バッタがしんだ
バッタがしんだ。
公園にいたバッタを飼い始めたのは秋頃だったか。
飼うと言っても虫籠に入れて
朝、りんごをむいたあとのヘタや皮を入れるだけだったけど。
りんごが最近高騰していてなかなか買えない時は
みかんの皮を入れたり、白菜やキャベツの外側を千切ったりした。
ある時はネギしかなくってネギを入れたら旦那にネギなんか薬味は食べないよ、と注意された。
ネギが虫食いされてるのみたことないだろう、って。
一つ勉強になった。
ある時、ふと見たら、白い泡があった。
産卵していた。
産卵した後は、数日動きが鈍くて
産卵後はバッタもしんどいのかなぁなんて思った。
残念ながら、雄がいないので卵は孵らなかった。
ネットで、バッタは冬を越さないって書いてあった。
そうなのか。
でも12月だけどまだまだ元気だな、と思った。
そんなこんなでまた、二回目の産卵もあった。
こんな狭い場所に閉じ込められても二回も産卵をして、命を繋ごうとする、生命ってすごいなと思った。
飼いたいと言った子供達はたまに見るくらいになって、主にわたしが世話をしていた。
世話と言ってもりんごとうんちの掃除くらいだけど。
うちは猫も魚も飼っているけれど、
もちろん猫もかわいい。
けれど魚よりバッタのほうがかわいいなとおもった。
そんな1月のある日、バッタが動きが鈍くなっていた。
ああ冬を越せないって本当だったんだな、と思った。
次の日、仕事から帰ると動かなくなっていた。
バッタは庭の花壇に埋めた。
虫籠は空っぽになった。
今もりんごを剥くたび、あ、もうバッタはいないんだった、と思い出す。
でも、バッタにつけた名前は忘れてしまった。