GPTsを用いたAIチャットボットの開発#03
今回のブログでは、クライアントとチャットサーバーをGPTsを活用して構築する方法で実装していこうと思います。多くの方が既に知っているChatGPTと、GPTsの利用がもたらすメリットや特徴に焦点を当てた説明となります。ChatGPTとGPTsの違いを理解することは、チャットボット構築のための重要なステップだと思いますので、参考になるものがあれば幸いです。
ChatGPTとは - 概要とバリエーション
ChatGPTの基本概念
ChatGPTは、AI技術に基づいたチャットボットで、自然言語処理を活用して人間のような対話を行います。この機能を利用し、人間の言葉を理解し、質問に答えたり、情報を提供したりするチャットサーバーの実装を行っていきます。
無料版と有償版の違い
ChatGPTには無料版と有償版があり、今回の取り組みは有償版の実装方法となります。無料版では基本的な機能にアクセスできますが、有償版に提供されるより高度な機能や追加のリソースを利用することができません。
今回は、高度な対話のカスタマイズ機能(GPTs)を使用します。
OpenAIのAPIとの関係
補足:プログラムをフルスクラッチで作成する場合は、OpenAI APIを利用する方法も検討できます。プログラム+OpenAI APIの組み合わせは、ChatGPTをより柔軟に利用することが可能です。特定の範囲で高度なカスタマイズが必要な場合には、特に有用な選択となります。注意点としては、APIは従量課金制が採用されており、使用したリソースに応じて課金されるなど、ルールが異なります。
前回の記事で、APIについては少し触れています。ご参考まで。
GPTs - 特別なChatGPT
ChatGPTのカスタマイズ:GPTsの利用
GPTsでは、既存のChatGPTモデルを特定の用途やニーズに合わせてカスタマイズすることができます。これにより、例えば特定の業界の言葉遣いや知識に特化したAIチャットボットを作成することが可能です。GPTsを作るということは、基本的なChatGPTに、特定のデータや知識を設定し、機能強化をするということになります。
比較:カスタマイズ性と開発の複雑さ
補足:上に記載の通り、GPTsを利用したカスタマイズでは、既存のChatGPTモデルに依存しながらも特定のニーズに合わせて調整することが大きな特徴です。一方、OpenAI APIによるフルスクラッチで開発をした場合、より広範なカスタマイズが行え、独自の処理を組み込むことができますが、技術的知識とより複雑なプログラミングが必要になります。
GPTsの設定パラメータ
ここからは、GPTsをカスタマイズする際の設定パラメータについて、概要を説明します。カスタマイズするメリットになるパラメーターは、以下の4点で、枠内の2点が特に重要な設定です。
以下は、上記以外のパラメータの概説です。
Name
「Name」は、カスタマイズされたGPTモデルの名前です。例えば、「会計アシスタントGPT」や「労務相談GPT」のように名付けることができます。
Description
「Description」では、GPTモデルの目的や機能、特性を簡潔に記述します。利用者がモデルの機能や用途をすぐに理解できるようにするためのものです。
GPTsの設定例:「モデル就業規則」に特化したチャットボット
以下に、厚生労働省のサイトに掲載されている「モデル就業規則」を、Knowledgeに設定し、質問の受け答えをするGPTsの設定例を記載します。
この設定例を通じて、GPTsがどのように特定の知識領域に特化して設定されるかを具体的にイメージできれば幸いです。
モデル就業規則に関する深い知識を持ち、労働法に関する質問に専門的に答えることができるチャットボットになる例です。Knowledgeを自社の就業規則に変えることで、人事部門への問い合わせ対応などに、有用なツールとなる可能性があると思います。
GPTsの設定画面
Name:就業規則のFAQ
Description:就業規則について、お答えします。
Instructions:
あなたは人事管理と労働法の専門家です。私は会社の人事部長で、社内の就業ルールに関するいくつかの質問があります。これらのルールが労働法と一致しているか、また、従業員の権利と会社の義務のバランスを適切に保っているかを評価してほしいです。具体的な質問は、この後入力します。
Conversation starters:
・労働時間について教えてください。
・退職金について教えてください。
・副業・兼業の考え方について教えてください。
Knowledge:厚生労働省のモデル就業規則の知識
Additional Settings:チェックを外す。(OPENAIに知識を提供しない)
最後に
今回のブログでは、GPTsのメリットや、具体的な設定例に焦点を当ててみました。最後にあまり説明がありませんが、「モデル就業規則」に特化したチャットボットの例を通じて、GPTsが特定の知識領域の専門とする事例を紹介しました。次回ももう少し、Knowledgeの設定に関して、さらに深く掘り下げていきたいと思います。
Dialogflowとは用途が違うので、直接的な比較はできませんが、自然言語生成(NLG)については、全く意識せずに実装できていることが、素晴らしいと思います。