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焼き鳥でひとり呑んだ日
初めてひとりで焼き鳥屋に入った。
通りから少し裏路地を行ったところに佇む、こじんまりとしたお店。
ちょうど帰るお客さんを見送りに外まで来ていた大将が、にこにこしながら快くカウンター席に案内してくれた。
ひとりで焼き鳥屋に入るのも、ひとりで外で呑むのも、これが初めて。
緊張と、わくわく感を持て余しながら、お店のお兄さんから注文の説明を受け、グレープフルーツサワーを頼む。
すぐに届いたお通しのお豆腐でグレープフルーツサワーをちびちび飲みながら、何を頼もうかとメニューを眺める。
注文は紙に書いて渡すスタイルで、私は置いてある赤ペンを手に取り丁寧に記入した。
せせり、砂肝、つくね、冷やしトマト、そしてお兄さんおすすめのアスパラの肉巻き揚げ。
次々と目の前に料理が届く。
カウンター席なので、大将から出来立てを手渡しで頂けるのもたまらない。
焼き鳥はとても柔らかく塩加減も最高で、思わず、目が合った大将に「美味しいです!」と伝えた。
アスパラの肉巻き揚げも絶品で、アスパラが熱々ほくほく、甘々だ。これもまた思わず、お皿を下げにきてくれたお兄さんに、「おすすめ美味しかったです!」と伝える。
ひとりでふらっとお店で呑むのは、ずっと憧れていたので(何せ見るYouTubeはひとり呑み、梯子酒の動画ばかりなのだ)、今実際に自分がひとり、焼き鳥屋のカウンター席で時間を過ごしていることがすごくすごく嬉しく、そして少し恥ずかしいというか、身の丈に合わないことをしているようでくすぐったかった。
「よく来てくれたね、ありがとね」と、帰り際に大将は見送ってくれた。
絶対にまた来ようと思った。
少し風が吹く夜の街を、ほろよいで歩く。
とんでもなく気分がいい。
コンビニに寄って、肉まんとお茶を買ってホテルに向かう。
こういうとき、大人になったと思うところがまだまだ子どもなのかもしれないけれど、私もなんだか大人になったな、とそう思った。