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ベトナム人技能実習生のもっとリアルで生々しいお話と、これからのお話。

NHKのドキュメンタリー番組「ノーナレ 画面の向こうからー」で、劣悪な労働環境で働くベトナム人技能実習生が取り上げられ、大炎上しました。……がその後すぐに沈静化。沈静化させちゃダメなことだよって思いまして、note書きます!!

自分はたまたま全国のアパレル工場へ出向いて、そこで働くの方々とお話しする機会に恵まれていたので、この問題の深刻さは皆様より幾分かは理解しているつもりです。

Twitterにも書いたんですが、こちらにももう少し丁寧にまとめます。(以下で言及する「工場」とはアパレル関連の工場のことです。他の業界の工場には実際に行ったことがないので実態はわかりません。)

簡単に言うとこの一件、実は氷山の一角も一角でしかないし、僕らも片棒担いでるんだよって話です。

そして僕ら消費者の消費行動を根本的に変えていかないといけない時期に来てるよねって話です。

まず1番最初に言いたいのは、「今回たまたま今治にあるタオル工場だった」ということ。

こういうことは日本全国で起こっています。今治だけじゃない

今治タオルの不買運動なんかが起こってるらしいですが、そんな目に入ったハエを叩くみたいなことでは何も変わりません。ことは今治だけの問題ではないのです。

ことはもっと巨大で悪が渦巻く、僕ら消費者をも巻き込んだ社会問題です。何故こんなことが起きているのかその背景を共有できたらと思います。

ベトナム人技能実習生に今何が起きているのかというお話

日本各地のアパレル工場で起きているパターンらしいのですが、ベトナム人技能実習生は斡旋会社に多額の借金を背負って日本の工場へやってきます。ようやく技術が身についたころ、日本の犯罪組織からもっと儲かるよ!的な甘い言葉をかけられます(SNSなど)。結果的に騙されての夜逃げ。パスポートや携帯を没収されて行き着く先は劣悪な環境での奴隷のような労働。

こんなことが令和の時代のこの日本で起きているんです。これが現実です。

ベトナムの悪徳斡旋会社、手引きする日本の犯罪組織、劣悪な労働環境の工場、それを強いるアパレルメーカー、安いからと喜んで買う僕ら消費者

それらが1つの線として繋がり、この不幸が日本各地で起きています。彼女ら実習生が作った商品を、安い値段で買っている僕ら消費者もその片棒を担いでいるのです。

ではどういう話かもう少し生々しい詳細のお話です。

これがリアルな実態です。というお話

まずベトナム人技能実習生はベトナムの斡旋会社にお金を支払い日本の工場へやってきます。

でももうここでいきなり酷いお話なのです。ここで悪徳斡旋会社につかまると斡旋料などで100万近い額の借金を背負わされます。(通常であれば10〜20万程度らしい) 同じ工場で働く実習生の間でいくら払って日本に来たのかというのは定番の話題らしいのです。

しかしそれだけ借金しても日本で働くことで得る金額は、自国で働くよりもずっと多いのです。だから多額の借金を背負って日本へやってくる。

さぁいざ働くといってもそう簡単にはいきません。工場はまずは彼女たちの技術レベルを上げなくてはいけません。一応はミシンなどを使えるように訓練してくるのですが、日本のメーカーが求めるレベルには到底届きません。日本語もままならない状態で、工場の人は苦労しながらなんとか技術を伝えます。実習生たちも必死で技術を習得します。

これだけでも大変なことです。しかしなり手の少ない工場では大切な労働力ですから、どこも一生懸命に伝えようとします。実習生の大半は若い女性。工場のおじさん達はただでさえ慣れない外国人相手、更には若い少女たちです。どうやってコミュニケーションをとろうか…その苦労は想像に難くありませんよね。でもまぁその中でどうにかやっていくのです。仕事ですからね。

しかしある日、昨日まで元気に働いていた実習生が突然居なくなります。寮の部屋はもぬけの殻。

夜逃げです。

SNSなどで彼女たちに甘い言葉をかけてくる日本の犯罪組織がいるのです。もっと儲かるよ!と。

しかしそんなうまい話があるわけありません。逃げられないようにパスポートと携帯を没収され、今回放送であったような劣悪な労働環境の工場で奴隷のように働かされます。そこからどうにか逃げ出したとしてもパスポートも携帯もない外国人がどうやって生きていけるでしょうか。夜逃げして不法労働をしていたわけですから、警察にもいけません。強制送還されれば残るのは斡旋会社への多額の借金だけなのです。彼女たちに残る選択肢は少ない。本当に酷いものです。

