【読書記録】シン・ニホン①
今注目されている安宅和人さんの著作「シン・ニホン」を読んで感じたことをこれから何回かにわけて書き残していこうと思います。
日本が出遅れた情報化社会フェーズ1
まず、以下の図を見てわかるように日本は情報化社会において明らかに負け組になっています。1990年代以降、主要国が軒並み順調に経済成長を遂げているのにもかかわらず日本だけほとんどGDPが成長していないという事態が起こっています。
安宅さんによるとこれは日本が自動車、家電などの工業製品をはじめとするオールドエコノミーのスケールゲームに固執し続けて、新たな情報化の波にいつまでも乗らなかったことが原因だと述べています。
この表は平成元年と平成30年の世界時価総額ランキングです。上位に君臨する企業が自動車メーカーや銀行、石油会社からGAFAをはじめとする巨大IT企業に様変わりしていることもわかります。安宅さんはパソコンやスマートフォンが世界のほとんどの人々に行き渡った今、このような巨大IT企業がゲームを牛耳る情報化社会のフェーズ1は終わりを迎え、フェーズ2に移行しつつあると主張しています。
日本の勝算がある情報化社会フェーズ2
安宅さんによると情報化社会における産業は入口産業と出口産業に分けられるといいます。入口産業というのは音声や画像、位置といった外部からの情報を処理する産業のことを言い、出口産業はそれらを生かして様々なサービスに応用する機能的な産業のことを示します。入口側は業界横断的、すなわち水平的であり、出口側は業界や機能に特化していて垂直的であると言えます。
フェーズ1では主に入口側が巨大IT企業によって支配されました。しかし、ある程度水平的な機能は充実してきたため、これからは垂直的な特化した機能を持つ出口側のサービスが求められるフェーズ2に移行するという訳です。
では、なぜフェーズ2は日本に勝算があるのかというと、日本のもつオールドエコノミーのほとんどが出口産業であり、これらに関するデータは他の国と比べて多く持っている上に、いまだにかつて1位をとったその産業の中で相当なプレゼンスを保っているからです。これらを軸にしてデータとAIを取り入れていけば日本にはまだまだ復活できるチャンスがあるというのが安宅さんの主張です。
次回は具体的に日本はどうしていけばフェーズ2の勝者になれるのか、そこではどういう人が求められるのかということについて掘り下げていきたいと思います!