北九州「高専起業部」
おはようございます。
部屋のエアコンが故障して、汗だくで扇風機にしがみついていた子ども時代を思い出している武内和久です。
先日、北九州高等専門学校(以下、北九州高専)のワクワクする取り組み現場を見学させていただきました。
その名もずばり、『高専起業部』です。やはり北九州は、ものづくりスピリットの先端都市だなと感激しました。
私自身、ずっとビジネスの世界で、ベンチャー起業支援に関わってきたこともあり、起業(スタートアップ)については興味津々です。
高専起業部は、いわゆる純粋な”部活動”ではありません。
ファブラボというスペースが、学校の中に設けられており、そこに有志の学生たちが集い、新しいアイデアを語り、それを実践すべく自分たちで活動しています。運営主体は、北九州高専発のスタートアップ企業で、企業から製品の試作や開発を請け負うネクストテクノロジー(秦裕貴代表、本社は北九州高専内)であることもユニークです。
ファブラボには、パソコンはもちろん、3Dプリンターや各種工作機械が設置されています。
学生たちは、学業の中でそれらの使い方を学ぶだけでなく
現場のために使われており、まさに生きた教育・実践がなされていると感じました。
入学はしたものの、学校で学ぶことを馴染めなかった学生が、高専起業部の一員となったことから、水を得た魚のように率先して学ぶようになった例もあるようです。
お会いした一人の青年は、落第寸前、学ぶ意味も感じられず、将来を見失っていたそうです。
でも、この「高専起業部」に出会い、手を動かし、モノを作ってみる、ことで覚醒し、どんどん面白くなったと。
このことは、とても重要な示唆に富んでいます。
起業という言葉は、なにも、生計を立て、稼ぐことだけが目的ではありません。
むしろ、起業には、『(社会)問題を解決するため』に挑戦するというマインドがベースにあることが多いと思います。
ですから、実際に手を動かし、やってみて、失敗したらまたやり直し、というサイクルがグルグルと回ります。問題を感じたり、アイデアを思いつくのは、大人も子供も関係ありません。
むしろ、柔軟な思考をする若年層の方が秀でていることもあるし、経験や勘を蓄えたベテランの方の力も大事です。
それに加えて、高専起業部には、『学校で学ぶ専門的なものづくりの知識』『バックアップしてくれる企業(ネクストテクノロジー)』『切磋琢磨する仲間たち』という要素が揃いつつあります。
実際に、問題解決するためのプロダクトを開発しており、中には、大手企業による商品化まで到達しているものがあったり、遠くアフリカののケニアやナイジェリア、ルワンダに行き、農業や水問題の解決を目的とした試作品を現地提供したりもしているそうです。
そういった経験を通して、学生たちの意識も変化してきています。
大手企業への就職一択だった目標が、「働くことの意義」「作ることの意義」を意識し始めた結果、ベンチャー企業、起業へと視線が向いてきているのです。
北九州には、目立たなくともBtoBの魅力的な企業がたくさんあります。また、引き継がれてきたモノづくりやテクノロジーのDNAが息づいています。これは一朝一夕にできるものでは決してありません。
北九州高専起業部のような場が、北九州の中にたくさん出来て、それらが繋がっていくことを想像すると、ワクワクが止まりません。
若者から学ぶことをこれからも楽しんでいこうと思います。
(動画は、足の臭いを測定し、臭いと転倒するロボット🤖)