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【ニンジャけんきゅうぶん】物質界・エレメンタル世界の性質と、生命と世界構造の考察・第三章

(あらすじ:世界は物質界とエレメンタルの世界で成り立っている。エレメンタルの世界に満ちるエテルは、生物の魂とある程度互換性ある存在である。
ニンジャ、魔術師はそれらを精錬して神秘を行使し、ハッカーは自身の魂(エテル)を電子の世界、エレメンタルの世界に送り込むことが可能だ)



本論

第三章:デジ・プラーグの構造、意義と今後の展望

◇デジ・プラーグとは?◇

デジ・プラーグとは?2017年03月13日現在、判明しているデジ・プラーグの特徴は以下の通り。

・デジ・プラーグにはデジ・プラーグ1、デジ・プラーグ2が存在する。
・デジ・プラーグ1は魔術的に極めて重要。魔術的基盤が破壊されれば修復には十年百年がかかる。
・デジ・プラーグ2は電子的概念である。「無限遠」が1とそっくりそのままに開発した緑色のワイヤーフレーム世界。ゴーグルをかけて入る。
・コルヴェット曰く2は「飛翔(真実に近づくための魔術)の訓練に最適」
 →魔術を知らないコトブキ、マスラダも飛翔が出来た
・コルヴェット曰く2は「秘匿通話ができる」
 →オフラインの存在は入り込めない。また会話には会話参加者の承認が必要。招待制SNS、チャットルームのようなものか?
・コルヴェット曰く「本当に大切なのはデジ・プラーグ3」
 →研究には金が必要で、そこを投資家(エゾテリスム?デジケイター?)に付け込まれた。
・図に示すこともできる。

(ザイバツ・シャドーギルド#4より)

・エゾテリスム曰く「3は2よりも先にあった。オヒガンの一側面であり、コトダマ空間の一角である(が、呼び名はどうでもいい)」
・エゾテリスム曰く「3から2への電子干渉が出来る。3から2への電子干渉は、1へも影響を及ぼす」
・エゾテリスムは遠方で起こったオヒガン・ボム・テロで発生したエネルギーをサクリファイス・ジツで吸収できる。これはネットワークによるものである。


(ザイバツ・シャドーギルド#6より)

以上を基に、デジ・プラーグの構造と意義について考察する。

◇デジ・プラーグ1,3◇

まず、デジ・プラーグ1について考える。

都市そのものを「デジ・プラーグ」と表現することもあり、また、修復に長い時間がかかるという危惧がされている点から、「デジ・プラーグ1」は「魔術と機械によって作り上げられた、現実に物質として存在する都市」で間違いないだろう。「デジ」から察するに、エテルの計測、制御をする電子テック、エメツ技術によって強化されたプラーグだ。
デジ・プラーグが電子的、エテル的技術で作られた仮想空間や、劣化版のツール(例えば、ダイブが出来ないUNIXモニター上魔術シミュレートソフト)ならば破壊は危惧されない。この点からも、実世界に重要な仕掛けが施されている現実都市であることがわかる。

続いて、デジ・プラーグ3はデジ・プラーグ1のエレメンタルの世界である。
まず、エレメンタルの世界である点。これはエゾテリスムの「オヒガン、コトダマ、呼び名は何でもいい」発言から推察できる。
デジ・プラーグ3は電子空間の2以前からあった。これは当然である。物質界とともにエレメンタルの世界はあった。
3から2への電子干渉が可能。これはハッカーのコトダマ空間経由電子操作を思い出していただきたい。自身のソウル、意志を電気信号にして(エテル→電子変換して)、ハッカーは通信や操作を行う。それと同様に、エレメンタルの世界の3から電子空間の2への操作も可能なはずだ。
こうした一連の発言とも、3はエレメンタルの世界である仮説は矛盾しない。
さらに、3はあくまで「デジ・プラーグ3」である。コトダマ空間や魔術次元(≒エレメンタルの世界)と区別して語られている。このことから考えるに、デジ・プラーグ1(現実都市)と重なっているエレメンタルの世界を、特にデジ・プラーグ3と呼んでいると考えられる。地脈、龍脈や大気の流れ、あるいは木々や石、ビルにもエテルが含まれているのだろう。それの、特にデジ・プラーグ1に存在するものが3と呼ばれる。

