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デイリーライフ1/3話~お姉さんと少女の出会い編~


音声作品の裏ストーリーになります。
小説Verと音声verを作成しました。

小説Verは鬱要素多めになりますので、音声のほのぼの感を壊したくない方は閲覧注意です。

音声verは、台本作成済ですが、まだ録音はしておりません。小説verより若干明るくはなりますが、抉られるので視聴注意です。

心の準備がよろしければ、ご覧ください。




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雨が降る、真っ暗な帰り道。
がりがりにやせ細ったあの子と出会った。
寒さに体を震わせ、目は生気を失っていた。
立ち止り、向き合っても、反応はない。
秋めいてきた気候にはすこし頼りないTシャツとスカートといった格好で、ずぶ濡れだ。服が張り付き、やせ細っていることが見てとれる。
しゃがみ込み、彼女の手をとると、氷のように冷たかった。
抵抗するでもなく、こちらを見るでもなく、ただただ虚ろな目で震えている。

おもわず抱き上げると、私でも持ち上げられるくらい軽かった。
落とさないようにと背負いなおし、家路についた。

玄関に彼女を残し、私はすぐに部屋をあたため、お風呂を用意した。
彼女は虚ろな目をしたまま、動かず、しゃべりもしなかった。

彼女を抱きかかえて浴室に連れて行き、服のまま、暖かいシャワーをかける。足元からゆっくりと。死人のように冷たく真っ白だった肌が少しずつ血色を取り戻す。わずかながら筋肉が弛緩するのを感じる。

それでも、濡れた服を脱がすと彼女が壊れてしまいそうで、私ははさみで服を切った。彼女の体は、薄汚れていて、骨が浮き出て、ところどころに紫斑があった。幸い、皮膚の破綻個所はない。頭からシャワーをかけ、全身を洗い流す。

髪はなかなか泡立たないほど汚れていたが、シャンプー、トリートメントをすると、絹のようにきれいな髪になった。そのまま、石鹸を泡立て、全身きれいに洗った。首筋から肩、脇、胸、お腹、、、おしりから陰部、足先まで丁寧に洗った。

あまり反応はなかったが、震えは止まっていた。
石鹸を流した後、初めてこちらを向いた。私は微笑むと、手を引いて、一緒に湯船に浸かった。体重をこちらに預けてくる。姿勢を保つ体力が無かっただけだったかもしれないが、たまらなく愛しく感じて、抱きしめた。そのままずっといたかったが、弱った体には長湯は堪えるだろうと理性が働く。ふわふわのタオルで包み、リビングに連れて行く。

ホットココアを用意し、飲ませながら、ドライヤーで髪を乾かす。
「おいしい、、、」かすかに聞こえた言葉に涙を堪えながら、淡々と髪を乾かし、梳かす。もこもこの部屋着を着せてあげると、オーバーサイズとはいえ、華奢すぎて、トップスがワンピースのようになっている。きれいに整えたあとの彼女は、信じられないくらいかわいい女の子になっていた。

お腹すいているか尋ねると、かすかに頷く。冷蔵庫のあり合わせで雑炊をつくった。彼女は熱々の雑炊に息を吹きかけ、すこしずつ冷ましながら、ゆっくり口にする。動作がいちいち頼りなく、つい手を出したくなってしまう気持ちを抑えながら、見守る。

彼女は時間をかけ、すべて平らげた。彼女に温かいほうじ茶を渡し、私は食器を洗う。『そういえば、新品の歯ブラシあったな。よかった。』そんなことを考えながら、今日が金曜日であることに感謝した。洗い物が終わると彼女と歯磨きをして、床についた。彼女を抱きしめながら頭をなでる。私のふだん使っているシャンプーの香りのはずなのに、とてもいいにおいがする。すると、突然彼女が泣き出した。


「……っく、、、ひっく…うわぁぁぁぁぁぁぁ」



私は彼女が力尽きて眠るまで、頭を撫で続けた。


これが、私と彼女の歪な同棲生活の始まりだった。


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