焼肉屋の跡取りに似てる

ネタバレしまくります

5月12日 ☔️

今日は映画を鑑賞してきました。
鯛の西京焼きが乗ったお茶漬け御膳(とてもおいしい)を食べた後で少し眠かったのでカフェインをぶち込みながら鑑賞しました。
軽い映画の紹介文だけに目を通して予告も何も見ずに行ったので、本当にまっさらな感情で見始めることが出来て逆に良かったなと、鑑賞してみて思いました。

私は映像作品はかなり興味が無いと最後まで観ることが出来ないうえに、周りにネタバレしてくる人間が多いので、流行ってた韓国ドラマはバイト先の先輩や友人に全部説明してもらっていました。おかげで初対面の韓国ドラマ好きの人とかと普通に見たていで話せるので、ネタバレしちゃう系友人を捕まえるの、かなりオススメです。
ちなみに、イカゲームを説明させた時、友人は「おじいちゃん、黒幕。」と、かなり簡潔な説明をしてくれました。良い友達を持ったものだと思います。一気に見る気が失せました。ありがとう。

だから実質この高速道路家族が初めてみる韓国の映画なのだと思います。
韓国アイドルが好きなのと韓国語の授業をとっていたのもあって、簡単な単語は分かるだろうと、偶に字幕と発言を比べたりしていたのですが、「チンチャ」は普段の会話にはそこまで出てこないものなんですね。あと道路って韓国と日本ってめちゃくちゃ似ているんですね。勉強になりました。

映画の内容に触れると、最初は見るのがしんどくて、早く終われって思っていました。
親の情けない姿を子供に晒す姿や、子供に詐欺の手伝いをさせる姿。ろくな教育を受けていない子供と、受けさせることが出来ない親をよく表した場面の数々は本当に目を覆いたくなるようなものでした。
本当によく格差社会の実態を描いていたんじゃないかなと思います。
視点が父→おばさん→娘へと移り変わっていくにつれ、理解出来なかった立場の人の葛藤だったりを察することが出来るようになっていくのも良かったです。
若干の説明不足感は同行者も私も感じたのですが、自分で積極的に情報を拾っていかないと少し置いていかれるような映画で、自分の中で答えを見つけた時によりこの映画の内容が深く、作り込まれたものだと実感できるので個人的にこのスタイルは好きです。
ただ、父親の謎が明かされるのが後半であること、しかもかなり詰め込みだったので脳みそをフル稼働して点と点を繋げながら場面を追いかける必要がありました。そんな中で、私の実父もかなりろくでもないので、ろくでもない父親役を見ていてイライラするわ行動も予想できないわで、もしかしたら実父の成れの果てでもあるような気がして、形容しがたい感情がふっと湧きでました。
韓国ではいじめの罰則はかなり厳しかったはずで、その処分のデータは生涯保管されキャリアに影響するということを知っていたので、恐らくはいじめを受けた際は周りに助けてもらうこともなかったのだろうなと。
同じように孤独を抱えた妻との出会いは、同じく傷みを知るもの同士、しかし自分よりも教育水準の低い彼女は自らが優越感を感じることができる唯一の相手でもあったのでしょう。
妻との傷の舐め合いが彼らをさらに"不幸な自分たち"という感覚で満たし、就職が決まらない自分らの言い訳となり、向上心を失わせさらに社会生活から堕落していったのかもしれないですね。
そんな中に湧き出た儲け話というのが、初めての希望に満ちた唯一の差し出された手でもあったのでしょう。
ただひとつ言えるのは、父のあの虚言、思い込み、錯乱、演技性などの本人ですら向き合うのが大変な精神疾患に付き合い、支え続けてきた妻の存在の大きさ、素晴らしさは多分、父本人が感じてる以上のものだ、ということです。
そんなろくでもない夫に付き合い続けた施設育ちの母親の、初めて手を差し出してくれた夫か、(自分らが悪いが)夫が捕まるきっかけを生み出した何故か自分に親切にしてくれる赤の他人のどちらを信じるべきなのかという葛藤や周りの人間に対する心情の移り変わりが、表情や受け答えに変化が細かく、段階的に散りばめられていて感動しました。
作中で言及はされてなかったけれども、母親は最初はおばさんに対しても詐欺の復讐目当てか?となるでしょうに、よくあの短い間に自分が信じるべきもの、護るべきものを見極め貫けたな、と。登場人物たちが人と関わることによって成長をしていっているさまが繊細に、そして自然にストーリーに組み込まれていて、ただの人情映画で何事も程よく予想できるような展開で進むのだと少し舐めてかかっていた私は、この映画のプロットの綿密さにただただ驚くばかりでした。
特に5歳の頓痴気行動しかしない厚かましいクソガキが怪我をして病院に行ったシーンでは、
追い出されることへの恐怖、息子の病院代もお世話になってもいいものなのか、おばさん夫婦の言い争いに口を挟んでもいいのか、自分の子供は高速道路での生活のせいで羊水も足りず無事生まれるのか分からない。といった色々な考え、感情が頭を埋めつくしていただろうに、娘たちの前だからと気丈に振舞っていたように見えました。
このように、肩身の狭い思いをしながらも踏ん張り、自分でものごとを考えるようになったり、自発的な行動をとれるようになっていく母親と、自分の殻にこもってただ落ちぶれていくだけの父親との対比は見事なものでした。

