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生物基礎:⑥酸素解離曲線 Hbの3態  by 茶茶 サティ

【1,はじめに】

 今回のテーマは、体液の恒常性、体液の循環(心臓)、そして酸素解離曲線の3本立てです。格別オリジナルというワケでもないので、お代はいただきません。読んでくれた人々が無事に得点できることを祈っておきますね。

最初の例題1は「間違えては困る…」レベルの問題ですね。

いや、問題というにはヒネリもオチもない。

生物が苦手な人はこういうのをひたすらに暗記し、テストが終われば6割忘れていくワケですし、それで済んでしまうのが実にもったいないですね。

がしかし… これは英単語のようなもので、いわば「生物の世界の入り口」に過ぎません。だからナメたらあかん… というところなんです。

ではチャレンジしてみてください。

 

【2,体液の恒常性】


例題1.

次の文を読んで、(  )に適する語をそれぞれ答えよ。なお、異なる解答欄に同一の語は入らない。なお、 *(e)(f)(j)(k)には「心臓の部位の名称」が入る。

多くの多細胞生物において、ほとんどの細胞が体内の液体である( a )に満たされている。すなわち( a )は細胞を囲む環境であると考えられ、細胞にとって必要な内部環境を提供している。( a )は、血液、リンパ液および( b )液からなる。ヒトのからだにおいては、全身に( a )をめぐらせることで、細胞と外部環境とのあいだで物質や熱の交換が効率的にできるようになっている。( a )を全身にめぐらせる器官系を( c )系といい、( c )系は心臓や血管、リンパ管で構成されている。

ヒトの( c )系では、血液は心臓の拍動によって送り出されて全身を循環する。血液は常に血管内を流れており、そのような血管系は( d )血管系と呼ばれる。心臓の( e* )から出た血液は肺に入って酸素を取り込み、かわりに二酸化炭素を放出して心臓の( f* )に戻る。この血液の( c )のことを( g )といい、心臓から肺に向かう血液の通る血管を( h )脈といい、肺から心臓に戻る血液の通る血管を( i )脈という。一方、心臓の( j* )を出た血液は、全身をめぐり、体の各部の細胞に酸素を供給し、かわりに二酸化炭素を受け取って心臓の( k* )に戻る。この血液の( c )を( l )といい、心臓から全身に向かう血液の通る血管を( m )脈といい、全身から心臓に戻る血液の通る血管を( n )脈という。このような( c )系を通る血液のうち、酸素を多く含む血液は( o )血といい、酸素が少なくなった血液は( p )血という。

血液は、全身の細胞に必要な酸素だけでなく、栄養分や細胞が放出した二酸化炭素、老廃物などを運搬する役割があり、その成分として酸素の運搬を担う( q )、体内に侵入した細菌などの排除を担う( r )、血液凝固に関わる( s )、そして液体成分である( t )からなる。

血管に注目すると、その種類によって特徴的な構造がみられる。心臓から送り出された血液が通る血管である( u )脈は、高い血圧に耐えられるように筋肉層が発達した丈夫な構造をしている。心臓に戻る血液が通る( v )脈は、血圧が低いために起こりうる血液の逆流を防ぐための( w )を備えている。( u )脈と( v )脈をつなぐ細い血管である( x )は一層の内皮細胞からなり、各組織に張り巡らされている。( x )では、血液に含まれる( t )が内皮から染み出し、( b )液として細胞に酸素や栄養分などを供給し、二酸化炭素や老廃物などを受け取る。

またリンパ管に入ったリンパ液は、(y)静脈で血管系に合流して( t )の一部に戻る。

 

解答例

a 体液   b 組織液  c 循環  d 閉鎖  e 右心室     f 左心房  g 肺循環  h 肺動脈  i 肺静脈  j 左心室  k 右心房   l 体循環  m 大動脈  n 大静脈  o 動脈  p 静脈  q ヘモグロビン  r 白血球  s 血小板      t 血しょう  u 動  v 静  w 弁  x 毛細血管     y 左鎖骨下

