書籍「SPRINT」より、普段の仕事にも使えそうなメソッドの紹介
株式会社Da Vinci Studio のフロントエンドテクノロジスト、shibaです。
先日、「となりのデザインスプリント」というオンラインイベントのLTを聞きました。
デザインスプリントは名前だけ聞いたことがありましたが詳しく調べたことがなかったので色々と良いインプットになりました。
デザインスプリントはプロジェクトメンバーが月曜から金曜までの5日間1つのプロジェクトに集中してコミットし、5日間で課題の洗い出し・解決策の提案・提案の検証まで行ってしまうえげつない手法です。
自分が所属する株式会社Da Vinci Studioでは、基本的に複数のプロジェクトに関わりながら仕事をしているのでこれそのものは実践できそうにありません。
ただ、たった5日間で1つの課題に対する検証まで行ってしまうその中身のメソッドにとても興味を持ちました。
というわけで、先述のLTで紹介されていたデザインスプリントの原典とも言える本、「SPRINT 最速仕事術――あらゆる仕事がうまくいく最も合理的な方法」を読みました。
この本の中から普段の仕事にも活かせそうなメソッドをいくつか紹介します。
紹介するメソッドは
検討の焦点を定めるメソッド3つ
検討のための調査をするメソッド2つ
プロトタイピングの方針を決めるメソッド1つ
です。
ここからはデザインスプリントをこの本での呼称であるSPRINTと記述します。
検討の焦点を定めるメソッド
「楽観→悲観」メソッド(86ページより)
プロジェクトの目標とチームの行動指針を定めるメソッドです。
まず最初に楽観的に考えます。
プロジェクトの長期的・中期的・短期的ゴールとして「こうなっているといいなあ」を考えます。
書籍では期日の例として「半年後、1年後、5年後」が紹介されていました。
次は悲観的に考えます。
「楽観的に考えたゴールを達成できないとしたら何が原因だろうか?」という懸念を洗い出し、質問のかたちに起こします。
例えば、「ユーザーが〇〇することが必要」から「ユーザーは〇〇してくれるか?」のようなイメージです。
SPRINTではこの質問を「スプリントクエスチョン」と定義されており、プロジェクトにおける重要な検証項目として行動指針になります。
「マップ」メソッド(92ページより)
ユーザーがゴールに行き着く流れとプロジェクトで議論するべき論点を定めるメソッドです。
ユーザーがサービスを利用し始めてからユーザーのゴールを達成するまでのフローをまとめます。
まず最初に関わるユーザーを左側に縦に列挙し、最終的な価値(ゴール)を右側におきます。
そこからユーザーとゴールの間にどんなフローがあるのかをシンプルなフレーズと矢印で繋いで完成です。
マップを作る上で注意するべき点を3点挙げておきます。
フローは極力シンプルな言葉で書くこと。
詳細に書きすぎると読み直す際に負担がかかります。一番右におく最終的な価値(ゴール)は一つに定めること。
複数ある場合はサービスのコンセプトがぶれている可能性があるのでそこから見直したほうが良いかもしれません。フローのステップが20を超えたら多すぎるのでシンプルに調整すること。
書籍では「理想は5〜15」と語られています。
「どうすればメモ」メソッド(111ページより)
課題を前向きに検討するためのメソッドです。
現状に対して課題を整理するときに「〜〜ができない」のように否定的な言葉を使わずに「どうすれば〜〜ができるか」という書き方で整理しよう、というシンプルなものです。
言葉遣いが変わるだけで自然と課題に対して前向きに検討できるようになります。
注力したい「どうすればメモ」は先述のマップの中に貼ることでサービス全体のどこを焦点にするべきかの指標になります。
SPRINTでは、検討当初にヒアリングして課題抽出するときのメソッドとして登場しました。
また、書籍では複数の「どうすればメモ」がある場合は一番大きな問題から取り組むことでサービスの価値を確立することができることが示唆されています。
検討のための調査をするメソッド
「光速デモ」メソッド(144ページより)
使えそうな既存のアイデアを探すメソッドです。
ジャンルに関わらず使えそうなアイデアを探し、そのアイデアのいいところをスクリーンショットで集めるというものです。
ポイントはスクリーンショットのみを集めるのではなく、参照できるよう「サービス名」、そのスクリーンショットを集めた意図がわかる「何がどういいのか」まで整理することです。
SPRINTではチームで10〜20個(多!)のアイデアを見つけ、それらを1人3分という超"光速"な制限時間で共有して整理します。
このアイデアの集め方は一人でも十分活かせそうです。
「4段階スケッチ」メソッド
159ページより。
検討するアイデアを創造するためのメソッドです。
特に使えそうな既存のアイデアをピックアップして整理する
それらを組み合わせておおまかなソリューションをざっくり書く
ソリューションのバリエーションを強引に広げる
詳細を3コマで整理する
という4段階のメソッドです。
3の手法として書籍では8分間で8つのアイデアをスケッチする「クレイジー8」という手法が紹介されていました。
ここでいうクレイジーはクレイジーなアイデアを出すということではなく、8分間で8つのアイデアを出すこと自体がクレイジーだということに注意です。
4の3コマで整理する際の注意点は「言葉や言い回しは省略せず現実的なものを書く」ことです。
〜〜と省略してしまうと解釈の幅が広がってしまうので正常な比較ができなくなるおそれがあります。
また、それぞれの3コマアイデアにはタイトルを付けておくと議論しやすくなります。
プロトタイピングの方針を決めるメソッド
「ストーリー」メソッド(209ページより)
プロトタイピングの作業の計画を建てるメソッドです。
画面を具体的に作りはじめる前に体験の流れをマンガ形式で手書きで書き出すメソッドです。
手書きでざっくり書き出してからプロトタイピングすれば、具体的に詰めていく前に体験の流れに違和感がないかを確認できます。
ポイントは提供する体験に入る一歩前を忘れず書くことです。
例えばサービスのLPを見ることが主となる体験だとすれば、そのLPを見かけるきっかけ(広告やプレスリリース記事など)に触れるところから整理します。
おわりに
良くでくださった人に少しでも普段の仕事に使えそうなメソッドが見つかっていると嬉しいです。
メソッドそれぞれはさらっとしか説明していないので、詳しく知りたい方はぜひ本を参照してみてください。
読んでくださりありがとうございました!
この記事は 株式会社Da Vinci Studio のデザイン部で定期的に行われているLT会の資料の一部(というか大半)を記事の形に起こしたものです。
社内勉強イベントは聞くのも話すのも勉強になって良いですね。
そんな Da Vinci Studio ではデザイナー、エンジニアともに積極採用中です。
よろしくお願いします!