アカシック・カフェ【二つの扉】
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その瞬間、表情は、はっきりと変わった。あからさまに変わった。ここまで変われば、どこまで朴念仁だろうと一目でわかるだろう……。表情を作るのが苦手な俺にとっては、いっそ羨ましいくらいにはっきりと、彼は落胆した。
「……あくまで過去、ですか」
「……えぇ。過去の真実。未来予知はできません」
あまりの顔色の変わり具合に、思わず説明を止めて数秒。他に誰もいない店内に、ぽつりと確認が来て、それに俺が返して、また数秒、沈黙。メインストリートから一本入ったこの店は、外界から切り離されているように静かだと表の客にも裏の客にも好評だ。けれど、それはつまり、いざ相談者が黙れば簡単に無音の膠着状態になるってことだ。こうなってしまうと、あまり強い誘導もしにくい。
参ったな、この手合いはちょっと久しぶりだぞ。俺はちらりと、向かいの席の苦々しげな相談者と、隣の席の気まずそうな永愛の顔をちらりと見比べて、俺は内心溜息を吐いた。
>>続く>>
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