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【感想】リアル勇者部の体験記事

本記事は2024年11月10日(日)に香川県観音寺市で開催されたボランティア活動「リアル勇者部」に初めて参加した際の体験談について、 ”共有” & ”備忘録” を目的にまとめたものになります。



◆ はじめに

①「リアル勇者部」とは?

観音寺市を舞台としたアニメ「結城友奈は勇者である」の中で主人公たちの所属する勇者部(ボランティア部)を香川大学生が具現化した企画です。これを通して、アニメファンの方には観音寺市を、観音寺市の方にはアニメを知ってもらうことで観音寺市の活性化に繋げることを目的としています。

リアル勇者部 ~一の宮海水浴場清掃活動~ の案内Postより引用

もう少し掘り下げて説明すると、

香川大学が2013年に文部科学省の「地(知)の拠点整備事業」(以下、COC事業)に採択されてから3年後の2016年、観音寺市から大学側へ「なにか一緒にできませんか?」というアプローチがあり作中の勇者部によるボランティア活動に注目。
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同年11月から「リアル勇者部」事業が開始するものの、2017年度付けでCOC事業としての取り組みは終了。
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その後2018年からは連携自治体と協議の上、香川大学の「瀬戸内地域活性化プロジェクト」の授業の一環で、観音寺班が2024年の現在に至るまで「リアル勇者部」の企画と実施を担当している。

と、後述の参考文献①②を参照しまとめてみました。

同プロジェクトについて月並みな感想にはなってしまいますが、大学の授業の一環で地域振興を目的とした社会貢献ができるのは非常に魅力的に感じました。座学だけではなく、フィールドワークでしか学習できないことは少なからずあるかと思いますので。

その一方、X(旧Twitter)で過去に参加されていた方のレポートを閲覧していると、4回目のリアル勇者部(2017年12月3日開催)をもって事業が終了していた可能性があったこともわかりました。

参考文献②より、COC事業が2017年で終了していたということなので、当初は瀬戸内地域活性化プロジェクトにリアル勇者部事業を移項する予定がなかったのかな?と簡単に推測してみましたが、詳細についてはわかりかねる為、次回参加する機会があれば関係者の方へお話を伺わせていただければなと思いました。

また初回の活動年が2016年ということと、作品についても放送初年度から追いかけていた訳ではない為、個人的にこれまでどういった活動を行ってきたのか気になり、過去の開催記録をまとめてみました。

表.リアル勇者部開催記録
(参加人数について1~5回目は参考文献③を、
6~9回目は地元新聞社様の記事を参照)

参考文献②によると、第1~4回目はボランティアを目的として旅行に訪れる部員さん、いわゆるボランティアツーリズム層の方が少なかったとのことで、第5回目から観音寺市で行われる同人誌即売会イベントの開催時期と連動させたところ参加者が大きく増えたと記載されていました。

その後、第7回目まで徐々に参加人数を増やしながら活動を重ねていましたが、2020年と2021年はコロナウイルスの関係で活動を制限。第8回目の開催日は前回から約3年と大きく開いてしまいましたが、コロナを機に消滅させることなく活動を再開していただけたということで、当時Twitterを閲覧していて嬉しかったなと記憶しております。


②今回(第10回)の活動内容

記念すべき?第10回の活動内容はお馴染みの海岸清掃でした。

ただし、今回の活動場所は初めて「一の宮海水浴場」が選ばれたということで、思い出せる範囲で関連コンテンツを列挙してみると、

(1)【アニメ】3期の第一話で勇者部がキャンプした場所
(2)【小説】勇者史外典第二章で初代勇者部が水泳の練習をした場所
(3)【ゆゆゆい】SSR「気品 乃木若葉」の神花解放後の背景絵の場所
(4)【漫画】勇者部所属ぷにっと!の第一話で勇者部が海岸清掃のお手伝いをした場所
(5)【その他】観音寺市のコラボポスターで東郷さんが時計のタワーを指さしていた場所

ということで、作品を追いかけ続けている方にとっては馴染みの深い場所だったのではないでしょうか。

上記の経緯もあり、今回のリアル勇者部は観音寺市が主催する作品とコラボしたご当地イベント「勇者部活動報告 -反省会の章-」と連動するよう、当該イベントと同日に開催される旨、瀬戸内地域活性化プロジェクト様より2024年10月16日に告知されました。

発表当初は参加への意欲を燃やす部員さんが多いなとXを閲覧していて感じておりましたが、イベント一週間前にアニメ公式アカウント様より物販の開始時刻が11:00→10:30に変更になるアナウンスがあると一転、清掃活動に参加するか悩まれている方のPostを多数お見かけたしたことを記憶しております。



◆ 当日の様子

①受付(9:00~9:30)