ある工場で実際に体験したお話

ある工場へ行った際に工場長が話してくれました。今朝1人いなくなったと。

「昨日は楽しく焼肉を食べて、明日から頑張ろうねって話してたのに。ようやく技術が身についてきて、これからという時だったのに。」

夜逃げされてはどうしようもできない。悲しいし、悔しいし、不甲斐ない。娘のように思っていたからとても辛い。」と。

誰が悪いの?というお話

工場も潤沢なお給料を払えるわけではありません。どこもギリギリでやっています。それでも大半は潰れていきます。

しかしそれでもアパレルメーカーは1円でも安く買い叩こうとするのです。でないと売れないからと。あり得ない金額で、高いクオリティとスピードを求められます。

じゃあアパレルメーカー最低だな!!って話かと言うとそれだけではありません。もちろんアパレルメーカーも悪い。業界も悪い。でもそんな商品を買うのは僕ら消費者ですよね。それを求めてるのは僕ら消費者です。

僕ら消費者から変えていこうというお話

1番はじめに僕らの消費行動自体を変えようって言ったのはそういうことです。僕らは選択の権利を持っています。どういう商品を買うか、どういう商品を買わないのか。これはパワー(力)と言ってもいいと思います。1人1人の意思ある消費はパワーです。

難しいことではないのです。これはなぜ安いのか、これはなぜ高いのか考えほしい。値段やデザインだけではなく、その商品はどこかの誰かが一生懸命作ったものだって意識を持ってほしい。その商品の向こうには人がいます。その人は笑っているでしょうか?それとも泣いているでしょうか? 今起きている現実は、オシャレを楽しむ僕らの裏で泣いてる人がいるのです。そこから目を背けてはいけませんよね。

今回NHKで特集された今治の件は、本当に氷山の一角です。しかも単に過酷な労働をさせられている技能実習生がいるという話だけではないのです。今治タオルを炎上させても効果は限定的です。なぜそんなことが起きるのかということを、その背景にある現実を少しだけでも共有出来ればと思いました。

自分の目の前から変えていこうというお話

とは言え、急に全てを変えろってのは無理な話です。今からすぐできることからちょっとづつやっていきましょう。

個人的におすすめしたいのは、品質表示タグを見るということです。少なくともどこで作ったものなのかは知ることができます。日本なのか、中国なのか、ベトナムなのか。それだけでもその商品をみる意識は確かに変わります。日本各地で、世界各地で作られ、そしてはるばる僕らの元へやってきたのです。

まずは自分の今日着ている服。どこの国で作られたものか全部言えますか??わからなければ、品質表示タグを見てみてください。

「あぁこの服はベトナムで作られたんだな。どんな人が作ってるのかな?どんなとこで作ってるのかな?どんな気持ちで作ってるのかな?」なんてことを少しだけ考えてみてください。

小さいことですが、一人ひとりのその小さな意識の変化が大きく個人の消費行動を変えていきます。それは消費の新しいトレンドとなり、間違いなくメーカーを動かします。

企業は儲かるか儲からないかです。適正な工賃と適正な労働を背景にした適正な価格のものを消費者は好むとなれば、勝手に方向転換するでしょう。

そういう意味で不買運動も効果はあるかもしれませんが、限定的で一時的な盛り上がりでは意味はありません。そもそものモノを買うことの価値観を変えていきましょう

もちろん企業の倫理観、道徳観に訴えかけていくことも大切です。ですが話がデカすぎで何も出来なくなるのはもったいない。まずは自分のことから、出来ることからやっていきましょう。品質表示タグをみるオススメですよ!

読んでくれてありがとうというお話

これは自分がアパレル工場の方から聞いた話です。実体験ではありませんが、リアルな話です。今日本のもの作りでは何が起きているのか、ベトナム人技能実習生の実態、僕ら消費者も当事者だということ、お伝えできていたら嬉しいです。何か感じることがあればなお嬉しいです。ここまで読んでくださってありがとうございます!

※最後にも言っておきますが、これはアパレル工場のお話です。その他の業界の実態はわかりません。ごめんなさい!他の人に聞いてみてください!

※それからNHKの特集された工場に関してデマの情報が流れているそうです。また今回の話はNHKで特集された今治の工場とは別の工場の話です。




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KEI / ケイ
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