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【生誕110年傑作誕生佐藤忠良】神奈川県立近代美術館 葉山 #おすすめの美術図書
行ってまいりました。神奈川県立近代美術館 葉山館へ。
初の葉山ということで、小旅行気分でルンルン♪
企画展は、「生誕110年傑作誕生 佐藤忠良」。佐藤忠良といえば、私の中ではアレだな、って存じ上げておりましたが、作品はアレ以外ほぼみたことないな、と。
参加しているメンバーシップ「オトナの美術研究会」の6月のお題「おすすめの美術図書」と絡めて記事にしていきたいと思います。
神奈川県立近代美術館 葉山館とは
神奈川県立近代美術館は最初、鎌倉の鶴岡八幡宮境内に開館し、日本初の公立近代美術館として誕生。その後新館を増築、神奈川県立近代美術館は鎌倉館・鎌倉別館・葉山館の3館になり、2016年に鎌倉館が閉館してからは2館で展覧会を行なっている美術館だそうです。葉山館はJR線逗子駅もしくは京浜線逗子・葉山駅からバスで18分程度なので、近所でない限り公共交通機関だと小旅行感が出ます。首都圏で車持ちなら、広々駐車場53台あるので、車で行くのも良さそうです。
レストランから海が見渡せますし、ドリンクだけならテラスでのんびりできます。美術館の周りを潮騒をバックミュージックに歩きながら彫刻作品も堪能できましたよ。
佐藤忠良について❶
日本の具象彫刻を代表する作家、佐藤忠良(1912−2011)。フランス近代彫刻に魅せられ東京美術学校(現・東京藝術大学)で彫刻を学んだ佐藤は、新制作派協会(現・新制作協会)に参加し若手彫刻家として注目を集めます。従軍と過酷なシベリア抑留を経て復員した1948年以降は、社会における芸術の役割とは何か、なぜ人は人間の姿を描き作るのかを自らに問いながら、一貫して具象彫刻の道を歩みました。また、力強く現実感をたたえた素描力を生かし、絵本や挿絵の仕事でもその名を残しています。
おすすめの美術図書は
ここまで読んでいただいて、おすすめの美術図書は何か、って分かりましたでしょうか?
佐藤忠良の作品で、ロングセラー図書といえば、そう、『おおきなかぶ』です。
オススメするまでもないぐらい有名かもしれませんが、思い出した方には懐かしんでいただいて、知らなかった方には、へぇ、ほぅと言っていただけたら。
「おおきなかぶ」は様々なバージョンの絵本もあるし、小1の国語の教科書にも載ってるぐらいですから、国民的な童話ですね。数ある「おおきなかぶ」の中でも私は佐藤忠良 画、内田莉莎子 訳の『おおきなかぶ』には随分とお世話になりまして。我が子が2、3歳の頃から本当によく読みました。
佐藤忠良について❷
『おおきなかぶ』がおすすめ美術図書と打ち明けたところで、しつこくもう一度佐藤忠良のご紹介☟
1912年、宮城県に生まれた。ー中略ー1954年、第一回現代美術展賞を受賞。1958年、まねかれて中国、朝鮮を訪問。1960年、日本人の顔の連作に対して高村光太郎賞を受けた。1981年、パリのロダン美術館で、日本人として初めての個展。絵本には『おおきなかぶ』、童話のさし絵に『ビーバーの星』がある。
絵本の魅力
①全体的に簡潔な文章と「うんとこしょ、どっこいしょ」の繰り返しのリズム感
②散々抜けなかったかぶが最後に抜ける爽快感や達成感
③そして、挿絵の魅力
文章もね、絵もね、良いのですよ。
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「あまい、げんきのよい とてつもなく おおきい かぶが できました」(p.4)ここで思うのですよ。食べてもないけれど、甘いのか?元気の良いかぶってどういうこと?「あまそうな げんきのよさそうな」ではダメなのですよ。ここはシンプルに短く、言葉を削ぎ落として。そしておじいさんのグーポーズ。片足上げて小踊りでしょうか。ロシアのお話だからコサックダンス?
「うんとこしょ どっこいしょ ところが かぶは ぬけません。」(p.6)
おじいさんは1人ではかぶがぬけないので、おばあさんを呼び、
「うんとこしょ どっこいしょ それでも かぶは ぬけません。」(p.9)
次はまごを呼び、
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「うんとこしょ どっこいしょ まだ まだ かぶは ぬけません。」(p.12)
次はいぬも呼び、
「うんとこしょ どっこいしょ まだ まだ まだ まだ ぬけません。」(p.16)
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お次はねこも呼び「うんとこしょ どっこいしょ それでも かぶは ぬけません。」(p.20)
最後にねずみを呼んで
「うんとこしょ どっこいしょ やっと かぶは ぬけました。」(p.24ー27)
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元気の良いかぶってそういうことか!ぬこうとしても反発するチカラが強いから元気ってことねーなんて納得してみたり。
なかなか抜けなかったかぶが、やっとこさ抜けた!これは嬉しいし、爽快だし、達成感もある。無理やりこじつけみたいですが、この内容は、一回トライしてダメでも何回もチャレンジしたり他者と協力することで目的達成できる!といった教訓めいた部分もありますね。
おじいさんとおばあさんの肩組む姿!またしてもおじいさん片足上げてます。嬉しい時は体を使って嬉しさを表現!まごもいぬもねこもねずみもみーんな嬉しそう。そして「うんとこしょ どっこいしょ」の繰り返し!繰り返しは子ども好きですし、安心感ありますよね。絵本を読みまくっていた当時は、10回ぐらい読むと本文を覚えてしまって、ページをめくると言葉が出てくる状態になっていました。
ロシア民話ということで、登場人物は異国の顔立ちだし、洋服もロシア風で素敵です。
企画展
ここまで絵本についてつらつらと書きましたが、企画展に話を戻します。
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代表的な彫刻作品はもちろんのこと、デッサンや佐藤忠良コレクションのクリムトやピカソ、モディリアーニの作品も。『おおきなかぶ』の原画の展示室もあり、その他の出版物も多数ありました。佐藤忠良の故郷宮城県の宮城県美術館の所蔵作品が多かったです。それが神奈川県でみれるという贅沢です。葉山館の広々とした白いスペースに配置された彫刻作品は、どっぷりと佐藤忠良の世界に浸かることができました。
同時開催
展示室1にて野崎道雄コレクション受贈記念 見えないもの、見たいこころが同時開催されていました。実はこれがすごかった。私でも知っているゲルハルト・リヒター氏の作品が何十点もみれました。他にも1点から数点ではありましたが、ヨーゼフ・ボイスやロイ・リキテンスタイン、マルセル・デュシャン、ルネ・マグリット、マン・レイなども展示あり。見応えありました。
7月2日までの会期であと2日しかありませんが、おすすめの展覧会(and図書)でゴザイマス。
最後まで読んでいただきありがとうございました。