 

ここで循環系に関する所感を述べておきます。

体内環境、または内部環境とは、実にデリケートなものなのです。実感がないかも知れませんが、それは我々がただ気付いてないだけの話。

 身近な例を挙げて見ましょう。

家に帰ると、ごはんが出て来る。トイレに行く、風呂に入る。寝巻やらネグリジェやらを着る。布団に入ってねる。おそらく9割以上の方にとっては毎日のことで、当たり前すぎて特筆するようなことは何もないかと思います。

でも考えてみてください。

「ただいま」と言えば「お帰り」と言ってくれる            ごはんを作っていてくれる                      トイレをいつも使えるように掃除したり消耗品をそろえておいてくれる  風呂の掃除し、シャンプーを用意し、湯を沸かしておいてくれる     衣類を選択して気持ちよく使えるように準備してくれる         布団を干し、シーツやタオルケットを整えておいてくれる

そして究極は「カネ」ですかね

受験生がこころおきなく受験できるようにしてくれる「誰か」の存在って、たいてい忘れているんじゃありませんか?

今ハッと気付いたら、次に顔を合わせたときに「いつもありがとう」、なんてなそんな気持ち、人間として大切だと思うけどなぁ

いつも感謝の思いを持ち、それを伝えているヒトがいたら… きっと明るく過ごしやすい家族なんだろうな、って思います。

あらあら説教になってしまった。

ああ済みません。皆さんのなかにはいろいろな家庭環境の方がいらっしゃいます。ツイッターとか見てると、世の中みんながみんなそうじゃないことがよく分かります。

たぶん… 本当に毒親っているんですね、お察しします。

ごめんね、助けてあげようがないんです。なんとか今は誤魔化して、耐え忍んで… ときには対立不可避ってこともあるかもだけど、まだ保護される身だからね。

将来家を出るときは「アンタの介護はしない」ってタンカ切ることを夢想して、あと半年…

そして将来自身が毒親にならないよう、アナタで流れを断ち切ってください。


そうそう「体液の恒常性」の本論は今からです。

内部環境自体はおよそ地味でつまらないし、誰に褒めてもらえるものでもありません。いつもほぼ一定であたりまえなんです。           ただしバランスが崩れると、たちまち「病気」になってしまいます。

 幾つかの例を挙げましょう。

 ⅰ 体温       : 36℃

ⅱ 塩分濃度(浸透圧): 食塩水換算で0.9%(生理食塩水)

ⅲ 血糖値(血糖濃度): 0.1%

 この3つは必須の知識ですので、数字は覚えましょう。

いずれも調節の中枢は「間脳の視床下部」です。間脳は内臓を無意識的(自律的)に制御(コントロール)してくれますが、そのためには全身および外部環境の情報が必要です。

間脳の上部は「視床」と呼ばれる神経の束です。視床という場所には嗅覚以外の全感覚神経が通っています、つまりは全身の情報と皮膚や感覚器で感じる感覚情報がすべて集まるのです。(嗅覚のみは大脳に直結)

そしてその下にあるのが「視床下部」です。視床下部は体のコンディションと外部環境(温度、湿度、暑さ、寒さ、光、音、痛み… 等)の状況に応じて「今日の内部環境調節」メニューを決め、自律神経系や内分泌(ホルモン)系を通じて各部の内臓に適切な指示を与えるような「内部環境の中枢」なのです。

これを忘れると生物基礎の成績に支障が出ますからねww

ちなみに… 体のコンディションと外部環境も問題が無ければ、副交感神経が優位になり「アセチルコリン」が多めに分泌されて、身体をリラックスさせる方向で調節が行われます。しかし温度、湿度、暑さ、寒さ、光、音、痛み、そして精神的なストレスがあると、「身体の異常事態」と解釈されて交感神経系が優位になり、ノルアドレナリンが多めに分泌されて身体が緊張し、臨戦状態に調節されます。

