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印章ラプソディー

episode.03

大抵の文房具は好きなくせに、
書けばいいしその方が早いと思ってたから
はんこはあまり買わずに生きてきた。

見た目より高い印象だったし、
似たものが多い気もしてたから
尚更、目がいかなかったのかも知れない。

「一人でいるのが好きだから
いま彼女とかいらないんだよね」
に似てる。(似てない)

彼女の魅力を知ってしまったのは
いったい何時ごろだ。

台木に描かれた絵や文字は、
良質な紙や革に転写されたとたん
2倍の威力で美しい。

「ゲレンデで微笑む彼女って
2倍の魔力で綺麗だよね」
に似てる。(似てない)

自分の右手では決して表現出来ない、
予測不能のかすれや歪みが
偶然のセンスとなって現れるんだ。

はんこは好きですか?

はい
だから困ってるんです。


手書きは好きですか?

はい
だから困ってるんです。

捺し活を推して暮らす日々。

素敵なはんこと、
震える右手が織りなす
予測不能の偶然狂想曲。

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