ドライブ・ブラザー・カー
もう一週間も前の事になるのだけど、弟が車の免許を無事取得したということで父と三人で西船橋のラーメン屋までドライブをした。
ドライブ・ブラザー・カー。
タイトルだけは先週車に乗った瞬間から決めてずっと温めていた。どうでしょう?寒い?
しかし当初から乗り気だったという訳ではなく、私はそもそも行く予定ではなかった。
だって、免許取りたての弟の車に乗って事故死したくないし、母は仕事で不在だし、父と気まずいし、コテコテ家系ラーメンは好みでは無いし。
ゲストの分際で言い訳がましいが、とにかく行く気は更々なかったのだ。
ではそんなやる気の無いゲストを心変わりさせたのは何か?
それはその週に聴いた佐久間さんのラジオでのエピソードトークがきっかけだった。
私は最近テレビマンの佐久間宣行さんのオールナイトニッポン0を聴くようになった。
元から存在は知っていたが、なかなか重い腰が上がらず聴いていなかったが、
その週はTwitterやネットニュースでも「神回」と話題になっていたので、流石に私のミーハー心に火がついた。
例え普段聴かないようなものでも、世間が「神回」と評価しているものは必ず聴くようにしている。
そして今回恐る恐る散歩中にそれを聴くことにした。
その回は、佐久間さんが高校生になった娘さんと二人で出掛けたという話だった。
お出掛けに前向きな娘さんに、本当は喜びながらも
「おまえ絶対起きれないだろ!」
と冷めた態度を取ってしまう佐久間さん。
娘さんが本当に来るかどうかわからないまま、
翌日のお店の下調べまでしちゃう佐久間さん。
万が一に備えて15万下ろしちゃう佐久間さん。
佐久間さんは娘とのデートを振り返り、
「伝説の一日だった」と話していた。
とにかく「父親って可愛いな」とほっこりするような回だった。
そんな放送を聴いて、もしかして私の父も、初ドライブに最適な距離の、息子娘好みのラーメンをリサーチしてくれていたのだろうか?
そんな考えが頭をよぎった。
「しゃーねえな、"伝説の一日"にしてやりますか」
そんな一心で、ゲストの私は考えを改めたのだった。
当日、万が一事故が起きた場合に備えて、外に出してもおかしくない下着と服、入念にメイクをこしらえた。
もしかしたら、ゲストの私の方がこのドライブ楽しみにしていると思われたかもしれない。
いかんいかん、私はあくまで父の休日を伝説の一日にしてあげるために乗車したというのに。
しかし、車に乗っても、無免許の私はドライブのハウトゥーもよく分からず、父と弟が交わすドライブトークに入る隙など無かった。
あれ、私付いてきた意味ある?
そう思いながらも、ラーメンをご馳走になり、そのまま帰りも弟の安全運転で帰路に着いた。
私が居た意味はあったのか?と若干不安になったが、
帰り道父は少し満足げだった気がする。
伝説の一日にはならなかったかもしれないが、このドライブが私たち親子の最後の一日にならなくてよかった。
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