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【Oxford留学】入学式_Matriculation

Oxfordでは日に日に秋が深まり、建物の外壁を走る蔦の葉が赤く染まりはじめました。栗のような木の実が道端に落ちているのを見かける機会も増えました。
一方で、近所のスーパーでは早くもクリスマス商品が店頭に並び、否応なく年末を意識させられる今日この頃です。

Matriculation

10月14日(土)にMatriculationと呼ばれる入学式がありました。

Matriculationは伝統に則って行われる、儀式的なイベントです。
例えば、以下のように参加時の服装が厳密に定められています。

i. 黒のスーツに黒無地の靴下
ii. 黒のスカートに黒無地のタイツ又はストッキング
iii. 黒のパンツに黒無地の靴下又は黒無地のタイツ又はストッキング
iv. 黒い靴
v. 白か黒の蝶ネクタイ又は黒の紐ネクタイ
vi. ガウン(黒のペラペラのガウン)
vii. 角帽子(又は柔らかい帽子)

ネイビーっぽい色のスーツの人もいましたが、その辺は寛容なようです。

靴下・タイツ・ストッキングはくるぶし全体を覆っていること=足の素肌が見えてはいけないことが条件になっています。また、基本は黒ですが、原語は"dark"であり、ダークグレー、ダークブルー、黒が含まれるようです。
これらの服装は、i.からv.がセットでsub-fusc(サブファスク)と呼ばれています。vi.とvii.は任意です(大体みんな着ていますが)。なおsub-fuscとはラテン語でdark brownを意味します。
詳しいことは以下のページをご参照ください。

ちなみに、v.からvii.の儀式的な服装セットはOxfordのお店で買うことができます(年中売っているかは不明ですが、9月後半には売っていました)。新年度の準備をする学生が買い物をする様子は、ダイアゴン横丁でホグワーツへの入学準備をするハリーたちの姿を彷彿とさせました。

MatriculationはSheldonian Theatreという街の中心部にあるホールで執り行われます。学生は学科毎ではなく、カレッジ毎に集まって式典に参加します。
「式典」とは言いましたが、ホールに学生が集まって、偉い人からチョロチョロっと話を聞くだけのイベントなので、ものの5分ほどで式は終了します。冒頭の数十秒だけですがラテン語で何がしかのメッセージが述べられていました。
わずかな時間の式典ですが、Matriculationを経ることで初めて正式にオックスフォード大学の一員として認められます。その意味で、とてもシンボリックな瞬間でした。

Matriculationを終えた学生たちは近くのRadcliffe CameraやBridge of sighsの周辺でたくさん写真を撮ります。ご多分に漏れず、私もここぞとばかりにシャッターを切りました。Oxfordの観光スポットに黒いマントを纏った学生集団が押し寄せていたので、出くわした観光客の方々もびっくりという感じでした。

sub-fuscを着用したり、ラテン語で式典が進行したりと、現代の価値観からすると不合理と思われる要素も含まれるMatriculationですが、古くから着実に受け継がれてきた文化を尊重するOxfordの思想を身をもって体感することができた大変良い機会でした。今目の前にある文化を後世に残すことに関心がある私としては、Oxfordに入学できて良かったなと感じた瞬間でもありました。

学生に対するサポート

アカデミックな面でのサポートは前回の記事でも少し触れましたが、今回は少し別の角度からです。

私が所属するコースは純粋アカデミズムというよりも主として実務家向けのコースであることもあり、修了後のキャリアについて大学の公式のプログラムを通して強烈に意識させられます。例えば、コースの卒業生の話を聞くキャリアデーが設けられたり、キャリアアドバイザーによるサポートが受けられたり、大学主催のキャリアイベントへの参加が促されたりします。
社会人経験の学生が多いことを踏まえて「キャリアを変更するリスクは取っていいリスクだ。なぜなら、それは中長期的にはリスクではないのだから」と、新しい分野への挑戦を応援するコメントもありました。

