【育児トラブル】#7119に電話したときの話

このごろ2歳の娘が頻繁に夜泣きをするようになった。4歳の息子も通った道で、私も妻も息子が2歳ぐらいだったときの経験で鍛えられ、耐性ができているので、過度に心配することはない。ただ、心配していないときほど落とし穴があるのも育児の怖いところだ。

数か月前の夜、何事もなく寝かしつけを終え、私と妻はこっそりと起き上がり、録画した大河ドラマ『麒麟がくる』を観ていた。大人だけの時間の楽しみである。

すると、寝室から娘の泣き声が聞こえる。何もしなくとも泣き止むことがあるので、『麒麟』を停止し、しばらく待ってみたが、泣き止むことはない。寝室に戻ると「口が痛い」と言って、大泣きしている。暗闇でよく見えなかったが、明るい部屋に移動させて見ると、たしかにくちびるがパンパンに腫れている。軽く出血も見られる。

そういえば、夕方から「口が痛い」と言っていたような気がする。しかし、子どもが「痛い」だの「かゆい」だのと言うのは日常茶飯事で、単に絆創膏を貼ってもらったり薬を塗ってもらったりするのが楽しいだけのことが9割以上を占めるので、私はちっとも真剣に聴いていなかったのだ。何度裏切られても、子どもの発言は真に受ける親でありたい、と常々思っているのに。

娘を心配する気持ちと、激しく自分を責める気持ちが押し寄せてくるも、とにかく冷静に対処しなければならない。

「なんだろう? 血も出ている」
「歯みがきのときは腫れていなかったはず」
「寝返りでぶつけたり噛んだりしたとか?」
「それにしては両くちびるが腫れすぎているよ」
「アレルギーかな? なんか変な物食べたっけ?」
「変わった物は出していないはず」
「なんだろう? コンセントを舐めて感電したとかあるかな?」
「わかんない。けど、これ、結構やばいよね? 病院だよね? 救急車?」

妻と早口で相談しながら、育児書を開いたりネットで調べたりもするが、対処法がわからない。

そのとき、通勤バスでよく耳にする「病院へ行く? 救急車を呼ぶ?」という車内広告を思い出した。

「おれ、#7119にかけてみる!」

22時前ぐらいだったが、かけるとすぐにつながった。

「はい、救急相談センターです」
「すみません、2歳の娘なんですが」
「2歳何か月ですか?」
……唐突に訊かれ、2歳何か月だっけ、という戸惑いはあったものの、2歳を超えても月齢まで気にしてくれるきめ細やかさに、安心感を抱く。

その後も、私が父であること、相談は電話口にも泣き声が聞こえている娘の件であることなど、質問に回答する形で伝えていく。

「くちびるが腫れているということですが、口のなかはどうなっていますか? 顔色はどうでしょうか? 青白いとか紫とか……。肌に炎症が出ていたりはしないですか? これまで同じような症状が出たことは?」

様々な、具体的な質問をしてくれる。突然のことで、娘のどこを見たらいいのかもよくわからなかったので、チェックポイントが明示され、そしてあまり悪くなさそうであることに気づき、安心感が増していく。

「医師と相談するのでしばらくお待ちください」

気持ちも落ち着き、なんとなく、これは通院も救急車もなしかな、と思い始めていると、オペレーターの方に再度つながった。

「今からお近くの病院に行っていただきます。さきほどお伝えいただいた住所から、4つの病院をご紹介できますので、メモのご準備をお願いいたします。また、通院の前に必ず、今から小児科にかかる旨をご自身からご連絡ください。こちらで受診予約をしているわけではありません」

通院が必要なんだ!
チェックポイントはどれも問題なさそうだったから、少し意外だったが、大事を取ってくださった判断はありがたい。

そして「今から自動音声に切り替わりますが、もし顔が真っ青になったり息苦しい感じが出たり、つまり気道がふさがるような症状に変わったら、もう迷わず救急車を呼んでください」と教えてくださって、オペレーターとの話は終わった。

自動音声ではタクシーで行ける程度の距離の病院が紹介された。

「このあとこう変わったら救急車ですよ」という基準まで教えていただけて、本当にありがたかった。


結局、タクシーで通院すると、着くころにはくちびるの腫れも治りつつあり、緊急での処置はとくになし、薬も処方されず、となった。

あれはなんだったのだろう、もしかしたらお昼に少し生卵をなめたことが原因だったのだろうか、熱の通った卵は毎日のように食べているが……といった疑問は残ったものの、とにかく#7119の対応が迅速で的確でありがたかった。(今度ゆっくりとアレルギー検査を受けてこようかな、とは思っている。)

救急車を呼ぶハードルは高いし、大したことでなかったら申し訳ない……と思っていても、取り返しがつかないこともありうる。そんなときのために、一段階敷居の低い#7119という相談先があって、本当にありがたい。


医療関係者の皆様に感謝しつつ、子育て中の皆様に体験談がお役に立てればと思い、ご紹介させていただきました。

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