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映画『同級生』(1998年・イギリス)を観た

 Amazonプライムで映画『同級生』(1998年・イギリス)を観た。ここんとこ、絵を描く気力も、Unityの勉強をする力も、ゲームする力もなくて、ただぐったりしてるのがもったいなくて、何もできない時は映画を観るようにしている(不純な動機ですみません)。今日はリビングに移動する力がなくて、ベッドでiPadで鑑賞。

 高校生スティーヴンは実はゲイ。親友のリンダにだけは言っているけど、家族や学校の友人には告げていない。それでなくても隠キャで学校ではいじめられているし、いじめのせいで授業に遅刻し続けて、先生からは問題児扱い。文章を書くことが好きで、小説家になりたいという夢はあるし、エッセイのコンテストのために頑張って書いてみるけど、自分の納得のいく文章が書けずに思い悩んでいる。

 そんなスティーヴンは、公園のトイレで不特定多数のゲイと会い、その場限りの肉体関係を持つスリルを繰り返していくんだけど、ある日関係を持とうとした相手は、同じハイスクールの特待生で、イケメンで、学校一の人気者ジョンだった。驚愕する二人。

 ジョンはゲイじゃないし、美しいモデルをやってるガールフレンドもいる。ただ試してみたかっただけ、気の迷いだ、と去ってしまうが、スティーヴンはジョンに恋をしてしまう。

 学校でもジョンに無視されてしまうスティーヴン。片思いを募らせながら、それでもあきらめることに慣れているスティーヴンは、少しずつふさぎ込んでいく。

 しかしあるダンスパーティーの夜、突然スティーヴンと二人きりになったジョンは、その過去と本心を打ち明ける、というお話。

 まあ僕がゲイなので、Amazonプライム開いたらまずLGBTQの映画とかドラマを検索するんですよ。で、良さげと思ったらとりあえずウォッチリストに入れてるんですが(もちろんLGBTQ以外の映画もバンバン入ってるんで、ウォッチリストが大変なことになってる。俺はいつになったら『落下の解剖学』を観れるんだい?)、ちょっと長いことリストに寝かしすぎて、このまま観ない危険性を感じて観ました(笑)。

 古めの映画なんで、画質や音楽も古い感じなんですが、そこが良い。非常に良い。今、逆にこういう質感や音楽の映画って撮れないんじゃないでしょうか。ちょっと色褪せた色彩に、懐かしい郷愁を覚える音楽。味わい深いです。

 物語は王道ですが、しっかりヤキモキさせてくれます。ちゃんと愛されたいと願うスティーヴン、周囲にゲイバレすることを恐れるジョン。そもそも二人は隠キャの極みと陽キャの頂点。学校で一緒にいることさえ怪訝に見られる有様。そのすれ違いがもどかしい。

 そして結末は非常に切ないです。スティーヴンをズタズタに傷付けておきながら「君を愛してる」と言うジョン。そのジョンを一言も責めずに「どうか幸せに」と言い残し、最後まで愛し抜いて自ら去っていくスティーヴン。いや、ジョン、お前追いかけろよ! 「愛してる」って言ったんなら、せめて抱き締めろよ! でもジョンは座ってうつむいたまま。いや、それができないのがジョンで、そんなジョンも受け止めて愛したんだよな、スティーヴン。お前、ホンマに高校生か。世にアホ高校生を見かけたら、君は説教していい。

 LGBTQの映画って、最後に結ばれるか結ばれないかすると思うんですけど、僕はどっちかと言うと結ばれない方が好きで。現実のゲイたち(と言っても遠い昔ですが。今は特別ゲイの友人と交流を持てているわけでもないし、ってか普通に友人関係を遮断してるので)が悩んだり困ったりしてきたのをたくさん見てきました。こう見えて昔ゲイバーの店子(バーテン)をしてたので、否が応でも目に耳にせざるを得なかったわけですが、映画で二人が結ばれると心のどこかで「そんなウマい話あるわけねーじゃん……」って冷めてしまうのですね。

 もちろん、結ばれることによって良いと感じた映画・ドラマもありますよ。最近観たのだと『彼の見つめる先に』『君となら恋をしてみても』とか良かったです(前者はホント良かった。後者は男の子二人ともタイプだったw 特にいやマジで龍司にはキュン死にしたwww あんなんおったら白旗上げるしかないwww 俺の脳は中学・高校から進化してねえと思ったwww)。タイや中国、台湾のBLドラマとかは苦手です。甘すぎて。いや、ゲロ甘にも限界がある。フランス菓子もエジプトのコーヒーもビックリよ。

 2時間という枠の中で、ストレートの恋愛ならいざ知らず、ゲイの恋愛を描き切るのって難しいと思うんですよ。そもそもゲイって普段どんな感じ? っていう説明から必要になるし、いざ恋愛したら何が問題になってくるの? って話も入れないといけない。尺が足りなくなると思うんですよ(『エゴイスト』は尺が足りてないと思った)。この『同級生』はうまくまとめてあるな、と感じました。

 さて、次は何を観ようかしら。LGBTQ映画の海は広大だわ(『ソドムの市』も『落下の解剖学』も観る気がねぇぞ、コイツ!/『攻殻機動隊』のラストのイメージでお願いします)。

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