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#1 今週の生成AIニュース(2024/12/30〜)

あけましておめでとうございます。

2025年の目標の1つとして「インプットとアウトプットの習慣化」を掲げているのですが、後者(アウトプット)への取り組みとして生成AI週報のようなものを開始してみます。

重要度の高いニュースやnotableな海外スタートアップの動きなど、基本的には私が「おおっ」と思った生成AI関連の情報を端的にまとめて毎週土日に発信するつもりです。正直なところ、全ての情報をキャッチアップできるわけでも、独自のインサイトを提供できるわけでもないとは思いますが、継続、そして改善を重ねながらまずは1年やり続ける所存ですので、どうぞお付き合いいただけますと幸いです。


📌 Nvidia、7億USDで買収したAI向けGPU管理クラウド「Run:ai」をオープンソース化へ

画像引用:Run:AI

NVIDIAによるAI向けGPUクラウド管理ソフトウェアを提供するRun:aiの買収が完了したとの発表がありました。24年4月に買収意向は発表されており、買収額は公表されていないものの、約7億ドルと推定されています。

また、買収完了と共にRun:aiが開発したソフトウェアがオープンソース化されることも発表されました。この理由は明らかにされていませんが、規模の拡大に伴う独占的な市場支配が規制当局の監視を招く可能性があり、反トラスト法への対応策の一環と考えられます。実際、MicrosoftはActivision Blizzardを687億ドルで買収した際、反トラスト規制当局の懸念を和らげるために、Activisionのゲーム『Call of Duty』を他のプラットフォームに10年間提供するライセンス契約を結んでいます。

また、オープンソース化することでグローバルでのコミュニティ形成、NVIDIA以外のGPUでも利用してもらうことによるAIインフラ領域での存在感向上も期待できます。昨今、半導体や(生成)AIなどを巡る米中の競争が激化していますが、AIに関して言えば、アメリカを追いかける立場として中国が急成長している背景にはオープンソース戦略が採用されていることが大きいと言われています(OpenAIやGoogleのGeminiはクローズドソース)。

📌 DatabricksとSnowflakeが同じスタートアップの買収を検討していたことが判明

画像は元記事より引用

DatabricksとSnowflakeは、企業のデータ管理を支援するソフトウェア分野で激しい競争を繰り広げていますが、最近、DatabricksとSnowflakeの両社が出資しているVoyage AIを買収する可能性について話し合いが行われました。しかし、Snowflakeは既に類似した製品を販売しており、Databricksによる買収も実現する可能性は低いとのことです。

SnowflakeとDatabricksが同じスタートアップをターゲットにすることは過去にもありました。例えば、2023年にSnowflakeがデータストレージプラットフォームを開発するTabularに6億ドル以上で買収交渉を進めていましたが、最終的にはDatabricksが約20億ドルで買収しました。また、広告のないプライベート検索エンジンを開発するNeevaは当初Databricksに接触していましたが、2023年にSnowflakeに買収されました。

過去2年間、DatabricksとSnowflakeは、企業の自社データ管理を支援する分野で競争してきましたが、今回の交渉によって生成AIを活用した企業向けのデータ検索技術へと競争が広がっていることが示されました。

VoyageのCEOを務めるTengyu Ma氏は、スタンフォード大学の計算機科学および統計学の助教授であり、2023年にスタンフォード大学の大学院生と共にVoyageを共同設立しました。同社はこれまでに2,800万ドルを調達しておりますが、最新の資金調達ラウンドは24年10月に発表されたシリーズAで、CRV(リード投資家)やSnowflake、Databricksから2,000万ドルを調達しました。

📌 Wordで機能するMicrosoftの新しいLarge Action Model(LAM)

画像は元記事より引用

Microsoftが「Large Action Models(LAM)」と呼ばれる新たなモデルを発表しました。このモデルは、自然言語を理解・生成するだけでなく、ユーザーのリクエストに基づいてWindowsプログラムを自律的に操作することができます。このコンセプト自体は完全に新しいものではありませんが、Microsoft Office製品との連携に特化してトレーニングされたモデルはこれが初めてです。

LAMの構築には、①タスク計画データを用いたトレーニング、②GPT-4oのような高度なモデルからの学習、③新たな解決手法の独自の探索、そして④報酬モデルを用いた性能最適化という4つの主要な段階があります。

実際に行ったMicrosoft Wordでのテストでは、Mistral-7Bモデルをベースに構築したLAMはタスクの成功率71%を達成し、GPT-4oの63%(視覚入力なし)を大幅に上回る速度を示しました。

しかし、このシステムにはまだいくつかの課題が残っています。AIの行動が誤った結果を招く可能性に関する懸念や、解決が必要な規制上の問題、さらにはスケールアップやさまざまなアプリケーションへの適応を困難にする技術的な制約が挙げられます。

それでもMicrosoftの研究者たちは、LAMがAI開発における重要な転換点を示しており、AGI(汎用人工知能)への重要な一歩を象徴するものだと述べています。単にテキストを理解して生成するだけのAIシステムではなく、現実のタスクを積極的に支援してくれるAIアシスタントの登場はもう間もなくかもしれません。


今回はここまでにします。お読みいただきありがとうございました。
次回以降は取り上げるニュースをもう少し増やしていきます。

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