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#27「啼かない鳥は空に溺れる」唯川恵
2024年読書録 #27
★★
【あらすじ】
愛人の援助を受けセレブ気取りで暮らす千遥は、幼い頃から母の精神的虐待に痛めつけられてきた。一方、中学生のとき父を亡くした亜沙子は、母と二人助け合って暮らしてきた。千遥は公認会計士試験に受かった年下の恋人と、亜沙子は母の勧めるおとなしい男と結婚を決める。けれどその結婚が、それぞれの歪んだ母娘関係を暴走させていく。
気づけば1日で読み終わった。
2人それぞれの物語を行ったり来たりしながら進んでいくので、ついつい先が気になる。
母と娘の関係性を生々しく描いており、自分のことと重ねてしまうような描写もあり、モヤモヤするような気持ち悪さもあった。
読後の感想としては、なんとなく後味が悪い。
が、その気持ち悪さが面白かったのかもしれない。
千遥と亜沙子、2人の女性がそれぞれ母との関係に悩みを抱えながら、恋愛や結婚とも向き合っていく。
彼女たちは自分の人生を生きているつもりになっていて、実は無意識に母親の人生を生きていることに気づかずにいる不気味さのようなものを感じる。
親と子の関係はさまざまあるが、どんな形であれ、歪なものがあることを再認識した。
恋愛、結婚、といったイベントが道具となり、母娘関係を突き動かしていくハラハラした感じが、面白かった。