豊浜駅から途中コンビニへ寄りつつ20分程徒歩で移動し、一の宮海水浴場へ。受付が9:00からとのことだったので時間丁度に到着することができました。

現地へ到着するとドリームタワー横の東屋に人が集まっていたので、とりあえず伺ってみるとイベント参加者の受付を行っていました。

10月16日に事前告知された際のチラシには、参加される方は専用フォームから事前登録して欲しい旨のアナウンスがありましたが、受付時には登録したメールアドレス宛に返送されたQRコードを提示する必要があるということで、時間内に受付を済ませる為のノウハウが洗練されておりすごいなぁと感じました。(が、実際にはQRコードリーダーの調子が悪かったとの事で、印刷した名簿と照らし合わせての口頭確認でした。それを込みでも代替の確認手段を事前に準備しているのはすごいなぁと。)

軍手・火ばさみを係の学生様から受け取った後、参加した記念にということで、イベント用に自作した缶バッジをいただくことができました。バッジのイラストはうどんをすする子やレタスのイラスト等、観音寺らしさを感じるものばかりでしたので、ご当地感があり良かったです。

この日は軽く寝坊してしまったこともあり急いで電車に乗った結果、観音寺駅前のコインロッカーに荷物を預けることが叶わず、また豊浜駅にはコインロッカーが設置されていなかったため、持参した荷物をどこに置こうか現地に着くまで悩んでましたが、東屋の屋根下にブルーシートを敷いて参加者の荷物を預かって下さっていたので、非常に助かったなと記憶しています。

今回清掃を行う一の宮海岸(快晴)
受付していた東屋では東郷さんのコラボポスターがお出迎え
案内チラシと新規発表されたご当地ポスターのパネル
学生様たちが自作した缶バッジと観音寺の案内冊子



②開会挨拶&清掃活動(9:30~10:00)

9:30頃になると清掃活動の説明をするということで参加者は東屋の少し奥側(海側)の階段に集まるよう指示がありました。

階段に着席後、代表の神田亮様から開会の挨拶と清掃方法について説明があり、覚えている範囲で詳細について書き連ねると、

(1)今回の活動で清掃する範囲と終了時間
(2)東屋を基点に北側と南側に分かれて清掃してほしい
(3)拾ってほしいごみの種類
(4)火ばさみでとれないようなゴミは専用の道具があるので使ってほしい
(5)燃えるゴミと燃えないゴミは別々の袋に入れてほしい
(6)海浜植物の植生地は踏まないでほしい

等、必要な情報を過不足なく説明していただいたことを記憶しています。

上記(1)~(6)と関連した説明で、大学側で2週間前(2024年10月下旬の週)に一の宮海岸のロケハンをした際は砂浜にゴミがしっかりあったとのことでしたが、1週間前(2024年11月上旬の週)に市内の小中学生が清掃活動をして下さっていたということで清掃する前から綺麗な状態です!というお話があり、参加者からちょっとした笑いが起きていました。

神田様からの説明が終わり、メインイベントである清掃活動が始まると参加者はおもいおもいに北と南に分かれて活動を開始。集中して黙々とゴミ拾いに勤しむ方・仲間と雑談しながら作業をされる方 等、活動模様も十人十色でしたが、この日は朝から瀬戸大橋の橋上でJRの車両が立ち往生していたトラブルがあったこともあり、聞こえてきた雑談の大半はその話題でもちきりだったと記憶しています。

自分は北側の砂浜を清掃しましたが、ペットボトルサイズの大きなゴミは皆無だったため、地元の学生さんはすごいなぁと思いながらゴミを探してました。 

その後数分間ゴミを見つけれない時間が続き、さすがにこのままだとまずいと感じ、学生たちが拾い切れなかったゴミを真面目に探すことに。最終的に浜風で飛ばされたであろう小さなゴミが海浜植物と絡みついていることに気づき、終了時間の10:00まで植生地周辺のゴミを拾わせていただきました。

赤枠部が今回の清掃範囲
植生地周辺の拾ったゴミ
移動ログ記録アプリで自身の清掃経路を記録したところ
清掃時間の30分で120m程歩いてました
今回の清掃活動で集まったゴミ



③閉会挨拶&記念撮影(10:00~10:30)

10:00のタイミングで活動終了のアナウンスがあり、清掃を終了し閉会の流れに。

閉会時には、(1)「瀬戸内地域活性化プロジェクト」観音寺班に所属する大学院生の方、(2)観音寺市 地域支援課の市役所職員の方、並びに (3)代表の神田亮様 から参加者へ労いのお言葉をいただきました。

個人的に強く印象に残ったお話が(1)の院生の方のエピソードで、学部生時代の卒業研究でリアル勇者部活動に関する論文を執筆されていたということと、現在も大学院で同様の研究を続けているので今後も学会を通して作品の魅力を世に広めていきたい というかなり壮大なお話をされていたので、是非頑張っていただけたら!と思いました。

