過剰なエクセルと無駄な時間:新上司との挑戦
(この記事タイトルは、ChatGPT に作成してもらいました)
具体的に新しい上長と共に仕事をするようになって、数週間が経過したが……やはり、典型的なダメダメ上長だった……。
前編はこちらから。
彼が私にお願いしてきた最初の仕事は、支店内の各部署の長と支店長とのミーティングのためのスケジュール調整だった。これは、単に各部署の長に空き日程を確認して、それを支店長スケジュールに入れるだけのヤツで、別に、リーダークラスである私がやらなくてもいいしょうもない案件なのだろうが……まあ、一応、支店長を巻き込んだヤツだし、より慎重にやりたいという上長の判断なのだろう。
それはいいのだが、最初の違和感は……。まず、上長からお願いされた際に、彼から、見栄え重視の立派なエクセルファイルをもらったときから、私の中で嫌な予感がしていた。なぜなら、単なるスケジュール調整のためだけのエクセル――しかも、内部しか使わないエクセルなのに、これでもか! というくらいに作り込まれているのだ!
具体的には、単なる○×の入力や部署名の入力のために、入力規則が設定されており、指定した文字以外は受け付けない作り。それなのに、直近の新設部署が漏れていて、その所属が入力できない不完全な作り――不必要な制限をかけたことで、余計に自分自身の首を絞めるヤツだったのだ。
確かに、この辺の事前の仕組み作りというか準備作業は、対象となる関連部署が多ければ多いほどその威力が発揮されるだろう。加えて、ある程度ガチガチにしないと集計などが非効率になる場面もあるのも分かる。しかし、今回は高々20部署程度。○でもゼロでも、×でもエックスでも、どうせその後は、印刷後に目視でアナログパズル作業をする訳だから、判別できれば何でもよい。
また、フォントも標準のフォントから変更され、サイズや太字などの装飾も不必要に散りばめられている。罫線も太い線や細い線が散りばめられ、逆にここまでくると、目がチカチカしてくる――というか、ワープロが流行りだした頃に目立ったような、こんな見栄えの良い資料も作れますよ! というような見本っぽい作りであり、単なる内部のスケジュール調整のエクセルにしては、えらく過剰な作りだったのだ。
正直、こんな無駄なエクセルを、私が作り込んだと思われるのが心外だったので、もっとシンプルなエクセルで作り直すか……それとも、社内グループウェア標準搭載のノーコードツールで、そもそもエクセルファイルのメールやり取りをなくそうか――とも思ったのだが、まあ、上長からの初めての仕事で、彼の顔に泥を塗っても仕方ないので、とりあえず、彼の言うとおりに動くことにした。
さて、各部署からのエクセルが集まったので、あとは、支店長のスケジュールにどのようにピースを埋めていくか……取り急ぎ、3部署程度入れてみて、上長に確認を求める。すると、上長の考えはこうだった。
スケジュールは詰めすぎず、2部署おきに余白時間を作る
できれば、関連部署ごとに固める
できれば、1日は空き日(全く入れない日)をつくる
できれば、総務は最後の方
ということで、その条件に合うように、ピースを埋めて稟議を上げたのだが……上長から返ってきた稟議を見て、驚きと同時に私の心拍数が上がるのを感じた……。
なんと、私が埋めたピースが全てバラバラで組み直されていたのだ!
加えて、注意書きと思われる付箋には、前回上長が言ったことと全く異なることが書き連ねられ、挙げ句には、その付箋に上長の割り印まで押印される始末……。割り印――これ、私が勝手に剥がすとでも思ったのか? 要は、私は信用されていないのだ! 私ももう、我社に20年近く勤めてきたが、内部文書で、かつ、上長からの付箋に割り印があったケースは、さすがに今回が初だ……。
スケジュールをよく見ると、罫線の枠のトナーの印刷が剥げるくらい、消しゴムで何度も何度も消した跡がたくさんある……。もっと言うと、そもそも当初のエクセル様式が、支店長の空きスケジュールと一致していなく(なぜか日付の降順昇順が逆)、私は、ピースを埋めていく段階でそれに気づいたので、それを考慮してピースをはめたのに、上長の作り直し分は、既存の支店長スケジュールとバッティングがあるもの……。
いずれにしても、私が、半日かけて事前に確認した条件に合うようにピースを埋めて完成させたものが、完成後、彼によりゴールポストを動かされたのだ! 結局は、私の作業が全てムダになってしまったのだ! これなら、最初から全て上長がやればよかったのだ!
以前の上長は、私が30点の段階で持っていって、その後、部長、支店長と上がるにつれて、少しずつ形になっていき、合格点の80点に近づいていくような流れだった。しかし、新上長は、自身の時点で100点満点を目指す。
彼の段階で、彼の求める完成系を目指すのであれば、それまでの行程を生かせないことがある。これ、たとえが難しいのだが、例えば、ルービックキューブで、1面2面とみんなで協力して揃えていって、
「とりあえず4面そろえればいいよね?」
というのが、以前の上長のやり方とすると、この新上長は、彼の段階で6面完成を求めるので、どうしても一度バラバラにして、彼のやり方で6面を完成させないといけないのだ。
結局、私の努力が、全て無駄になったのだ……。
というか、そもそも彼がやっていることは、プレイングマネージャーというよりも、もはや完全なプレイヤーだ。彼がそこまでやるのなら、私なんていなくていい。今は、私の存在を否定するような動きなので、私もやる気が削がれるのだ……。
まあ……よい。いずれにしても、私は所詮リーダークラス。組織人としては、彼に従わざるを得ない……。
私は、気を取り直し、その上長修正の稟議をもって、彼にその背景などを聞きに行く。併せて、スケジュールのバッティングがあることを伝える。
すると、また彼の気が変わったのか、その場で改めて深く悩み出し、再度の修正が入る。そして、彼から、
「よし。これで、最終版としよう。支店長説明用に清書して。」
と言われたので、一旦自席に戻り、その言われたとおりにエクセルを打ち直し、支店長用を含めた3枚を印刷して持参し、彼の元へ持って行く。
すると、彼が言う。
「……ゴメン。やっぱり、ここはこっちにしようか(笑)。」
何この優柔不断! どっちでも、そんなに大差ないだろう?
というか、どうせこのような1ヶ月も先のスケジュールとか、これからチョコチョコ修正が入るのが関の山だろうが! それ以前に、全部署とミーティングをすることが目的であって、その順番というのは、そんなに問題はないだろう? 仮に関連部署に改めて聞きたいことが発生しても、所詮社内だし、電話なりなんなりすればいいではないか?
ということで、その最終版をもって、支店長室へ入る……。
「はい、はいはい。ありがとうね~。」
と、支店長も1分で終了。
たった、この1分のために、上長と私はどれくらいの時間をかけたのか……?
先が思いやられる。
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