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_shi_ : オリジン

『僕のヒーローアカデミア』(通称『ヒロアカ』)がもうすぐ最終回と聞き、少し寂しい気持ちを抱きつつ、続きが気になるこの頃。
私はコミックス派なのでリアルタイムでは追えていませんが、ダイレクトに心を掴みにきてくれる大好きな作品です。
https://www.shonenjump.com/j/rensai/myhero.html

『ヒロアカ』には、登場人物が「ヒーローもしくはヴィラン」となるきっかけのような出来事や、その人物の原点となるような話のタイトルに「オリジン」と付く回があります。

私は、漫画の中のキャラだけではなく、この世界に生きている人にはみんな「オリジン」があると思っています。
私は、色んな人の「オリジン」を読んでみたいし、聞いてみたい!
もしも思い当たる記憶がある人は、ぜひコメント欄で教えてください。
記事のURLを貼っていただいても大丈夫です。

もしも、「自分にはオリジンなんて大層なものはない」という人は、
実現したい自分と過去の出来事が自分の中でうまく結びついていないだけかもしれません。
そんな人に、「このくらい軽く考えても大丈夫なんだ」「何かを成し遂げていなくても、オリジンを持っていてもいいんだ」と思ってもらえるように、
私のオリジンについてお話しします。

皆様のオリジンを振り返るきっかけになりましたら幸いです。


小学2年生の夏休み、「『ONE PIECE』に出てくるメリー号が上陸するから」と、母が私と弟を連れて東京のお台場へ旅行に連れて行ってくれました。
母の影響で『ONE PIECE』が大好きだった私と2歳年下の弟は、大はしゃぎでメリー号を堪能しました。あの麦わらの海賊の一味と同じ船に乗っている興奮、等身大の人形の腕に描かれた✖️マーク…平成には「エモい」というような感傷的な言葉はなかったので単純に、「サイコーーーー!!!」という気持ちで、あらゆる写真スポットで写真を撮ったものです。
その後には大江戸温泉物語で遊び、宿泊しました。広くて綺麗な温泉と、地元では食べたことないようなご飯、手裏剣を投げるコーナーで遊んだりしながら楽しく一夜を過ごし、(明日はどんな楽しい場所に連れて行ってもらえるんだろう)とワクワクして眠りにつきました。

次の日、母が私と弟を連れて行ってくれた場所は、「日本化学未来館」という場所でした。
田舎育ちの私にとって、ガラス張りの建物は現代のものではなく、未来の、もしくはアニメの世界の建物のように感じました。
中に入ってみると頭上に大きな地球儀(ジオ・コスモスと言うらしいです)が浮かんでいて、非日常の世界が広がっていました。

理科も習っていない年齢だったので、内容は全く分からないまま見ていましたが、それでも見るだけで斬新で新鮮でした。
特に、宇宙の展示はとてもワクワクしました。宇宙に行くと身体が浮く、と言うのもこの場所で初めて見て感じることができました。それは、宇宙居住棟の展示の、あらゆる所に手すりがついている様子や、壁に固定された寝袋などを実際に見ることができたからに他なりません。

このように、今では楽しかった事として語れるこの思い出の場所には、
私にとってのヒーローがいました。
そのヒーローがいなければ、この思い出は私にとって、
「つまらない思い出」「嫌な記憶」「寂しい記憶」として
残ってしまったのではないかと思います。

私のヒーローとの出会いについてお話しさせてください。

その時、私は不貞腐れていました。
入館した時には、大きな地球儀や、いつも見ないような建物に興奮していましたが、昨日からの歩き疲れと見たかったプラネタリウムの上映が終わってしまっていたことが重なって、一気に気分が冷めてしまったのです。
そこに追い討ちをかけるように、弟と私の見たい展示や行きたい方向が分かれました。当然、母はまだ幼稚園生である弟を優先するので、もう寂しいやら悔しいやら悲しいやらつまらないやらで、とても展示を楽しむ気分にはなれませんでした。
私は母と弟から離れ、自分の気持ちを落ち着かせたくて、風車の展示を見ていました。(今では展示内容が変わってしまっているかもしれませんが。)
私としては、展示自体が面白かったとか、興味があって見ていたのではなく、時間潰しとやさぐれた心を落ち着けるために見ていただけだったのですが、1人のスタッフのお姉さんが「何見てるの?」と声をかけてくれました。

当時の私は人見知りだったので、警戒心MAXで、できれば喋りたくないくらいだったのですが、母は弟と別の展示の解説を一緒に聞いていたので助け舟も出せず、渋々自分で指差して答えました。
「これ。」
私は正直何を見ているかも分かっていなかったので、展示物を指差して「これ。」と言うしかありませんでした。
スタッフのお姉さんは、嫌な顔せず、「そうなんだ。これが好きなの?」と聞いてくれました。私はというと素直に「分からない。」と答えた気がします。

「これはね、電気を作ってるところなんだよ。」(「電気で動いている」だったかもしれません…すみません記憶があやふやで…)
お姉さんが教えてくれました。解説板は漢字が混じっていて読めない上に難しい説明だったので、模型が動いていることしか分からなかったのですが、お姉さんが教えてくれたおかげでその模型が面白いもののように見えてきました。

ただ、何も分からないまま見ていたことに恥ずかしさを覚えた私は、「へぇ。」と言って別の場所へ移動してしまいます。
そんな生意気な子供である私を気にかけて、スタッフのお姉さんは着いてきてくださいました。迷子かと心配してくださっていたのかもしれません。
着いてくださる中で色々話しかけてくださったり、これも面白いよと相手をしてくださって、私も少し、お姉さんに対して心を開けてきました。
そして、この場所が面白い場所であったと思い出したところで、母が弟を連れて合流しました。
その後も色々お話しを聞きたかったのですが、そのスタッフのお姉さんはTV取材があるとのことで、その場でお別れし、また展示を見てまわって時間があったら会いに行こうということになりました。

結局、タイミングが合わずそのスタッフのお姉さんとは会えず仕舞いでした。
ただ、お姉さんのおかげで、私は日本科学未来館を最後の最後まで楽しむことができ、とても楽しかった幼少期の思い出として今も覚えています。

その時に、「こんな風に、顔は泣いていないけど心では泣いている人に気づいて、笑顔にできるような人になりたいな。」と思ったのです。
そして、「こんな面白い場所で働いてみたいな。」と思ったのです。

これが、私のヒーローとの出会いでした。
今では20年程前のことになりますが、あの日にあのスタッフさんからいただいた「あたたかさ」は、今でも私の大切な宝物です。

成人して「夢」を追いかけるために上京し、アルバイトさせていただいた場所は、あの日の私が「働いてみたい」と思い描いた場所に似ていました。
その場所で、私も誰かの思い出づくりのお手伝いができていたら嬉しいな、と思いながら働いた日々は、また一つ、私の大切な宝物となりました。

数年が経ち、夢を諦め、アルバイトしていた場所からも離れた私ですが…
何かを表現することや、何かを創り出すことで、
誰かの涙を拭いたいという思いで作詞作曲をしています。
もしよろしければ聞いてみていただけたら嬉しいです。

この曲が、誰かの心に寄り添ってくれますように。


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