一瞬の遊びだったとしても心の中に貼っておいてね
今日で帰ってきて2年。
たぶんもう誰も思い出さない。長崎の彼も、今の恋人も。きのう恋人の前でぽつりと漏らしたけれど、ああ、そうなんだ…という感じだった。
わたしにとって特別な日は誰の特別でもないらしい。仕方がないけれど。
長崎の彼との5年は、問答無用で長かった。
「長い間だったのに 振り返るとあっという間で」
とaikoが歌っているけれど、本当にその通りでいつも泣いてしまう。
じゃあ2年は?長くないのだろうか?いや、わたしにとってはじゅうぶん長いよ。
何人ものひとと付き合ってきたけれど、2年続いたひとってそんなに多くない。確かにあっという間ではあったけれど、短くはないよ。2年前と比べて、仕事も変え、増やし、生活費出してもらうのもやめ、少しは自立しているつもりだけれど、精神的にはどうかな。そのぶんよりかかって重荷にはなっているんだろうな。
そんなに待たせるつもりないって、春までにはって、早くって、何度か聞いたそういう言葉、もうすっかり聞かなくなったし、そんな言葉はなかったみたいになっている。
2年前、甲子園を見ながら、ニトリで買ったベッドをおにいさんが組み立ててくれるのを待ってた。甲子園を見る度たぶんずっと思い出す。センバツもそう。
物音がする度、ひとりで夜中帰ってきてほんの少しでも期待している度、この部屋を更新してはいけなかったと思う。でも不確定な事があったから諦められなかった。どうやらそれもなにも思っていたようにはならなそう。なっていても、いっしょにいてくれるか解らなかったけれど。刺激になればなにかいい方に動く事があるかもしれないと思っていた。この前あっさりそうはならなそう、みたいな話を聞いて思っていた以上に落ち込んだ。結局なにも変わらないんだって。そんな風にあっさり言える程度の話なんだって。わたしだけなんだって。2年前どういうつもりでこの部屋を用意したの?
たぶんあのとき終わらせたかったんだよね。ごめんね。ちゃんと決まったら、もう少し物理的にも、精神的にも距離を取るから、ごめんね。
でもそのあとわたしは一体何をして働いて、どこに住んで、どう生きていけばいいのだろう?生きたくなんかないのに?
わたしが欲しいものを全部持っているからいいよね。わたしはおまけでさ、いなくなってもへいきなんだもん。持っている大事なものがなくなるわけじゃない。ほんと、腹が立つ。自分だけ安全圏にいて。大事なものを大事にして。気まぐれに大事そうなふりをしてみたりして。結局捨てればいいんだもんね。大丈夫だよわたしはいい子だからさ。深刻な迷惑かけたりしないし。よかったね。
わたしが傍にいたくて、傍にいる事をあきらめられなくて、傍にいられればそれだけで良かった5年だった。じゃあこの2年はなんだったんだろう。傍にいたいのは当然だけれど、傍にいられてなんかいない。いられるかもしれないって、いてほしいと思ってくれてるのかもしれないって、期待させられて、そうじゃないんだって気付いても諦められないだけの2年だった。
それでもわたしが悪いんですよ。全部承知の上だったし。仕事が忙しくて大変なのはわたしじゃないし。なんの価値もない。わたしが悪いのです。出来るだけ優秀な恋人でいるから、口うるさいし、メンタル不安定だけれど、ちゃんと身体は出来るだけきれいにしてすきそうな下着付けていつでも使ってすきにしてもらえるようにしてるし、こんなんで良ければ。これだけでいいんだもんね。有り難いですよわたしで良いのなら。大丈夫大丈夫。ちゃんと役目果たすからね。
別に無理しないでいいよ。わたしがお買い物行きたいとかいっしょにいたいとかやかましいからって、始発から仕事行ったりして、本当かわいそうだよね。別にいいって。それをあんな風に書かなくたっていいって。休み調べる暇もないなんてわたしには解らないよ。何回も言って教えてもらったのにそれも適当だったって事だよね。なんなんだろう。わたしの時間って。2年とか、そういう区切りにしろ、極力逢えるようにって予定調整したり考えている事にしろ。わたしだけが。適当な扱いされて当然な程度なのだな。そうだよね。わたしなんかには解らないよ。別にいいよ。もういいよ。
かわいそうにって言われたい。さみしいよねって。我慢してるよねって。がんばってるねって。いい子だねって。はやくしにたい