生物基礎:①ミクロメーター ~計算はステップ踏んで~ by 茶茶 サティ
生物基礎演習:①ミクロメーターと計算(期間限定無料記事)
~計算はステップ踏んで~
by 茶茶 サティ
目次
Ⅰ、ミクロメーターの考え方
Ⅱ、単位系
Ⅲ、キーワード
Ⅳ、ミクロメーターによる計測と計算
Ⅴ、設問1~4と解答解説
Ⅰ、ミクロメーターの考え方
御自身の歩幅を御存知でしょうか?
知っているとメジャーがなくても、歩くだけでおよそ距離(長さ)がわかって便利なときがあります。もちろんクツのサイズ27cmでも悪くはないですが、ちょこまか歩きになってしまうだけです。どちらもデコボコやぬかるみ、傾斜だととたんに怪しくなってしまうのは仕方ありませんが、最初に日本地図を創った伊能忠敬さんなど、はじめの頃はこの「歩測」で距離を測ったそうです… す、すごい!
同様に知っておくと何かと便利なのが「人差し指の長さおよび幅」「指を広げた長さ」「腕を水平に広げた長さ」などで、モノサシがなくてもサイズを即席で掴むことができるのがメリットです。ちなみに「腕を水平に広げた長さ」はいちいち測る必要はありません… 特異な方を除いて、それはほとんど「身長」と同じだからです。
他のサイズについては、あらかじめモノサシで測っておき、それを記憶しておく必要があります。それを知っておけば、モノサシがなくてもおよそのサイズを測ることができるのです…
本日のテーマはそれです。
「基準を作っておけば、モノサシがなくてもサイズを測ることができる」
現実世界では、サイズを知りたいものに直接モノサシを当てて計測しますが、ミクロの世界では難しい…というより不可能でしょう。顕微鏡下でサイズを測りたい物体は、時として動きまわる生物だったりします。たまにおとなしくなってもモノサシとは角度(傾き)が違ったりすることもあるでしょう。もしモノサシの上にこの生物を載せていたら、モノサシを当て直すことは不可能です。
高校の生物室あたりには、対物ミクロメータ―という「ミクロ単位のモノサシ」が備えてあります。形や大きさは「スライドガラス」とよく似ていますが1つ2500~3000円程度と高価ですし、もし洗剤でゴシゴシ洗えば目盛りなどみるみる消えてしまうでしょう。だから… というワケでもないですが、試料を載せて長さを計測したり、実験後に洗浄したりすることはありません。そもそも基本的に指紋以外の汚れがつくことが想定されていないのです。
最も重要な理由は… 特に高倍率な対物レンズを使った場合、試料にピントがあったときには対物ミクロメータ―目盛りが見えないかボケていますし、、逆に目盛りにピントがあったときには試料がボケてしまっているからです。つまり顕微鏡の構造上、試料と目盛りに同時にピントを合わせることができないからです。これでは正確な長さを測ることができないでしょう。
ではどうやってサイズを測るのでしょうか。
・直接モノサシの上に試料を載せることはない
→ 「長さを写し取って」間接的に測ればよい
・試料と角度(傾き)が異なっていることもある
→ 接眼レンズなら自在に回転させることができる
そう、接眼レンズの中に長さを写し取る基準(副尺)になるもの「接眼ミクロメーター」を用意すれば…
それが解決方法になるはずです。
本日は2種類の「ミクロメーター」の使用法、および計算方法をマスターしましょう。まずは単位系から解説します。
Ⅱ、単位系
~正規の単位系では1000(=10^3… 10の3乗)ごとに補助単位が変わる~
G(ギガ) M(メガ) k(キロ) - m(ミリ) μ(マイクロ) n(ナノ)
十億 百万 千 千分の1 百万分の1 十億分の1
だから… 1m(メートル) = 1000 m(ミリ)m(メートル) です。
それと同様に
1m(ミリ)m(メートル) = 1000 μ(マイクロ)m(メートル) です。 注)「ミクロン」と言うこともありました。
ならば…
0.1m(ミリ)m(メートル) =( 100 )μ(マイクロ)m(メートル)ですね。
0.01m(ミリ)m(メートル) =(ア )
0.001m(ミリ)m(メートル) =(イ )
答 ア:10μ(マイクロ)m(メートル) イ :1 μ(マイクロ)m(メートル)
Ⅲ、キーワード
対物ミクロメーター(後述)、接眼ミクロメーター(後述)、計算方法
計算方法: 接眼ミクロメーター1メモリ分の長さ(μm)
= 対ミの目盛り数 × 10(μm) / 接ミの目盛り数
計算方法の覚え方
→ 「●●●●●」:接ミが分母、対ミが分子。
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Ⅳ、ミクロメーターによる計測と計算
①顕微鏡の準備: 顕微鏡を両手で抱えて持ってくる。
(ウ )倍率設定にしておく。
②ミクロメーターとは?:顕微鏡下で物体の長さを測る道具。
下の2種類があります。
ⅰ)対物ミクロメーター:1目盛りは1mmを100等分したもの。
以下「対ミ」と略す場合があります。
全体図
目盛りの拡大図
・図中の「注目⇩」のように、対ミには0.01 mmの目盛りがあります。
・1mm = (エ )μm だから、これを100等分した1目盛りの長さは
(オ )μmです。
・つまり…1目盛りが10(μm)の正確なモノサシです。
(モノサシやスライドガラスと類似の形状)
・(カ )には直接試料を載せない!!
