【人事顧問ブログ】Z世代へ、しらけ世代から伝えたいこと
こんにちは。
私はジーエークロッシングの人事顧問穴井です。
当社の人事や仕事について、時々発信しています。
私は昭和31年生まれの68歳です。
不適切にもほどがありそうな世代なので、
皆さんの参考になるかどうか分かりませんが、
適当にツッコミ入れながら読んでいただければ幸いです。
Z世代と呼ばれて、どう思う?
毎年この季節になると、
新入社員の特徴を〇〇世代と一括りにした言葉が飛び交います。
ここ数年は、Z世代(1990年代後半から2010年頃生まれ)と
名付けられています。
一体どこの誰が、どのような調査と観察に基づいて、
こんな分析をしたのでしょうね。
総体として、消極的で自己中心的な印象を受けますが、
Z世代の皆さんは納得できますか?
そういうところもあるようなないような、そんな感じですかね。
実は、私たち昭和30年前後生まれにも名前が付いていました。
私たちは「しらけ世代」と呼ばれていましたが、
その特徴とかいう内容がひどいものでした。
しらけ世代
その特徴は、以下のようにまとめられていました。
ひどくないですか?
一体どこの誰が、どのような調査と
どのような見識に基づいてこんな決めつけをしたのだ!
当時、私は高校生でしたが、仮にこの通りだとしても、
このような人間に育ってしまった責任は自分にあるのか?
と疑問に思っていました。
こんな評価になった背景には、
私たちの上世代である「団塊世代」の影響が大きかったと思います。
団塊世代は、第二次世界大戦後のベビーブーマーなので、
とにかく人数が多くて、戦後復興の勢いもあって、
何事においてもパワフルでした。
戦後の音楽、ファッション、学生運動、ライフスタイルなどは、
彼らが先鞭をつけて、社会を変えていったとは言えるでしょう。
私たちは、団塊世代の敷いた線路の上を歩いているだけ、
そんな感じでした。
なので、団塊世代から見ると、私たちは何ひとつ革新することなく、
強い主張をすることもなく、モーレツに行動することもない、
冷めた世代に見えたのだと思います。
確かにそのような一面はあったかもしれません。
彼らがあまりに熱すぎたので、
今風に言うとドン引きしていたので。
しかし、だからといって、三無主義や五無主義はないですよね。
私たちの世代の中にも、当然のことながら
行動的な人間や意欲的な挑戦者はたくさんいました。
しらけだとか、三無主義だとか、
若者を揶揄(やゆ)したいだけの、
単なる言葉遊びに過ぎなかったと思いますね。
世代の分類は何のために?
そもそも特定の世代を短いワードで括ることに、なんの意味があるのか?
私は、マーケティングのためじゃないかと思っています。
実際、本屋に行けばZ世代対応マニュアルのような本がたくさん並び、
新聞や雑誌ではZ世代特集が頻繁に組まれています。
人事系のコンサルからは、Z世代を採用し育成するための
セミナー案内が大量に送り付けられてきます。
まるでZ世代がコロナと同じ、突然変異種かのような扱いです。
しかし、よく考えてみると、社会に出る直前は、
がんばるぞ!という前向きな意欲と
経験不足からくる不安が交錯しているので、
自意識過剰になりがちです。
それが上の世代から見ると、
変な態度や行動に見えるわけで、
私たちの世代もそうでした。
いつの時代でも、若者は理解されにくいものです。
近年は、情報化とデジタル化の進展が速いので、
コミュニケーションの作法が、
世代によって大きく変わっています。
それを無視して、昔ながらのコミュニケーションしようとすれば、
場合によってはハラスメントになることもあり得ます。
ですから、世代の行動様式を知ることは無意味ではないです。
しかし、大切なのは、世代でまとめて分かった気になるのではなく、
世代に関係なく、ひとりの人間として理解し合うことだと思います。
陳腐化
前述のように、世代による分類は昔からありましたが、
Z世代が特に注目され不安視されるのは、
簡単に転職してしまいそうだから、かもしれません。
実際、データにもそれは出ているようです。
しかし、それは社会の変化なのかもしれません。
若者にこらえ性がなくなったのではなく、
転職を勧める広告の氾濫と、
それをよしとする社会的風潮の影響です。
つまり大人たちが仕掛けていることだ、ということです。
マーケティングの基本的な手法に「陳腐化」があります。
今使っている商品を、なんか古臭く感じさせて、
新しいものを買わせる手法です。
商品を会社に置き換えてみれば、
転職促進は陳腐化のひとつに過ぎません。
一方、私たち企業に対しては、
Z世代は転職しやすいから、
それを防ぐためのセミナーはいかがですか、
とセールスしてくるという仕掛けなので、
恐るべきマーケティング力です。
世代で括るのではなく、ひとりひとりを見る
分類は、思考の基本です。
分類することで、共通要素と差異が明確になり、頭が整理されます。
複雑に見える社会が分かりやすくなったような気がします。
だから、世の中には分類があふれています。
しかし、会社で人を採用したり育成する時には、
そのような分類が先入観を生み出し、
相手を見誤ることにつながりやすいです。
これはお互いにとって損ですね。
ちゃんと話せば分かり合えることが、世代差で片付けられてしまうなんて。
重要なことは、人は成長して変わるということです。
経験を積むことで成長し、意識も行動も変化します。
なので、皆さんも世代論に囚われずに
自分をしっかり見つめて,
どんな仕事人になるのかというイメージを
はっきりさせた方がよさそうです。
成長の可能性をたくさん持っていることが
若いことの特権なのですから。
私たちも、社員を世代ではなく、
ひとり一人の、長所も短所もある人間として接します。
皆さんも昭和世代=不適切世代などと一括りにせずに、
ひとりの人間として見てほしいなと思います。