Chap1.1 | 日用消費財編 ~カスタマージャーニーを考える~

この記事は、理系の大学院を卒業し、現在広告代理店のマーケティング職に従事している筆者が、
“現業で実践可能&ロジカルな広告マーケティングのノウハウ”を発信するコトを目的としています。

最初に扱う商材を”日用消費財”にした訳

さて、Chap 0の自己紹介を除いて初めての投稿である本記事から当分は、”日用消費財”の広告マーケティングに関して連載していきたいと思います。

まずは、「なぜ最初に扱う商材として”日用消費財”を選んだのか?」、その理由について軽くお話させて頂きます。

突然ですが、2020年におけるマスコミ4媒体(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)の合計広告費:2.14兆円のうち、34.2%(0.73兆円)は日用消費財による広告費が占めています
(※出典:【電通】2020年 日本の広告費 | 業種別広告費)
(※日用消費財は、食品 / 飲料・嗜好品 / 薬品・医療用品の合算で規定)

ここには、インターネット広告等の金額は含まれていないため、日本の広告費全体で見た場合には、2020年における日用消費財の広告費は優に1兆円を越えてくると思われます。

このように、1年間で莫大な広告費が投下される日用消費財カテゴリでは、マーケティング戦略全体を考える上で、広告マーケティングが非常に重要な役割を果たします

これが、最初に扱う商材を”日用消費財”にした理由の1つです。

他にも、いくつか理由はありますが、ここで話すと長くなるので、追々それらについては触れていきたいと思います。

それでは早速本題に入らせて頂きます。


今回扱うテーマ

広告マーケティング ”日用消費財編”の連載第1回目である今回は、
「消費者のカスタマージャーニーを考える」
というテーマを扱ってみようと思います。

消費者のカスタマージャーニーを考えるコトは、広告マーケティングを考える上で最も基礎的かつ非常に重要なステップなので、最初にお話しようと思います。

そもそもカスタマージャーニーって何?

”カスタマージャーニー”という言葉は抽象的な概念で、様々な説明の仕方があります。
それらをまとめて一言で表すと、”消費者が商品の購入に至るプロセス”と表すコトができます。

カスタマージャーニーについてより理解を深めるために、実際に”炭酸飲料”のカスタマージャーニーを考えてみましょう。
消費者が炭酸飲料ブランドを実際に購入するまでには、どのようなフェーズが存在するでしょうか?

まず初めに考えられるのは、炭酸飲料ブランドを「認知する」フェーズです。
日常生活を送る中で、テレビCMやYouTube上での動画広告、はたまた駅の隣の人が炭酸飲料を飲んでいる状況…、様々なシーンで我々は知らず知らずのうちに炭酸飲料のブランド名を認知しています。

そんな日常生活を送る中で、「購入を思い立つ」フェーズは突然訪れます。
「今日めちゃくちゃ暑いし、喉乾いたな。コンビニ行ってキンキンに冷えた炭酸飲料買おう!」
「今日一日働きっぱなしだなあ。炭酸飲料でも買って一服するか。」
・・・
このように、日用消費財において購入を思い立つフェーズは突然訪れるコトが多いです。
週が始まる月曜日に、今後1週間の炭酸飲料を買うスケジュールを立てる人はいないですよね。

もちろん、習慣的に決まった炭酸飲料を購入する人も少なからず存在します。
しかし、実際の購入データを分析するとそのような人はごく一部で、多くの人達は日常生活の中で突然購入の思い立ちが訪れているコトが分かります。
(今後のテーマで詳しく述べます。)

購入を思い立った後は、「実際に購入する」フェーズです。
小売店(スーパーやコンビニ)の中で購入を思い立った人は、すぐに炭酸飲料の商品棚へ向かい、購入したい炭酸飲料ブランドを選択しレジで精算を行います。
家やオフィスの中、通勤途中など、小売店の外で思い立った人たちは、最寄りの小売店や自動販売機へ向かって足を延ばすところから始まります。

以上より、炭酸飲料のカスタマージャーニーは、大きく以下の3つのフェーズに分けて考えるコトができます。

消費者のカスタマージャーニー

このカスタマージャーニーは、基本的に全ての日用消費財で適応するコトが可能であり、これからの日用消費財の広告マーケティング連載では、この考え方をベースとして採用します。

こんな簡単なカスタマージャーニーで十分なのか?

ここまで記事を読まれた方の中には、「顧客のカスタマージャーニーはこんな簡単じゃない!より複雑に考えるべきだ!」という意見を持つ方がいらっしゃると思います。

これまでのテレビCM一辺倒の時代から、デジタル広告やSNSなど様々なメディアが台頭してきた時代に移り変わる中で、顧客のカスタマージャーニーは複雑化しているコトは間違いありません。

しかし、その複雑化したカスタマージャーニーを一つずつ拾い上げ始めるとキリが無く、その膨大な作業から得られた知見を効果的な施策に落とし込むことは難しいと考えています。

私は、消費者のカスタマージャーニーが複雑化したこの時代だからこそ、それぞれのカスタマージャーニーの根底に共通するエッセンスを抽出し、広告マーケティング施策に反映するコトが求められているように感じます。

もちろん、上記でまとめたカスタマージャーニーが広告マーケティングの全てだと言うつもりはありません。

この最も簡素化したカスタマージャーニーを、現代のマーケティングサイエンスの知見をで肉付けするコトで、より効果的に働くロジカルな広告マーケティング戦略の立案方法をお話できればと思います。


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