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ミシシッピと結婚指輪を選んだ話
自分には婚約者がいる。夏に結婚する予定だ。
ミシシッピについて
自分は「彼氏」というワードが無性に嫌いだったので、SNS上では「彼氏」以外の呼称として「ミシシッピ」を採用している。
Twitterで高校の同級生から「彼ピッピを文字ってミシシッピにしたら?」みたいな提案を受けたのがきっかけである。
本人は三十路なので、
「俺が四十路になったら『ヨシシッピ』、五十路になったら『イシシッピ』になるね」
と言っている。
たぶん幾つになっても、「ミシシッピ」と呼ぶと思う。
彼ピッピ&同居人&婚約者でもあるミシシッピと、結婚指輪を買いに行くことになった。
おしゃれ街に降りる
やってきたのは、おしゃれな街。
多方向に歩くおしゃ人(ビト)や外国から来た観光客たちがいる中で、
都会が好きな自分と、裏道自然な道が好きなミシシッピが降り立った。
今回は、指輪の内容や金額等の見積もりを貰うのが目的だ。
モチベーションとしては、以下の通りである。
自分:本気度が高く、オリジナリティのある指輪を選びたい。
ミシシッピ:なんでもいい。安いと嬉しい。
いかにして自分が納得しつつ、ミシシッピから意見を引き出し「ちゃんと2人で選びました」という感じにするかが勝負である。
それと、ミシシッピは都会の雰囲気が得意ではないので、なるべくストレスをかけないようにすることも大切だ。
好みも価値観も違う自分たちは、果たして結婚指輪を買えるのだろうか。
今回は各お店への感謝の意を込めて、あえて店舗名を紹介する。
うんこした日にしか書かないようなnoteなので、当然ながら広告収入等はない。
丁寧に対応してくださった恩返しとして、ささやかながら宣伝への協力をさせて頂く。
ケイウノさん
割と前から気になっていたお店である。
既成のデザインから、一部をアレンジしてオリジナリティを出せるところが面白いと思い予約をした。
入店早々、上品で柔らかオシャンな雰囲気を前に、少しだけ、帰りたいと思った。
なぜならば、自分は、割と大きく「SHIBUYA」と書かれたTシャツを着ていたからだ。
カジュアルな格好をすることが多いから、カジュアルでも合う指輪が欲しい。今日の服はカジュアル全振りしていこう。
とした結果が、上品な店内に合わず、割と恥ずかしくなった。SHIBUYAは決して悪くない。
予約したことを伝え、座席に案内された。
テーブルの上にスマートフォンとメモ代わりの手帳を置いた。
商品の案内が始まった頃、店員さんから
「アリエルがお好きなんですか?可愛いですね」
と言われた。
え?アリエルしゅきだけど?なんでわかったの??
と、思ったものの、実は自分のスマートフォンにつけてある『リトル・マーメイド』のステッカーを見ていたのだ。観察力ありすぎない??
その後も度々褒められた。SHIBUYAごと褒められた。
ミシシッピはちょっとだけ驚いていた。
指輪の試着やデザインの提案をしてもらいつつ、
「お二人の出会いはどこなんですか?」
と聞かれた。
実は自分とミシシッピは、
会社の喫煙所で話す仲で、
小便の話の最中に自分が惚れて、
一緒にカルト的知名度が高い糞映画を観た帰りに交際を開始したのだ。
言えない。こんな上品な店内で。そんなヤニと小便臭い恋の話なんて言えない。
自分が店員だったら反応に困ってダブルピースをキメるだろう✌️🙂✌️
オブラートを何枚もかけて、
「へへっ、同じ会社ですァ」
と答えた。
共通の趣味についても聞かれたが、これも2人の趣味が違いすぎて、
「へへっ」
しか言えなかった記憶がある。
(のちに、アニメ鑑賞じゃんと思い出した)
ケイウノさんの凄いところ。
それはデザインの速さである。
指輪を選んでから、あれよあれよと「デザイナーが来るので少しお待ちください」と言われた。
「職人」と聞き間違えた自分は、「『ドリフターズ』のドワーフみたいな、低身長マッチョの職人が来るのかな」などと言っていたが、
来るのは「デザイナー」である。
店員さん同様、上品なデザイナーさんがやって来た。
