かわいいリボンをつけることが許せた日
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100均で買った。
このリボンをつけることが許せた日。
小さい頃から「かわいい」は私の担当ではなかった。
もちろん「かわいい」と言ってもらうことはたくさんあったと思うが、そういうことではない。
地黒に加えて、水泳を習い、外遊びが好きだったから肌の色は周りの子より黒かった。
そんな私にフリフリのお洋服やかわいいリボンは似合わなかった。
担当はボーイッシュだった。
元気の塊みたいな私におしとやかは似合わない。
そういうキャラクターではなかったし、私自身そういうタイプではないと思っていたから憧れもしなかった。
本当に憧れもしなかったのだろうか。
本当に似合わなかったのだろうか。
かわいいお洋服は居心地が悪かった。
リボンをつけると自分が嫌になることもあった。
なぜ、どうして、そこまでなる必要はあった?
似合わないって誰が決めた?
リボンをつけてみたかった。
100均で買った黒のリボンは、黒髪の私にとって優しい主張をしていた。
実際似合っていたかどうかはわからない。
でも、リボンをつけている自分を許すことはできた。
少し緊張はしたけれど、嫌になることもなかった。
嬉しかった。すごく嬉しかった。
思い返せば、1度だけ買ってもらった子ども向けのファッション雑誌の中で一番気に入っていたのは、全身が黒と紫でコーディネートされたリボンもフリフリもたくさんついたお洋服だった。
かっこよくてかわいくて大好きだったけど、キャラじゃないから内緒にしていたのを思い出した。
憧れてないなんて、隠してただけじゃん。
憧れていたお洋服を着る日は来ないかもしれないけど、好きを取り入れることはできるのかもしれない。
容器と化した私にとっては。
そう思えた日だった。
2024.09.23