
2020年2月8日 香水
2020年2月8日(土)
12時すぎ目が覚めた。明るく気持ちの良い日。昨日の思いもむなしく、私を裏切り、今日はほとんど食べて寝て食べてすごす一日だった。
特に書けることもないとも思ったけれど、ふとドアの隙間から差し込む光をうけた香水瓶が気に入ったので、そのことでもとぼんやりこれを書いている。
たまに、眠る前に香水をつける。そうすると、少しだけ出かける時のめかし込んだ己でいられるような心地がして、気分がよい。
亡くなった母はシャンソン歌手で、小さな店を持っていた。そこの白いグランドピアノを、昔は父がひいていた。母は毎日髪を丁寧に巻き化粧をし、大ぶりなイヤリングや指輪、ネックレスをつけ、ドレスを着て、必ずきまりの香水をつけてから、夜仕事にいく。
母が愛用していた香水は、GUERLAINのミツコだ。なぜその香水なのか、いつから愛用しているのか、今はもうわからないけれど、私にとってこれは母の香りそのものだ。
母がこれを愛用しているのは馴染みだったようで、もらった未使用の香水が三本ほど遺っている。詳しくはないけど、簡単に言えばマダムの香りのするこれは、開けずにそのガラス瓶から香って、母を思い出すだけのものだった。
母の物語も重なった、自分に少しでも縁のある香水には憧れがある。
この数年で何がきっかけだったのかは忘れてしまったけど、この香水を時折つけるようになった。恐らく自分には早いように感じていたこれが、少しずつ自分の香りになるのを期待したように思う。といっても、あまりに香水然としているので、仕事には難しく、出かけるときや眠る前につける程度だ。(前の晩につけた翌日が、一番甘くよい香りがする)
いつかこれが、当たり前の香りになればいい。
それでは、また。