見出し画像

大切にしたい時間と思い出。

時の海-東北タイム設定ワークショップに参加しての
感じた想いをちゃんと残しておきたいと思って。

「 時の海-東北 」プロジェクト

東日本大震災をきっかけに、現代美術家・宮島達男が犠牲者の鎮魂と震災の記憶の継承、そして、これからの東北の未来を共につくることを願い、東北に生きる人々、東北に想いを寄せる人々と協働しつくりあげるアートプロジェクトです。

「それは変化し続ける」「それはあらゆるものと関係を結ぶ」「それは永遠に続く」というコンセプトに基づき、生命の永遠性を象徴するLEDの数字カウンターを用いて、生と死、命について表現し続ける宮島達男は、本プロジェクトにおいて、3,000人の人々との関わりを拓きながら作品制作に取り組んでいます。

https://seaoftime.org

9から8に、8から7に・・・と
数字が変わる間の秒数を設定するのが、
このワークショップにおけるタイム設定である。

- わすれられない、102.0秒。


10月20日。
祖母の誕生日。

震災直後のことを思い返してみると、
いちばんに浮かんでくるのは祖母の姿。

地震が起きた直後、
幼稚園バスで帰る私を迎えに来てくれたこと。

車を停めようとしている時に地震が起きたから、
車が壊れたかと思ったって話をしてた。

余震が続く中、緊急地震速報が鳴るたび
こたつに隠れる私に「大丈夫」と言って
落ち着かせてくれたこと。

兄や従兄弟とリビングにいると、
手作りのポテトチップスを作ってくれたこと。

寝る前にラジオを聴きながら歌っていたこと。

特別な思い出があるわけではない。
たくさん思い出せるわけでもない。

ただ、不安だった時期に
ちょっといいふつうの日常があったのは、
祖母のおかげだと思う。


祖母は震災後すぐに亡くなった。
2年生になる前だった。
命日は覚えていない。

ただ、10月20日の誕生日だけは
ずっと忘れずにいる。

10月20日はいつも祖母を思い出す。

私にとって忘れられない日。

そんな思いから選んだ、102.0秒。


- この時間が大切で。

ワークショップ内で、
「忘れられない数字」と聞いたとき、
パッと浮かんだのがこの数字だった。

この数字が大切だ。この思い出が大切だ。
と、気づかせてくれた時間だった。

ワークショップを通して、
あの時の私を想う。

この作品を通じて、
私の想いが誰かに届く。
誰かの想いが私に届く。

今、目の前にいる人と過ごす時間も、
今、自分と向き合う時間も、
気づけていないだけで本当は、
すごく大切な時間なのかもしれない。

今過ぎていく時間が、
大切だったと思えるように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?