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【ネタバレ有】「花束みたいな恋をした」就活、仕事観について

先日、遅ればせながら「花束みたいな恋をした」という映画を見てきました。

菅田将暉さん演じる麦くんと、有村架純さん演じる絹ちゃんが、惹かれあって付き合って別れるという約4年間のお話。

いろんな考察が生まれる中で、「そういや仕事軸についての考察ってまだ読んでないな」と思い、いてもたってもいられずnoteを立ち上げました。

もしかしたら他の方の考察で触れられているかもしれないですが、つらつら綴っていこうと思います。セリフに関してはかなりうろ覚えです。間違っていたらすみません。1度しか観れてないので、大目に見てください。

ここから先はネタバレありますので、まだ見てない方はお戻りくださいませ。

そもそも、2人が別れを決意するほどすれ違ったのには、「仕事」の部分が大きいなと思うんです。

麦くんは最初イラストレーターで生計を立てようとしますが、単価が下がっていきとうとうお仕事がなくなってしまいます。2人で生活をしていくために、1年遅れて就職活動を行い、ロジスティック系の会社で営業として働く。

絹ちゃんは、大学生の時に遅れて就活を行うも内定が出ずフリーターに。その後、2人で生活をしていくために働きに出ますが、簿記二級を取ってまで働いた会社を辞め、加持のイベント系の会社に勤めます。

まず、麦くんと絹ちゃんの就職活動の違いについて。

就活で言えば麦くんも絹ちゃんも「新卒」の就活を経験しています。ここで2人で違うなと思ったのは2回目の絹ちゃんの就活の時。

大学生の頃、就活をした絹ちゃんは内定が貰えません。その現実を知っている絹ちゃんだからこそ、簿記二級を取得してまで就活。反対に麦くんはそれまで「社会に出る」ということをしてないまま新卒の就活を行い内定。

ここで新卒採用と中途採用の圧倒的違いが出ます。

新卒採用は基本的に人柄などのポテンシャル採用。今採用した子が3年後5年後に活躍すればいいのです。麦くんの上司も言ってました。「今はしんどいけどそのうち楽になるから」と。これは数年後の活躍を期待した上での発言です。

反対に絹ちゃんは中途採用で内定をもらいます。中途採用は基本的にスキル・経験採用。その人がうちで何ができるのか、すぐに戦力となって活躍してくれるのかを企業は見ています。

つまり人柄を評価されて採用された麦くんと、簿記二級という資格を評価されて採用された絹ちゃんでは、企業から求められていることも違いますし、そもそもスタートが違います。

(麦くんの新卒採用はおそらくですが、中途採用で集団面接や集団説明会はほぼ聞かないので新卒採用だと思っています。)

……もしかしたらこの辺りも、2人を対比に描いていたかもしれませんね。


さてそんな2人ですが、仕事をしていくにあたり考え方が変わります。

麦くんは営業職。セリフにもありましたが謝るために生きてきたんじゃないのか、と。分かる、同じ営業として分かる。笑

その中でも「大変じゃない!仕事だから!」のところはすごく共感でした。

じゃあなんで大変じゃないかって、絹ちゃんと暮らすために必要なことだと割り切ってるからだと思うんです。だから大変じゃない。

反対に絹ちゃんは仕事は求められたことのみやる、その要求もそんな高くない。そしてプライベートも楽しみたい。とはいえ居場所は無くなりたくないからまあ、乗り気じゃないけど同僚と飲みには行く。割と今の若い子に多いと言われている志向です。よくいう、ワークライフバランスを大切にした働き方ですね。

どちらも良い悪いではなくて、それがその人の選択だと思います。仕事を頑張るのも、仕事とプライベートのバランスを取るのも。(私は前者です。仕事が楽しくて仕方ない。劇中で読み取れる麦くんが仕事を頑張る理由とはちょっと違うと思いますけど……。)

二者とも考え方が違うので、すれ違いは、そりゃ起きますよって話です。置かれてる環境が違えば、考え方も変わりますので。

そんな中での麦くんの「仕事は遊びじゃないんだよ!」発言。あの発言はちょっとおこな方もいらっしゃるんじゃないでしょうか笑 私は苦笑いでしたが。


余談ですが、私が働いている弊社の話を。

弊社は普通の会社ではないと思うんです、良い意味で。

あだ名や下の名前で呼び合うし(もちろん先輩や年上の方には「さん」付けしますが、あだ名にさん付けします笑)、社長面接で「うちの会社踏み台にして良いから」とか、社内で「今度のアポ、楽しんでこい」って上司が言う。

弊社はゴリゴリの営業会社なので、仕事内容としては麦くんに近いと思います。でもスタンスは絹ちゃんというか加持さんの会社に近いというか。だから麦くんの言いたいこともわかるし、絹ちゃんの言いたいこともわかるし。


ただ麦くんがそう発言したのは、イラストレーターとして夢を為せなかったからだと思います。

遊びというか趣味を仕事にした。そしたら上手くいかなかった。なんとか就職できたけど苦労した。そんな苦労を絹ちゃんにして欲しくない。そんな気持ちを垣間見た気がします。



もしかしたら多くの人は、「麦くんが変わってしまった」「絹ちゃんが子どもなんだ」のどちらかを思われたかもしれません。

個人的にはそう思いませんでした。置かれた場所に沿って、成長しただけかと。

たんぽぽだって、畦道で実るものとアスファルトの間に実るものとそれぞれちょっとずつ根の張り方を変えて咲いてます。でもどっちが良い悪いって差がつけられますか?って話です。

先程述べた通り、2人とも仕事に対する考え方が違う。それは良い悪いではない。私はそう思います。

というより、どちらも選べる社会になるべきだし、選んだとして、どっちが悪いだのどうのこうのと、後ろ指指されないような社会になるべきだと思います。そもそも「この年齢ならこうなんだ!」って決め付けるのが間違っているというか。まあ日本って感じがしますよね、ちょっと吐き気する。

だから大切なことって歩み寄ることだと思うんですけど、なかなかできなかった。このあたりは、恋愛や話の流れを軸にお話されてる方がいらっしゃると思うのでそちらを見ていただければ幸いです。

そして決定的なピクニックのお話。秀逸でしたね。如実に2人の違いを表してました。まさかここに繋がるとは、と脱帽でした。


他の方が書かれていた、男女の性役割や家族の役割など、この作品は現代を等身大に描いて問題提起している気がします。

それは今までお伝えしてきたお仕事についてもそうです。

もっと多様性のある世の中になればいいのに、それが受け入れられる世の中になればいいのに、そう訴えてる気がしてなりませんでした。


さて、この余韻を私は楽しみたいと思います。

長々と読んでくださりありがとうございました。また会える日まで。


P.S.日商簿記二級を持ってると少しは転職の幅が広がるかなと、人材業界の人間として思います。


おわり



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