指輪の内側の刻印等をその場で描いて提案してくれるそうだ。
あれよあれよと複数提案してくる。
自分たちのイニシャルが隠れているデザイン、夏らしく花火の模様、自分たちの名前の漢字をめちゃくちゃ良解釈して生み出されたデザイン。
牛丼が出るよりも速く、上質な提案をバンバン頂いた。
「数字の刻印のフォントはどうします?」
と聞かれ、無料のフォントと有料のフォントを見せてもらう。
無料のフォントはゴシック体だけで、シンプルな指輪にしたいならピッタリといったフォントだ。
無料のフォントで、例として記された「2022.1.1」を見て、ミシシッピが
「IPアドレスみたい」
と言い始めた瞬間、一気にIPアドレスにしか見えない呪いがかかった。
フォントの話し合いも「無料か、有料か」ではなくて、「IPアドレスか、有料か」という話に変わった。有料にした。
あれあれあれよと、デザイン等を決め、見積もりをもらい、退店した。
ケイウノさんは情報量と、至れり尽くせり充実感が多かった。とてもとても。
CRAFYさん
手作り指輪も気になっていたので、手作りができるお店にも行った。
手作り指輪は、指輪作りの一部を自分たちの手で行うことで、指輪への愛着が一層深まり、なおかつオリジナリティが生まれる。
しかも安価なのも良い。
白を基調としたシンプルな店内に通されると、作業台があるイスへ案内された。
周りの客はカジュアルな雰囲気の人が多く、
自分が身に纏っているSHIBUYAも馴染んでいた。
成城石井にしか無いようなカンのお茶とチョコクッキーを頂きながら話を聞く。
実際の指輪をズラズラと見せてもらいつつ、ミシシッピと好みのすり合わせ、店員さんと意見の共有をしていく。
丸から角ばった多角形、2色づかいや、細かい模様など、どれもクオリティやデザイン性が高い。
「実際に体験してみますか?」
と言われたので、指輪作りを体験させてもらうことにした。
店員さんが準備をしに席を外している間、ミシシッピはエプロン装着しながら、
「いやコレ無理だよ。こんな良い感じのやつ作れないよ」
と言っていた。
「まぁとりあえずやってみようよ。細かい部分は職人さんがフォローしてくれるかもしれないし」
と返し、
余裕のある自分と、心配し始めたミシシッピで、いざ、指輪作り体験が始まった。
今回は青い蝋の指輪を削る作業だ。
青い蝋の指輪から型を作り、そこに金属を流し込むことで指輪になるらしい。
少し太いパイプのような蝋の指輪。
まずはその外側を糸ノコギリで削り、指輪の大体の厚さ決める作業から始まる。
削る目標は輪の表面に引かれた白い線まで。
実際に糸ノコギリで削り始める。蝋なので柔らかくて削りやすい。
「これは余裕なんじゃ」とスピードを上げて削っていると、一部が白線を超えて、うっすくなってしまった。
指に嵌めたら関節の引っ掛かりで破壊できるんじゃ…と誰もが思ってしまう程の薄さ。
ミシシッピはコレを見てから帰宅するまで、何度も「かわいそうに、かわいそうに」と言ってきた。
糸ノコギリで削った後は、ヤスリを使って丸くしていったり、形を整えていく作業だ。
時すでに薄しな自分の指輪に対して、ミシシッピは丸く綺麗に仕上げていく。
自分はというと、なかなかうまく円にならず、「もういいや」とヤスリで多角形のような角ばった形にしていった。
後にヤケで作った多角形が店員さんから褒められることになる。
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(削りすぎても、蝋を足して修復可能らしい)
CRAFYさん、おしゃれで丁寧で信頼できるお店であった。
結局
総合的に考えて、ケイウノさんで指輪を頼むことにした。
別日、申し込みのために来店したところ、別の店員さんからもスマートフォンのアリエルを褒められた。
ミシシッピが
「あそこの店員はディズニー関係で褒めないと死ぬ呪いが掛かっている」
みたいなことを言っていた。
呪いはない。
指輪は数週間後に届く予定だ。
ヤニシッコホラー映画で付き合い始めた自分たちだが、これからの思い出はもう少し上品なものにしていきたい。