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忘れたくないこと、思い出せるように
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人生でいちばんはじめにかいた曲を、今でもわりと鮮明に憶えている。たぶん今から15年くらい前、アジカンの"暗号のワルツ"みたいな曲だった。みたい、というか、もはやそのものだった。
"暗号のワルツ"は当時耳にタコができるくらい、なんなら耳でワルツ踊れるくらい聴き倒した曲なので影響されるのは仕方ないと思う。影響というかもはや真似事だったけど。
つーか耳で踊れるワルツって何。
それから15年、いまだに新しい曲をかいているし、かいているなかで、その初めての曲の持っていた精神性みたいな部分がたとえ細くともたしかに一本の線で繋がっているな、と今でも感じる。
人生でこのスパンで続けられている趣味なんて他にたぶんない。これがカルマなんだと思う。カルマの意味がよくわかってないけど、たぶんきっとそのようなものだ。知らなきゃいけないことはどうやら1と0の間、だ。
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ぼくらはなんで遺すんだろう。
きっと、忘れたくないことをいつでも思い出せるようになんだろう。まあ、改まって言うほどじゃないくらい当たり前なんだけど。
15年前のぼくがそこまで考えていたとはとうてい思えないけど、今でもこうやって思い出せるのはあの時かいた曲が良くも悪くものこっているからで。
曲でなくたって、写真だったり、絵だったり、それこそ今書いているこの文章であったり。
完全に同じ気持ちには辿り着けないとしても、忘れたくないことのなるべく近くへ、出来るだけ確かな輪郭にふれることができるように、想いにかたちを与えるのだろうと思う。
なんだかとっても恥ずかしいことを言っているような気がするので、この件に関してはここらへんにしておきます。
そんなこんなで、音源をつくりました。
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冒頭に書いた"人生で初めてかいた曲"の音源ではなくて、現在進行形で活動しているバンドの音源をつくりました。
冒頭になんか曲づくりの根源的なお話をしようとして、ややこしい書き出しをしちゃった挙句、よくわからない着地をしちゃったのでこんがらがってる人もいそうだと思っていちおう言っておく。
反省している。
今いくつかバンドを組んでいるけど、今回はコロナ禍になってから組んだoteというバンドで音源をつくりました。"おて"といいます。
まだライブも一回しかやっていないかけだしのバンドだけど、音源をつくりました。
何回だって言うよ。音源をつくりました。
自分で言っちゃうのもなんだけど、ナンだったとしてもどうせ言っちゃうから言っちゃうんだけど、けっこういいバンドだと思う。
イマドキのオシャレでキラキラしたハイファイなエモーショナルとはほど遠い、わりと素朴でそこそこ生々しいものだと思う。けど、そもそも流行に乗ることを目指していない。別に反骨というわけでもないんだけど。
共感とも同感ともまた違う感じで、そっと生活の一部に溶け込むというか寄り添うというか、ただただそこにあってほしい、なんて不躾で贅沢だけど思ったりする。それにしては熱量が高い気もするけど。
10年後に「この音、懐かしいね」というように聴かれるんじゃなくて、10年後でも「生々しいね」って思ってもらえたら嬉しいななんて思いながら。
いいバンドです。
昨年12月のあたまからレコーディングして、その準備はたぶん9月くらいからはじめて、もっと言えばたぶんこのバンドを組んで、ライブをしようかって言い始めた頃から音源の構想はしていて。
ようやくかたちになりました。
ぼくもレコーディングなんて全然慣れてないし、はじめてのメンバーもいて、てんやわんやしながらてんてこまいにがんばりました。
もうわかっていると思うけど、散りばめている写真はレコーディングのようすです。手作り感すごいでしょ。
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音源のタイトルは『Lifespan e.p.』。
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配信サービスの都合で、配信の音源には"e.p."という部分をタイトルに入れられなかったんだけど、まごうことなき『Lifespan e.p.』です。
"raw"、"空をさらう"、"1992"、そして"Lifetime"という曲の4曲入り、15分くらいのささやかなもの。
サブスク配信とCDリリースを予定しているけど、とりあえずライブも決まっていないので、まずは配信から。CDはおいおいライブ会場で手に取ってもらえたら。まだ形にはなってないけど、こちらもいい感じ、だと思う。
上の正方形の写真がジャケットです。ジャケットにもLifespanな意味を込めてあるけど、そこはおいおい。
曲に関しては共感性の音楽ではないから、それぞれの曲についての説明が必要だとも思うんだけど、まずはとにかく聴いてもらえたらと思う。
↓でちょっとだけ聴けます。
配信開始は4月29日を予定しています。
↓各種配信サービスはこちらのリンクから。
とりあえず配信のみ先行するけど、やっぱりCDを買ってきた世代、配信だけじゃなんだかさみしいので盤もつくることにした。
ぼくもほとんどサブスクで音楽を聴くようになったけど、それでも好きだと思うひとの音源はCDで買っている。やっぱりひとつの"かたち"として近くにあってほしいと思う。これは呪いに近いのかもしれないが、幸せな部類の呪いだと思う。
ぼくらのCDは記念品的な意味合いも込めて、1枚500円でシリアルナンバーも手で押して、なんて考えている。記念品なので限定100枚。全部売れたとて死ぬほど赤字だけど、カルマだから。カルマってこういうもんでしょ、知らんけど。
今回に関しては損益を考えたくなくて、いろんな人に聴いてほしいから、配信に関しては全くコストかからず、そのかわりほぼほぼ全く利益のでない方法でサブスク配信をすることにした。
CDに関しては「全然刺さらなかったけど無料だしもらっとくか」みたいなのはめちゃくちゃ嫌で、500円という値段に決めました。
手にとってくれた人にとって値段以上の価値になればうれしいな。
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おかばやし、とぺくん、しんすけさん、ボデガースタジオをはじめ、音源をつくるにあたってかかわってくれたみなさん、これからたくさんきいてくれるだろうみなさん、ほんとうにどうもありがとう。
これからもよろしくおねがいします。
このタイミングでベースのおかばやしが人生の都合でちょっとしたおやすみに入るので、oteはいまサポートベースにお手伝いいただいて活動している。
またライブとかが決まったら、そのあたりもしっかりお知らせしたいと思います。
いろんな人に支えられているのを実感している。
ありがたいです、ほんと。
今回音源をつくってみて、思ったよりも大変なことも多かったけど、まあ、また性懲りもなく作るんだと思います。
忘れたくないこと、思い出せるように。
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では、また。