【産前の妻を支える】妊娠の報告をいつ、誰にするか?
現在進行形で子育てに悩みながらも、二児の父となり、多少なりとも経験値を積んだ私が、これから父親となる方に自分の経験を語る。
妊娠、出産、育児は夫婦ふたりだけのものではない。多くの方々の助けを直接的、間接的にお借りしながら、日々を乗り越えていくことになる。
妊娠の報告をするときから、第三者を含めたチームづくりを意識できると、今後のことが円滑になっていく。
父親としての責任感を強く持つ人ほど「自分がなんとかする」という発想に縛られると思う。
しかし、育児はチーム戦である。
産後、風邪だなんだと病院に行かない月はなくなるだろう。共働きならば保育園にもお世話になる。保育園からの急な呼び出しがあれば仕事を同僚に任せて早退しなければならない。
拡大解釈をすれば、おむつもミルクも子ども服も、ひとりでは作れない。
父親だ、母親だといっても、ひとりで(ふたりで)育児をすることは不可能だ。
そういう意味では、早い段階で妊娠の報告をして、チームをつくっておきたいところだ。「妻が妊娠中なので」と言えば、気遣っていただける場面も増え、結果的に妻を支えやすくなる。
ただ、妊娠発覚後、浮かれた気分で報告をする必要もない。考えたくもないが「万が一」に備えて、いつ、誰に報告をするのかを整理しておきたい。
私の場合、「つらい結果に終わってもそのつらさを共有すべき人」と「今すぐ実務的な助言が欲しい人」には、いわゆる安定期を待たずに妊娠初期から報告をした。
(※「安定期なんてないんだよ」と産婦人科の医師に指摘された経験があり、その発言は事実なのだろうし、妊娠期間中、妻を気遣わなくてよい時間などないと思う。ただ、リスクが軽減される時期が来る人には来るし、つわりで動けなかった人が笑顔で働けるようになることだってある。「よほどのことがなければ無事に出産を迎えられそうだ」と思えたり、妻の体調を気遣う以上に「名前はどうしよう?」「部屋をどう準備しておこう?」というような子どもと出会えることを楽しみに思える時期。それぐらいの時期をここでは「安定期」と呼ばせていただく。)
具体的には、両親と会社の信頼できる先輩(子持ち)である。
両親については、金銭的にも精神的にも実務的にも、産後多くのことを援助してもらう可能性がある。(ときにそれが厄介でもあるが。)「遠距離で暮らしているが出産前後では手助けしてもらいたい」という場合、両親にも仕事の調整などが必要なので、早めに相談しておくのがマナーだと思う。
それに、万が一のことがあったとしても、そのことを知っておいてもらいたい存在でもある。
何も知らず、不用意に「そろそろ孫の顔が」的なことを言われたら、非常に傷つけられることになるので、その発言を防止するためにも、早めに伝えておきたい、と思った。
会社の信頼できる先輩には、会社の制度を教えてもらうためにも、話をしておくとよい。具体的には育休の取り方である。
制度がなんであれ「育休を取りにくい」という状況はどこの会社にもあると思う。「あの上司は取らせてくれなかったが、この上司から話を通したら大丈夫だった」というようなことは、実際に育休問題に直面した人がやはり一番くわしい。
上司が「育休取るなら早く言って」と思うのか、「そんなに早く言われても現実味が持てないよ」と思うのか、そのあたりのさじ加減を教えてもらえる先輩には、早めに話しておけるとよい。
(ちなみに私は「育休って面倒くさいし使い勝手が悪いから、通常の有休消化のほうがいいかもしれないよ」というアドバイスをいただき、実際に有休で産前産後の対応をした。出産=育休と考えていたので、非常に有益だった。「面倒くさい育休」という制度自体は改善されるべきだが……。)
それ以外の人にはいわゆる安定期以降の報告にすべきだと思う。
報告された側も「おめでたいね」という気持ちになり、出産を楽しみに待ってくれる場合がある。そんなときに、万が一のことがあれば、その報告をしなければならないつらさもあるし、報告を聞く側のつらさもある。
私自身、妊娠の報告を受けたので、後日「体調はどうですか? 楽しみですね」という話をしたら、「じつはダメになった」と言われて非常につらい思いをしたことが何度かある。
相手にこの思いをさせないためにも、安定期までの報告はとくに注意すべきだ。
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