また将来的に宿泊を伴う合宿形式の活動(勇者部合宿)も計画しているということなので、今後も「瀬戸内地域活性化プロジェクト」観音寺班様が発信する内容にアンテナを張る必要性を感じました。

閉会後は学部生の方から提示された専用フォームへアクセスし今回の活動についてのアンケートに回答後、ドリームタワー前で参加者全員で記念撮影を行い解散する流れに。

撮影前には代表の神田様から「顔出しNGの方は配慮しますね」と数回お声がけいただき、参加者から笑いが起き、解散するまで和やかな雰囲気で場が進行していたことを記憶しています。

解散後は物販と反省会の会場である観音寺グランドホテルへ向かうために豊浜駅へ歩を進めようとしましたが、何気なく見返した伊吹島がいつもより綺麗に見えたような気がしました。

提示されたアンケートサイトへのアクセスQRコード(一応モザイク)
記念撮影終了後のドリームタワー前の様子
清掃後の一の宮海水浴場
TV局の方からインタビューを受けている部員さんもいらっしゃいました



◆ 所感

昨年開催された第9回リアル勇者部では全国から約100人程のファンの方が集まったということでしたが、今回は77名と前回を下回る結果でした。おそらくは上述した物販の開始時刻との兼ね合いや、地元企業の各社様が発表したコラボ商品を品切れ前に入手したいという心理が働いたためかと推測されます。

第10回は同人誌即売会イベントではなくアニメ公式イベントと連動した開催日ということで、従来より遠方地域の部員さんの参加を見込めるため、過去最高の参加人数に達するのではと予想していましたが…、もしも両者の開催日がずれていたらまた違った結果になっていたのかもしれません。

それでも北は宮城県・南は沖縄県と、作品が好きというだけの共通の信念を抱えた見ず知らずの方々同士で、香川県の最西端の町の海岸を清掃するという貴重な体験をすることができ、良い思い出になりました。

そういった体験をすることができ、香川大学「瀬戸内地域活性化プロジェクト」観音寺班の皆様方、観音寺市役所 地域支援課の職員の皆様方、並びに一緒に清掃活動をして下さった部員の皆様方と物販の代理購入をして下さった部員の方に、この場を借りて心より感謝申し上げます。

最後になりますが、今回記事を書くにあたり参考にさせていただいた文献にて、「リアル勇者部」と「ファン」の関係性について分かりやすく論述して下さっていた文節がありましたので、引用させていただければと思います。

地元公式行事としてボランティアを迎えるという仕組みは結果的に海岸清掃の成果を高めるわけである。森(2022)によれば、地元機関による活動は少数派である。この点でもリアル勇者部の存在は重要である。
確かに、全ての巡礼ファンはリアル勇者部に参加しないし、活動をどう広げ展開するかという課題はある(神田亮氏からの口頭教示。2022年1月)。

ただ、ファンたちが抱く忠誠心を満開にさせて、思いをぶつける場所と機会があるということが重要なのではないか。

森 裕亮 著 「忠誠を誓う ゴミを拾う 地域を担う -アニメ聖地巡礼から始める地域貢献-」
(都市とガバナンス Vol.40)より引用

「リアル勇者部」は部員の方は巡礼体験と舞台地への貢献活動を、「観音寺市」は観光資源である海岸を外部の担い手に綺麗にしてもらえるたいへん優れた事業だといえます。海岸清掃はやろうと思えば一人でもできますが、大勢のファンとの一体感やイベント特有のライブ感はリアル勇者部でしか味わえない醍醐味だなと実感しましたので。

ですが個々のライフステージの関係で、興味はあるが参加できない顕在層部員の方々がまだ大勢いらっしゃるのでは?と個人的に予想しています。(最近だと1期のリアタイ世代ではない高校生の部員さんが、いつかは香川へ行きたい旨のPostをされていたことが記憶に新しいです。)

そういった部員の方々や、これからコンテンツを追いかけてくださる未来の部員の方々を救済する意味でも、同事業は関係者の方々がご無理をなさらない範囲で、これからも末永く開催していただけることを一部員として切に願っております。


以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。

※.記事中に度々出てくる「部員」と、観音寺市の方々が定義する「勇者」は同義だと思っておりますのでご参考までに。





◆ 参考文献

①神田 亮、梅津 彩音、大村 隆史 著(香川大学地域人材共創センター研究報告 第29号 2024年3月31日発行). 瀬戸内地域活性化プロジェクトの実践記録(URL
②森 裕亮 著(都市とガバナンス Vol.40 2023年9月15日発行). 忠誠を誓う ゴミを拾う 地域を担う ―アニメ聖地巡礼から始める地域貢献―(URL
③神田 亮 著(香川大学地域連携・生涯学習センター研究報告 2019年3月31日公開). 自治体と大学が連携したアニメを活かしたまちづくりの実践報告(URL


<編集履歴>
2024年11月23日 第一版として公開



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