◇デジ・プラーグ2を考える~オヒガン・ボム・テロを参考に~◇

ややこしいのがデジ・プラーグ2だ。現実都市デジ・プラーグを模倣して作り上げられた電子空間が「デジ・プラーグ2」だとされている。所謂VR空間である。ここでは、魔術の訓練や招待制チャットルームめいた会話が可能である。オンライン者とオフライン者の相互知覚不可能性からも、現実に電子処理を被せるARではないことは明白である。
魔術訓練、コトダマ空間めいた直観的チャットが可能である点から、2は「物質界」と「エレメンタルの世界」の特徴の両方を持っていることがわかる。

しかし、これはただの箱庭ではない。「3→2→1の干渉」がある以上、現実から完全に独立した仮想電子空間ではないことがわかる。
「遠隔オヒガン・ボム・テロ」と、それに関連するエゾテリスムの発言からデジ・プラーグ2の特徴を考える。

「遠隔オヒガン・ボム・テロ」にはウキハシ・ポータルの概念が使われている。つまり「エテルの地点間長距離・瞬間移動」を利用していると考えられる。
オヒガン・ボムについて、大量のエテルを生贄、媒体に送り込んで破壊するジツだと考察した。エテルを特定点に送り込む行為であるオヒガン・ボムとウキハシ・ポータル・メソッドの相性は極めていいと言えるだろう。おそらく、「沌」の漢字がポータルのポイントになっている。
デジ・プラーグのエゾテリスムがジツを発動し、オヒガンやエレメンタルの世界のエテルを支配・操作し、「沌」へ送り込む。「沌」の漢字を刻まれたアプレンティスは、大量のエテルに耐え切れず、爆発四散。
ここまでは、比較的容易に理解していただけるはずだ。

さて、問題は「現世干渉」である。デジ・プラーグで言うなら「2→1」の干渉だ。これは連載時、混乱していた方も多いのではないだろうか。デシケイター=サンも理解できていないようである。


(ザイバツ・シャドーギルド#6より。豪快でイイ)

この現世干渉について、一度第二章、ハッカーの活動の文脈で触れたことを思い出していただきたい。

さらに、「力強い注水」「特殊な水質の注水」によって、大本の「潮の経路や質」が変えられる場合もある。コトダマ空間の改変である。
個人のエゴによって、その領域の意識を支配することは、物質界においてもカリスマ、扇動などの名称で語られることがあるが、それをより強力に、剥き出しの意識に行っている。
ただし、集合的無意識と個人の意思は明確につながっているとは言い難く、コトダマ空間改変からのフィードバックで物質界の人間を支配することは困難あるいは不可能であろう

ここで筆者は、「ハッカーは自我エテルを用いてコトダマ空間を支配できる。ただし、コトダマ空間と特定個人は明確に繋がっていないので、現実世界の(コトダマ空間を構成する)人間を支配できない」と言っている。

では、デジ・プラーグはどうか?デジ・プラーグ1、2、3はそれぞれ「明確に繋がっている」。街の物理的構造から魔術的特徴まで、完全にリンクしている。マスラダ一行がデジ・プラーグ2に入ったときも、精神を1から2に飛ばしていた状態だ。1でゴーグルを被るマスラダとデジ・プラーグ2で飛翔するマスラダは地続きの同一人物なのだから。よって、デジ・プラーグ2から1への働きかけ方次第で、自我ある人間は不可能でも、構成要素である町、木々、機器は支配出来得ると考えられる。

それを踏まえて、遠隔オヒガン・ボム・テロに戻る。この事件の概要は以下の通りだと推察される。


1.デジ・プラーグ3=エレメンタルの世界からエテルを引き出す。
2.デジ・プラーグ2上の「沌」のマーキングへ向けて電子化しつつ飛ばし、爆破する。
3.デジ・プラーグ2上の「沌」とアプレンティスのソウルと、現実のムンバイの「沌」とアプレンティスのリンクを通じて、エテルが現実へ流入。現実でもオヒガン・ボムが発動し、街が吹き飛ぶ。
4.大量のエテルの発散、浸食により、現場にはエメツ鉱脈が出来る。
5.現場に残った生命力(エテル)はデジ・プラーグ2に反映される。それに対してサクリファイス・ジツを発動し、遠隔オヒガン・ボム発動と逆順を辿ってデジ・プラーグ1のエゾテリスムが力を得る。

恐らく本来のオヒガン・ボムは単なるマーキングへのエテル流入、爆破のジツだ。概要で言えば1→2で終わるジツだと思われる。それなのにエゾテリスムがこのような回りくどい行動をするのは何種類かの理由が考えられる。

