かおのはなし
誰しもがあると信じている。
自分の顔で「もうちょっとこうだったらなぁ」っていうところ。
若い頃から気になっているところが、
口元がちょっとだけ「もっ」って出てるところ。
「もこっ」とまではいかない、「もっ」ってくらい。
他人からすれば言わなきゃわからない程度かもしれないけど。
これは母親譲りのところ。
自分の遺伝子を引き継がせた当の本人は、
子供の時からいつも私が真顔でぼーっとしてると
「口角上げて!ニコってしてたら目立たないから!ほらかわいい!」
といって微笑ませる。
「はぁ、今誰も見てないよぉ」と思いながら
にこっと微笑んでいた。
ここ最近年齢を重ねて気になるのが、
目元のクマの部分がぷくっと出てるところ。
これも母親譲り。
友人と美容医療の話題になったときに話したら、
「え、クマある?思ったことなかった!涙袋のことじゃなくて?」
と言われた。
わざわざこんな事でお世辞を言うような関係の友人でもないので、
「家の鏡で見るあのクマは外の世界では見えないのか...?!」
と不思議に思った。
「じゃあいいや。涙袋っていうことにしよ」とも思った。
同じ悩みを持っているであろう母親にも一度話してみた。
「ニコって笑ってたらなくなるよ!」
と言う返事。
「またか。なんとポジティブなの。」
と思ったけれど、
「え、私は母の教えにお利口に従って笑顔でいたから、友人にはコンプレックスが分からなかったのかもしれない」
そう思った時になんだか嬉しかった。
笑顔も(少しの)ポジティブさも
母親から譲り受けていたみたいだったから。