また、別のサポートとして、メンタル面のサポートがあります。
多くの学生は、自分1人だけでオックスフォードに留学しに来ています。もちろん、同じ国から来た学生はいますが、お互い自国で顔を合わせたことはなく、オックスフォードで初めましてというパターンが大半です。顔を見知った人が1人もいないという環境は、非常にストレスを感じるものです。加えて、強度の高い学習プログラムが重なると、メンタル面の不調が出やすいようです。このような孤独対策・メンタルケアがしっかりしている点は、国際大学ならではの特色だと感じました。

カレッジの文化

そもそもカレッジとは何なんだという話ですが、OxfordにはCollegeとUniversityという2つの組織があります。

日本語に訳すと両方「大学」になったりするので混乱しますが、ざっくり言うと次のようなことだと思います。

University:ホグワーツ魔法学校
College:グリフィンドール、スリザリンといった個別の寮

実際には、Collegeは学生生活をあらゆる面からサポートしてくれるため、寮としての機能に留まってはいません。とはいえ、カレッジ毎に食堂やコモンルーム(学生が集まって話せるような場所)があるため、イメージとしては上記の感じかと思います。
なお、ホグワーツの大食堂がChrist Church CollegeというOxford随一の名門カレッジの食堂で撮影されたことはとても有名です。

Christ Church Collegeは入場料を払えば誰でも見学可能です

私が所属するReuben Collegeでの説明会で、担当者から「カレッジに所属する学生はお客さんではありません。カレッジのcitizen(市民)として、みんなで文化や風土を作り上げていくことが大事です」という説明がありました。
Reuben Collegeは2019年に設立された極めて新米のカレッジなので、自分たちの文化を育てるために、いろいろなことを模索しているところです。そのような文脈もあって、上記の説明が出てきたのだと思います。
Universityと並び立つ組織として、自律的なコミュニティとなることが求められているように感じました。

Asset Management Masterclass

少しは勉強の話もしようと思います。

通常の授業に加えて、学生が希望する場合には追加でクラスを取ることが可能です。Asset Management Masterclassもそのうちの一つで、幸い履修が許可されたので、授業に出てみました。
投資家から預かったお金をどのような資産に投資をするのか、投資決定の際の考慮要素はどのようなものなのかという基本的な発想を修得することで、私の興味分野であるインパクト投資への理解を深めたいと考えています。
初回の授業はイントロ的な内容だったため、内容面で目新しいことは特にありませんでした。

このクラスは、コースを跨いで学生が参加します。したがって、普段は同じ授業を受けないMBAやMFE(MSc in Financial Economics)の学生と一緒に講義に参加します。受講者は全員で大体100人くらいだと思います。
私のコースは28カ国/41人という構成なので、アジア系の学生はそれほど多くありませんが、Asset Management Masterclassではパッと見で半分くらいはアジア系(インド、中国系が多そう?)の学生でした。
流石に人口が多い国は違うなという気がしつつも、多数の学生をOxfordに入学させることができるという事実は軽視できないなと思いました。Oxfordの卒業生の多くが社会的に重要なポジションにつく可能性が高いことを考慮すると、このような積み重ねの結果としてグローバルな文脈で特定の国のプレゼンスが高まる確率が上がることは自然な流れだと感じました。
なお、Asset Management Masterclassを受講している日本人は100人中3人でした。

ご飯

Reuben Collegeの名物イベントとして、Oxfordの自然史博物館の中でディナーをするという企画があります(Dining with dinosaurs=DwDと呼ばれています)。写真の通り、恐竜の化石の真横でご飯をいただける機会であり、非日常な雰囲気が楽しかったです。
ご飯の味はよく覚えていませんが、それなりに美味しかった記憶です。ちょうど満月ということもあり、中国の月餅がデザートとして供されました。

やや見にくいですが、写真中央部に恐竜の化石が2体あります

このイベントがずっと続くと思って同級生たちに「今度おいでよ!」とディナーのお誘いをかけまくっていましたが、実は博物館内でのDwDはこれが最後ということでした。。。
なお、今後のDwDはカレッジの食堂で行われるようです。肝心の"with dinosaurs"の要素はというと、恐竜の画像をスクリーンに映すことで代替するようです。これってアリなんでしょうか。。

イベントが続く日々も終わりを迎え、ようやく本格的に勉強が始まります。
また何かあれば記事を更新してみようと思いますので、よろしければ覗きにいらしてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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