まず「都を壊したくない」旨の発言。ここから考えると、本来オヒガン・ボムを発動させる際、オヒガンを開く側のエゾテリスム(あるいはその周囲)にも大きな被害が及ぶのではないか?それは物理的な破壊であるかもしれないし、エテル奔流が魔術的基盤を乱すのかもしれない。そういった破壊、ダメージを、2と3のレイヤーで仮想的にジツ行使することによって無効化していると考えられる。

第二に「オヒガン・ボムの射程の問題」。超長距離の遠隔テロをするのに当たって、ウキハシ・ポータルの方式を利用している。これは本来オヒガン・ボムが近距離の印にしかエテルを送り込めないためではないだろうか?だとすれば、国家間すらドア・トゥ・ドアとなるウキハシ・ポータルの理論、およびそうした「エテルの瞬間移動」が出来るデジ・プラーグ2は利用するほかないだろう。

第三に「企業軍に目をつけられないため」。以前にも触れたように、エレメンタルの世界である3と、ほぼVRの2は一般人には知覚できない。この非物質界レイヤーを利用し痕跡を残さず、事件現場の通常捜査による身元の発覚を防いでいるのではないだろうか。

閑話休題。

ともかく、デジ・プラーグ2の特徴として1,2間と2,3間のリンクが挙げられることが分かった。これは、エテルと電子の互換性が根本にあるものである。デジ・プラーグ2は電子空間でありながら、構成素材として本人、物質界のエテルを利用しているために現実への干渉可能性が発生した半現実世界である。

◇デジ・プラーグ2の意義◇

現実のデジ・プラーグを緑のグリッドで再現したデジ・プラーグ2では、エテルの変換による魔術を行使したり、思考と会話を物理タイピングなしで実現している。これは、「エテルの物理エネルギー変換」と「エテルの電子変換」を行っているが、ジツ、魔術やハッキングといった技術素養の有無を問わず可能にしている。つまり、デジ・プラーグ2ではエテル変換現象を電子的に擬似再現しているのだ。

類似した概念に、漫画作品「ワールドトリガー」に仮想戦闘システムというものがある。こちらも現実をコンピュータによって再現した仮想空間だ。
これを用い、主人公陣営は心身のダメージ、実際の死の危険なく、誰でも好きな時に好きなだけ好きな条件で訓練ができるようになった。一般的な他陣営が一日数時間、ダメージを気にしながらの現実訓練しかできないのに対し、主人公陣営は長時間、高密度の仮想訓練を行える。同時に、コンピュータによる記録、解析もできる
これによって、後進だったはずの主人公側が、先進陣営の強力な侵攻を食い止めることが出来た。

これと同様の効果がデジ・プラーグ2でも得られる。電子空間の中でエテル操作のコツを理解して、実世界ではマスターした状態で実践する。エテルの流れをデジタル化、可視化して管理しやすくする。この研究環境は、古参魔術師たちにとっても重大なインフラとなりうるだろう。

◇デジ・プラーグ2の開発背景の考察◇

さて、こうしたデジ・プラーグ2はコードロジスト、ジプシー・ウィッチと呼ばれる集団「無限遠」が作り出した。
彼女らは、いわば余所者の技師であり、本来魔術と関連がない存在である。なぜ彼女らがこれを作るに至ったのかを考察する。

今後明かされる可能性が高い部分であり、違ったら物笑いの種にしてくれればありがたい。もはや考察ではなく想像だ。

一度、「エテルの海」のたとえを思い出していただきたい。エレメンタルの世界(デジ・プラーグ3レイヤー)を「海」とすると、魔術師、ニンジャは「浄水・変換器」、ハッカーは「溶けない水滴」にして「海流支配者」だった。

行使者とハッカーは立ち位置が違う。「水を汲んで使う」か、「水になって泳ぐ」か。この違いだ。
では、彼らのどちらがより「エテル(海)について詳しい」だろうか?これは少し議論の余地が残るが、筆者はハッカーの方が詳しいと考える。なぜなら、ハッカーは「エテルの構成する世界そのもの(コトダマ空間≒エレメンタルの世界)に触る」ことが出来る上、「自身の魂の電子化(エテルの変換)」が出来ているからだ。

そのハッカーたちも、オフラインならばただの人だ。神秘の行使者には敵わない。理想を言えば、彼女らも神秘を使えたらいいのだが、ジツを行使するにはカラテ及び魂魄のエテル許容量が足りず、魔術は全て秘儀に包まれている。