語尾つかれました口語調でいかせてもらいます。

長女はウニとかいう美味しそうな名前をしていたから、ちゃんと名前を覚えています。
映画には文字を習うシーンしかなかったが、寝る前に弟に100日は10日を10回だよと言っていたのを聞いて文字だけでなく算数も教わっているのかと、嬉しくなった。
お出かけにも色つきのリップをつけていたし、部屋の壁にはいつしか五十音表のようなものも貼られていたし、料理もできるようになっていた。SAで足し算ができなかった(恐らく)ころを思い出して、涙腺激弱おばさんは何度も心の中でうにぃぃぃぃぃ!良かったなあああ!と叫んでいた。
ただ、襲撃に来て取り押さえられた父を見て、「お父さんとお母さんと一緒に暮らせないの!?」と泣き叫ぶシーンはいたたまれないものだった。私と被りすぎていて、ウニ大好きおばさんもわかるよぉおおおお!と前傾姿勢で叫んだ。頼りがいのある長女といえど、まだ9歳の少女には重すぎるシーンだ。
子供ながらにどんなに酷いかを理解していても、無条件で親にはかなりの好意を抱いてしまうものだし、兆候は見ていたとしても、そこまで狂った実の親を目の当たりにしてしまうのは心底キツかっただろうに。
おばさん夫婦は息子を火事で亡くしているからか、二人共が子供以上に火を恐れている様子が見受けられたのも本当によくできていた。
そうそう、夫婦の息子の名前はアン・シネだった。木に吊り下げられた札に書かれていたね。私の名前にも木へんが入っているんだよ。アンも入っているんだよ。1番泣いちゃいそうポイントだったな。ははは。
おばさん、息子にシャツをこれにしなさいだとか、家具の説明をしすぎてしまったり、SAでのウニとの初対面で注意するシーンとか、かなりのお節介でなんでも言っちゃうタイプの人だからこそ、息子のことに関して何も言わず、ただただ嗚咽を漏らしながら涙を流している姿が引き立っていたな。

うん、良い映画だった。

文を今回一切見返していないので、ごちゃごちゃしていそうだけどこんな駄文を全て読む人間はいないので、これを本日の日記として、いつか心の準備ができたら読み返しに来ようと思う。


今日の韻

父親役のチョン・イルはバイト先の日本生まれ日本育ちの焼肉屋の跡取りの純正韓国人男にそっくりだった。
そいつともお茶漬け専門店に一緒に行ったことがある。優柔不断な私にかわり、私の大好きなだし巻きがメインの御膳を注文し、自らの膳の魚を分け与えてくれたことを思い出した。あといつもお酒を頼んでは口に合わないものは全部そいつに飲んでもらってた。そいつはザルで頻尿という最強の酒樽人間なので、何度か飲みに行くうちに私もそいつの酒の頼む順番や好みの日本酒の系統を覚えてしまって、残り僅かになったらすかさず次のお酒を頼んだりしていた。これにはAdoもほっこり。
あとデザートが食べたくなった時にはもうデザートのページを開いて用意してくれていたり、食の好みが良すぎる初めて出来た飯フレだった。
良い奴だったな。
花畑事件だったり、向こうが出会い系で遊びはじめるようになったりであいつはすっかり変わっちまって、183cmの高身長さも何だか憎らしく、喫煙イキリパーマ黒マスクとか、近寄るだけで蕁麻疹出そうになっちゃうので気がついたら縁がほぼ切れてました。 そんなもんだよね、人生。

喫煙と死ぬ運命、いうえんといううんえんでギリ韻踏める気がしたりしなかったり。

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