ここで言う緊張とは、まさに喧嘩寸前の臨戦状態を指しますが… そうだなあ… ネコの喧嘩でも思い出してください。

交感神経系がより活発になり、身体が興奮状態になると…

 心臓バクバク(心拍増加)  

 血糖上昇(肝臓の働き促進)

 のどはカラカラ(粘性の強い唾液が出る)

 しっかり相手を見て(瞳孔散大=光彩縮小)

 身体を大きく見せようとする(立毛筋収縮で毛が立つ)

 汗はダラダラ(掴まれてもスベりやすい、とこじつける)

 体表の血管が収縮、皮膚が青くなる(ケガをしても出血しにくい)

 

ああ、最後の2つはネコでは観察が難しいですね。

ともあれ、こんなときは喧嘩が最優先、緊急でないことは後回しです。

 消化運動(胃や腸など。ただし肝臓を除く)は抑制

 排尿、排便も抑制

 

ただしあまりにも緊張しすぎると逆にチビってしまうこともしばしばで… この辺が奇怪ですが、生物が機械ではない、いかにも生物らしいところなんですよね。

生物らしいで思い出しましたが、念を押しておきます。

良いですか、「暑くても寒くても交感神経が興奮」します。ただし反応がやはり「生物」なんです。

暑いとき、立毛筋は収縮しません。人間は頭皮と〇〇毛以外は、基本ウブ毛のようなものしかないので、立毛筋が収縮したとき身体は大きく見えず、そのかわりに「トリハダ」が立ちます。もともとあの反応は寒さに対して体毛を立てて膨らませ、空気という素晴らしい断熱材を羽織るという意味があったのですが、よくしたもので暑いときにはトリハダが立たないのです。その代わり「本気で感動したとき」に立ったりしませんか?

寒いときは汗腺は刺激されず… つまり汗はかきません。あとでもっと寒くなっちゃいますからね、ほんと生物ってすごいんですよ。

 

もう一度繰り返しますが、われわれの身体は外部環境が変わっても内部環境を一定に保つ働きを持っています。

これを一言で「恒常性」または「ホメオスタシス」と呼びます。でもこれきっとドイツ語読みですよね。英語読みしたら「ハメァステェイシス」くらいに聞こえるでしょうかね… 

ⅰ 体温は34~42℃程度を外れるとおそらく死ぬ

ⅱ 塩分濃度(浸透圧)は食塩水換算で0.9%だが、乱れると熱中症等

ⅲ 血糖値(血糖濃度)は約0.1%だが半分なら卒倒、3倍で糖尿病

 どれもこれも多過ぎたらダメ、少な過ぎてもダメという大変厳しい仕様になっています、外気温ならマイナス20℃くらいから42℃くらいなら日本国内でも経験できますよね。それでも体温は36℃なんです、スゴイでしょ?

 それらと同様に酸素濃度、二酸化炭素濃度、赤血球数、白血球数、血小板数、各種の栄養分濃度、各種のホルモン濃度、各種の排出物濃度、病原体や抗体濃度なども正常程度を保つよう上手に制御されていますが、それが崩れたときには「病気」になるワケなんです

 

【3,体液の循環:心臓】


それぞれの環境要因と内臓の働きとを関連付けてみましょう。

 心臓:内部環境そのものである「体液」の運搬と循環

 肺 :外呼吸、つまり酸素と二酸化炭素の吸収と排出

 腎臓:水とイオンのバランス(浸透圧の調節)、排出物(尿素)の濃縮

 肝臓:尿素の合成(解毒)、グリコゲンとグルコースの変換、体温発生

 リンパ系:病原体の排除と解毒

 

ついでに心臓の血流についても説明してしまいましょう。まずここをきちんと区別しましょうか。

 心臓の上半分は心房:ボーっと血液を受け入れる。           (実情とは違っても、ここはイメージ化するのが優先である)

心臓の下半分は心室:強く伸縮(シンシュク)して血液を送り出す。まあ、シンシツと筋肉のシンシュクのゴロを合わせたわけです。

次は左右について… あなたは医者の目線です。すると向かい合った患者とは左右が逆転しますよね。患者の心臓の左右(サユウ)はアナタにとってミギヒダリですが… 納得できますよね。