そこで、魔術現象を仮想化・電子化したのがデジ・プラーグ2だ。魔術師ギルドの緩衝材の役をしながら情報を収集する。先述したノーコスト訓練などの利点を提示しつつ、また自身も訓練するなどしたかもしれない。そして集めた情報を利用し、電子空間デジ・プラーグ2を作り出す。メンバー内にコトダマ空間認識者がいたかもしれないし、コードロジストとして発掘した「過去の技術」にVR空間、AR技術の発想もあったかもしれない。
コードロジストの「自分ではなくウィルスを戦闘させる」スタイルは「自分ではなく儀式がエテル変換する」という魔術師のスタイルに通ずる部分があり、そこもデジ・プラーグ2の創出の助けとなったことだろう。

これによって齎された電子擬似エテルによっての訓練とエレメンタルの世界の体感で、魔術師たちはエテル、エレメンタルの世界についての理解を深めた。魔術師たちの実力向上も、無論重大なことだ。だが最も重要なファクターはデジ・プラーグ2が「半現実・半エレメンタルの世界」であることだろう。

魔術師たちは「真実を求め」、魔術を「真実に至る手段」として語ることがある。


(ザイバツ・シャドーギルド#5、同#6より)

彼らは魔術を「真実に至る手段」と言っている。魔術は「エテルを知覚し利用する」行為なので、魔術師が求める「真実」は「エレメンタルの世界にある」と考えらえる。そんな彼らにとって、たとえ電子仮想であってもリスクなくエテルに触れ、エレメンタルの世界で活動が出来るデジ・プラーグ2は「真実へ至る研究」に大きな足掛かりになるはずだ。故にこそ、魔術師ギルドは「無限遠」を介して協力し、手を取ったと言える。

哀れなるアプレンティスは「真実、神秘への接続」を求め、エゾテリスムは「ある意味ではそう」と哄笑した。これも「真実の一端であるエテルをエレメンタルの世界から注入する」オヒガン・ボムの媒体となることを考えれば、嘘は言っていないだろう。彼の体に真実が流れ込み、爆弾となったのだ。真実と似た名のエメツが彼の死後生まれたのは、余りにも皮肉だ。

一方開発した「無限遠」も、エテル制御をUNIX上で再現、分析し、仮想訓練を積むことで、魔術への到達がより容易になったと考えられる。物理世界での優位性と居場所を確保した。

こうして考えれば、デジ・プラーグ2はWin-Winの関係性によって製作されたと言えるだろう。

◇デジ・プラーグと今後◇

開発、普及したデジ・プラーグ2によって、魔術と物質界の垣根は低くなった。

ニンジャは高度な魔術を習得し、魔術師は「真実」の研究に没頭し、ハッカーは自衛の魔術を身に着け、また新たなテクノロジーを開発し、モータルですらゴーグルひとつで神秘に触れるようになる。

魔術師の秘儀は、その神秘性を失ったといってもいい。もちろん、手法を理解する人間が教えてこそではあるが、魔術的エテル操作を好きなだけ練習できる技術が確立されたことは大きな転換点である。

仮にこれが普及すれば、世界の情勢は変わる。魔術的、エテル変換的技術はテクノロジーの進歩に大きく寄与する。ウキハシ・ポータルめいた遠距離移動技術や、遠隔オヒガン・ボム・テロめいた新たな脅威が生まれるかもしれない。対抗するように、上から下まであらゆる人間が魔術、エテル認識を持つだろう。

物質界とエレメンタルの世界を繋いだデジ・プラーグ2は、文字通り世界を変える発明だった

◇付記 デジ・プラーグ3異聞◇

ザイバツ・シャドーギルド#6にてデジ・プラーグ3しんじつが明かされるまで考えていた構想を、せっかくなので記しておく。

1は「UNIXモニタ上の計算型魔術シミュレータ」
2は「都市ひとつを仮想再現した体感型魔術シミュレータ」
3は「世界すべてをエテル・電子変換した新たなる魔術世界」

デジ・プラーグ3に到達したとき、そこでは全人類が(デジ・プラーグ2と同様に)魔術を行使できる。エテルの扱いに慣れた魔術師が優位に立つ。
そして、それ以上に優位に立つのはハッカー、コードロジストだ。優秀な技術者がコトダマ空間やプログラムを書き換えるように、半電子半エテルの3では、彼らは現実(デジ・プラーグ3)のすべてを自在に書き換える支配者となる。

備えよう。


結論

物質界とエレメンタルの世界は、重なり合って存在し、同一化はしない。
しかし古来より、エレメンタルの世界の一部を汲み取って神秘を行使するものが存在していた。

時は進み、電子的仮想空間とはいえ、物質界とエレメンタルの世界が同一化することに成功した。それを間に噛ませることで、実際の世界同士もより強く結びついた。

世界が今まで保ってきた基本法則すらも崩れる。
これもまた、マッポーカリプスの一側面である。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

いかがだったでしょうか。
如何せんニュービーの戯言、お見苦しい部分も読みづらい部分も多々あったと思われます。それでなくても、note三本分。ここまで読んでいただけて感謝の言葉もありません。
これで少しばかりでも楽しんでいただけたなら幸いです。

では、オタッシャデ!

