラッグスタッフで1泊することになるのです。

映画撮影地として

この町を何故かロバート・ゼメキス監督が気に入っているようです。そのためか「フォレスト・ガンプ」「キャスト・アウェイ」が撮影されています。そのほか「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」も撮影されています。どの映画も古き良きアメリカの面影をうまく切り取っています。

時代から取り残されたような懐かしいアメリカの町「フラッグスタッフ」。特に目玉となる観光地があるわけではないのです。でも、この町を1日かけてのんびり周り、ゆっくりとコーヒーを飲んだり食事をすると、他の都市では味わえないアメリカンライフを楽しめるはずです。


いいなと思ったら応援しよう!