noteでノベルゲーム『薔薇の城』 *4 右に避ける
右に避ける
私は咄嗟に右に身を引く。
先ほど私がいた位置へ向かうまっすぐな薔薇姫の突きが、不自然に曲がる。
「無駄よ」
剣が曲がる。剣先の軌道が、空間をねじ曲げるように確実に右に変化している。避けられない。私は必死に身体をねじり、急所をかばう。
「ぐゥ……ッ!」
薔薇姫の突きは、私の左肩を捉えていた。刺し貫かれる痛みが、全身を震わせる。
「貴女が避けることくらい、私には分かってるの」
そう言いながら、薔薇姫は腕の力を強める。ズブリ、ズブリと剣は私の肉を裂き、奥へと入ってくる。
「避ける方向に合わせて軌道を変えるくらい、難しい話じゃないわ。痛い? でもすぐに痛くなくなるわ。貴女の腕はなくなるんだから」
薔薇姫の目が鋭く光る。刺さった剣を横になぎ払い、腕を切り落とすつもりだ。
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