ではいよいよ心臓を中心とした血液の流れです。大静脈の酸素の少ない血液(静脈血)が心臓に入るところから、時間を追って経路をたどりましょう。

①大静脈  ②右心房  ③右心室                  ④左右の肺(ここまでは静脈血。ここから動脈血)

⑤左心房  ⑥左心室  ⑦大動脈  ⑧脳・全身           ⑨毛細血管(ここまでは動脈血。ここから静脈血)  ⑩静脈

①から⑤までをまとめて「肺循環」と呼びます。気をつけてほしいのは、肺動脈には静脈血が流れ、肺静脈には動脈血が流れることです。つまり動脈血とは「酸素に乏しい暗赤色の血液」を指し、静脈血とは「酸素に富んだ鮮赤色の血液」を指すワケで、どこを流れているかとは格別の関係はないことですね。

そして同様に⑤~⑩そして⓵までは「体循環」と呼ばれています。


では①~⑩を流路に沿って順に並べ替えてみましょう。

           ⑧脳・全身        

                   ④肺

 ①大静脈   ⑦大動脈       ⑤左心房

        

  ②右心房          ⑥左心室

   ③右心室      ⑨毛細血管  

        ⓵へ ← ⑩静脈


番号の数字を鉛筆でなぞってみてください… するとある「ひらがな」の形が見えてみませんか?

そう、じゅん環系だけに「ゆ」の文字ですね。(「ゆ」は二画ではなく、一筆書きにしてください)


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ゆの解釈
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この形を見つけてから、もういかなる場合でも循環の経路を間違うことは無くなりました。このそそっかしいサティが、何十回やっても間違えないなんて… まさに奇跡です。

ただの丸暗記より、イメージ化した方が覚えも早いし定着も良いんですよ、絶対。


【4,酸素解離曲線】


ではいよいよ本題に入ります。 

例題2、血液の酸素の運搬について、次の問に答えよ。

下図はヒトのヘモグロビンが酸素と結合する割合を示したグラフである。また、ヒトの各部位の血液を調べたところ、肺胞における血液の酸素濃度は相対値100、二酸化炭素濃度は相対値40であり、組織を流れる血液の酸素濃度は相対値30、二酸化炭素濃度は60であった。

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問1.上図のようなグラフを何というか、答えよ。

問2.上図のグラフから、ヘモグロビンがどのような条件下で酸素と結びつきやすくなると考えられるか。血液中の二酸化炭素濃度と酸素濃度の観点から、25字以内で答えよ。

問3.肺胞における酸素ヘモグロビン濃度は何%か、答えよ。

問4.組織における酸素ヘモグロビン濃度は何%か、答えよ。

問5.肺胞における酸素ヘモグロビンのうち、組織で酸素を放出するものの割合は何%か、小数第一位を四捨五入して整数値で答えよ。

問6.酸素ヘモグロビンの割合が100%のときに血液100mL中に20mLの酸素が含まれているものとして、組織の血液1L中には何mLの酸素が含まれているか、整数値で答えよ。

 

解説と解答例

問1.酸素解離曲線

ここは問題ありませんね。強いて言うなら「解離」の文字は同じ読みですが、昔は「乖離」という文字を使ったことくらいですかね。 

問2.

「ヘモグロビンが酸素と結びつく」と、酸素ヘモグロビンができますので、グラフの線(点の集合)は上の方に行くはずですよね。

2本のグラフをみると二酸化炭素40の方が上ですから、60に比べて40の方が酸素と結びついているのがわかります。つまり「二酸化炭素が少ない」条件ですよね。

一方酸素の方はどうやって考えれば良いでしょうか。          よくわからないヒトは、おそらくグラフをグラフ丸ごとで考えようとしているのではありませんか? 

似たようなグラフなので、話を単純化するために見るグラフは1つに絞ってしまいましょう。

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