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 





◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

与太話 真実とは?

おまけパートである。

最後に、魔術師が求める「真実」についても触れる。デジ・プラーグ2によって到達の可能性があるのならば触れるべきだからだ。
なお、この項ではこちらの世界の哲学やメタ的な観点も使用する。

魔術師が求める「真実」は、エレメンタルの世界、つまり非物理的で時間の観念を超える場所にある。同時に、エテル(精神、思想)の中に見出す現象のため、単純な「最高の魔術(実験で見つけよ)」とか、「××年に起きたこと(物質界で調査せよ)」というものではないはずだ。彼らの求める「真実」は観念である。

「エメツ」がヘブライ語のエメト(emeth:真実)と似ることは、何度か記した。この類似は、エメツ・ニンジャの憑依者であるザ・ヴァーティゴが様々な真実を知っている点から、偶然とは思えない。やはり、エメツは「真実」である。
だが、だからと言って魔術師がエメツ鉱石を求めているわけではない
こともやはり明白だ。単純に鉱石を求めるだけならば、すでにエゾテリスムは真実に到達したことになる。デシケイター曰く、エゾテリスムはまだ研究をするらしい。
エメツはその成分や生成過程を研究することで、あるいは利用することで「真実」への手掛かり、足掛かりになるという程度に捉えるのが正しいだろう。

本論で魂、精神とそのエネルギーとしてきたエテルの語源は「エーテル」と同義でいいだろう。エーテル、アイテールは古代ギリシャの四元論において、「天上を満たすもの」「輝き続けるもの」「永遠なるもの(死せる地上の逆)」を意味した。これは物質界に対する「エレメンタルの世界」の特徴だ。

流石に、いくら魂(エテル)を得たからといってウキヨのシンジツ=サンは関係ないと思われる。

これらを纏めて考えると、魔術師が求める「真実」とは、「過去、現在、未来において遍在する、物理に縛られぬ概念」である。

ここで、二人の存在を考える。ザ・ヴァーティゴとリー・アラキだ。

ザ・ヴァーティゴは、本項でも触れたように「真実を知る」ニンジャだ。この真実が魔術師が求めるものかはわからないが、彼は真実を知っている。「キンカク・テンプル」についてもそうだし、「第四の壁と我々読者の存在」についてもそうだ。彼は真実を知っている。
つまり「ニンジャスレイヤー世界において我々読者の存在は世界の一部分である」ことは真実だととることもできる。このことは「読者からのお便りからエネルギー抽出をした」エピソードによって補強される。我々のお便り(思念)もザ・ヴァーティゴが引き出すに足るエテルを持っている=我々もあの世界の一部ということだ。

リー・アラキは、ニンジャ真実を研究する研究者である。彼は「ニンジャとは何か?」を研究する果てに、「シンギュラリティ(特異点)」なるものに辿り着いた。それは「存在せねば全て(の仮説)が成り立たぬ、全ての事象の先に立つ超ニンジャ存在」らしい。
「先」が「全ての原点(先手)」か「全てを超越する(前方)」かによってその存在特徴は変質するが、どちらにせよ「全てよりも上位」であることは確かだ。

ザ・ヴァーティゴの「第四の壁の真実」と、リー・アラキが考える「特異点」、そして魔術師が求める「物理、時間に縛られない天上の真実」。
これらを統合して考えられることは、「真実」とは「ボンド&モーゼスの存在」である。
彼らは「第四の壁のこちら側」で「全ての原点」かつ「全て、特に物理を超越」し「創造者」つまり天上の概念である。
純粋な「神、ブッダ」と置くこともできるが、その場合ザ・ヴァーティゴが第四の壁を認識することがおかしい。
エメツ鉱石、エレメンタルの世界を研究することによって世界の成り立ち、存在の形を研究し、異世界存在、我々の側から流入するエテルを認識することが出来れば、あるいはこの「真実」に辿り着くのかもしれない。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

オツカレサマドスエ!カラダニキヲツケテネ

 

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高梨蒼
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