理由: 測る物体と目盛りの線に(キ )にピントを合わせる
ことができないから。(それに高価で洗えないので汚したくない)
・ステージ上で用います。5目盛り(50μm)おきに長い線があります。
ⅱ)接眼ミクロメーター:以下「接ミ」と略す場合があります。
全体図
目盛りの拡大図
・(ク )は丸い板状構造で、単に等分された目盛りがあります。
・1目盛り分に相当する長さ(目盛りの間隔)は、測定データを用いた計算
によって求めます。
・接眼レンズを分解して中に入れ、(ケ )内で使用します。
・試料に触れることはない。接眼レンズと共に回転するため、試料計測に用
います。
・5目盛りおきに長い線があり、10目盛りおきに数字が付くのが普通。
・接眼レンズが同一ならば見え方は(コ )。
(対物レンズより上にあるため)
答 ウ:低 エ:1000μm オ:10μm カ:対物ミクロメーター
キ:両方同時 ク:接眼ミクロメーター ケ:接眼レンズ
コ:常に同じ
【顕微鏡に関する補足】
顕微鏡やレンズは同様に製造しても1台ずつ微妙なクセがあります。特にレンズは光を屈折させるもので、10倍(×10)と表示してあっても、1個ずつが少しずつ異なる倍率になっています。だからミクロメータ-を用いて「接眼ミクロメータ―1目盛りが示す長さ」を一生懸命計算しても、顕微鏡やレンズを交換すると計測をやり直す必要があるのです。個人的にはちょっとくらいどうでもいいじゃん…と思うのですが、受験で点差がつくとなると、こりゃ真面目にやらんといかんかな… と言うことになりますね。
同様なことは、同じ顕微鏡と接眼レンズを使って「倍率を上げる」ときにも起きます。例えばレボルバーを回して、対物レンズを10倍から40倍に交換するときです。本来はミクロメータ-を用いて「接眼ミクロメータ―1目盛りが示す長さ」を一生懸命計算しなおすのですが、しかし…
受験問題の中には、本当に理論が理解できているかを見るために「倍率を上げた時の、接ミの目盛りと物体の見え方」を問う問題もあったりして油断できない分野です。また、あとで示しておきますね。
【答 ミクロメーター2種類のまとめ】
サ:対物ミクロメーター シ:ステージの上
ス:スライドガラス型、模式図参照 セ:模式図参照 ソ:10μm タ:不可能 チ:しない。試料を載せることはない
ツ:接眼ミクロメーター テ:接眼レンズの中 ト:模式図参照 ナ:模式図参照 ニ:計算で算出 ヌ:可能 ネ:間接的に測定
③データの計測:(ノ )1目盛り分に相当する長さ
を計算する。
ⅰ)ステージ上に対ミを置き、接ミを入れた接眼レンズを使って両者の目
盛りを捜し、ピントを合わせる
ⅱ)目盛りが並行していないときは「接眼レンズ」を回す。共に回り、数
字が見えるのが「接ミ」です。
ⅲ)下図のように目盛りが見えたら、両者の線が重なる部分を2か所捜し
ます。(下図の下部 ⇧ 部)
【チェックポイント】
・接眼ミクロメーターの目盛りは数字付き、接眼レンズと共に回転する。
・対物ミクロメーターの目盛りは数字なし、回転は不可能に近い。
間隔の長さは(ハ )
・対ミと接ミの目盛りの線が重なる部分を(ヒ )か所以上捜す。
【接眼ミクロメーター1目盛りが相当する長さの計算】
ⅰ)対物ミクロメーターの左から5番目の目盛りは、接眼ミクロメーター の20の目盛りと重なる位置にある。
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