朗読劇「5 Years After -ver.11-」感想
2024年5月24〜26日、南圭介さんが出演した朗読劇「5 Years After -ver.11-」を観劇してきました。
俳優3人よる役替わり朗読劇。主人公・水川啓人の20,25,30歳をそれぞれの章で1人が演じ、残りの2人は他の登場人物を演じ分け、1公演で60役をこなしていく。回によってそれぞれの担当が変わる6回公演なのでどの組み合わせも1度きりという特殊な作品。
圭ちゃん以外の後半チーム出演者は今江大地さんと佐伯亮さん。圭ちゃんは2020年(ver.8)に出演して以来の2度目の出演。前回の観劇から「また5YAに出て欲しい!」と思っていたので願いが叶って本当に嬉しかったです!
前回は平日3日間で(無理矢理予定を空けてなんとか)千秋楽の1公演だけの観劇となってしまったので今回は楽しい作品だという確信と全パターン見たい!という思いが抑えきれず6公演全通しました。
*5 Years Afterのルール*
・台本から目を離さない
・椅子からお尻を離してはいけない(立ち上がらない)
・基本的にアドリブは禁止
●作品の感想
20,25,30歳とそれぞれのタイミングで人生のターニングポイントがあって、それは年齢の違いや出来事の大小はあれど誰にでも常に起きている事。
だからこそ悪い時は「自分が…」なんて卑屈に思い過ぎず、良い時は調子に乗り過ぎないように地に足を付けて1歩ずつ”自分の”人生を進んでいくことが大事だと改めて感じました。
楽しい事しんどい事全部ひっくるめて自分の人生なんだから、ふとした瞬間に自分の人生を「なんだかんだ良いんじゃないかな」ってくらいフランクに思えるような生き方を目指したいな~って思いました。
もう一つ重要なのが、この作品は水川啓人の人生を中心に描かれているけど、それと同時に物語を通して両親の「親心」を感じ、(自分の立場だと)子どもの視点から両親の気持ちにも思いを馳せてしまうという事。
きっと子どもを持つ方は逆の親の視点から思うこともあったんじゃないかなあ。
ちょっとしつこいとか過干渉すぎて嫌になることも多いけど、どんな時でも両親だけは自分の事を見放さずにいてくれる。そういう描写もシンプルだけどリアリティがあって見ながら自然と自分の人生に重ねてしまいました。
最後の電話のシーンは前回の観劇時もグッときましたが、その時より更に年齢を重ねたからより温かさを感じたり言葉の1つ1つの深みを感じ取ることができたと思います。
●役柄の感想(水川啓人と各章で特に好きなキャラクター)
第1章
・20歳の水川啓人(A)
夢のために路上で歌い始めたり、レコード会社にアポ無しで持ち込みしたり、そういうやる気の強さや無鉄砲さも若さならではだなあと。圭ちゃんの目のキラキラさ(台本から目は離せないですが)でそういう「若さ」を滲み出させていたと思いました。
その他のキャラクター
・大学の同級生 武田(C)
Aランチの話を延々とする流れ、水川の回想を邪魔しない程度にだんだん小声になりながら喋る圭ちゃんの演じ方がとても良かったです。
・暗黒の不思議ちゃん(B)
くまのセバスチャンの持ち方(可愛がり方)1つでもそれぞれ3人とも違うのが面白かったです。
・壤(彼女の浮気相手・B)
今江くんの演技プラン①自由の女神(松明を持ったポーズをしたままセリフを言う)、②バズライトイヤー、③ゴリラ(胸を叩きながらセリフを言う)がどれも今までにない発想でビックリしたし、ゴリラの時に水川役だった佐伯さんが「なんだあいつ!」の時に音だけで感じ取ったのか今江くんと同様に胸を叩いてリアクションを返したのがとても面白くて良かったです。
全編通してですが、佐伯くんの反応力(瞬発力)はキレの良さが抜群で最高でした…!
第2章
・25歳の水川啓人(B)
ミュージシャンになる夢を捨てたことで順風満帆な生活を過ごす時期。20歳で百合子も壤に同じように捨てられたり、同級生が仕事が辛いと嘆く様子を見て内心「ざまあみろ!」と馬鹿にする件の圭ちゃんのセリフ回しがとてもよかったです。
その他のキャラクター
・オタクっぽい山下社長(A)
圭ちゃんが1番気合いを入れていた役(笑)話し方から表情、挙動全てが(良い意味で)酷すぎて客席は大爆笑だし今江くんは吹き出しちゃうしでここのインパクトが強すぎて…!(笑)
圭ちゃんのオタク像は明確でとても分かりやすかったです。本人が毎回ここの記憶を無くしているのも無理はないですね(笑)
・バーのマスター(C)
今江くんの「年齢性別ぼんやりしてる」って解釈、とても良い視点だと思いました…!
・Y'sエンターテインメントの社員たち
クールな社員(A)、舌っ足たらずな社員(A)
熱血社員(C)、姉御社員(C)
2役の切り替え、大変なのに全身でそのキャラクターになりきってスピードを途切れさせる事なくストーリーを進めていける3人の技量がとても良かったです!
・みう(A)、真希(C)
どれだけ水川啓人に振り向いてもらえるか、両サイドからの圧が本当に凄くて…(笑)
みうのぷりぷり感も好きでしたが個人的には真希派なので(?)圭ちゃん演じる真希があの長い脚で水川と物理的に触れ合っていたのには涙が出るくらい笑いました(笑)
「椅子からお尻を離さない」というルールの中でどれだけ暴れるか、まさにここが真骨頂でしたね(笑)
第3章
・35歳の水川啓人(C)
圭ちゃんの雰囲気と演技が1番マッチしていた年齢。やっぱり歳が近いというものもあるんでしょうが、順風満帆だった生活から一変、悪い事ばかり続く焦燥感を声だけではなく台本を読む目の動きでも上手く表現していたと思いました。
その他のキャラクター
・やる気のない駅員(A)
圭ちゃんの声のトーンはもちろんですが、面倒さを含んだため息や目の動きが"やる気のなさ"を醸し出していてとても良かったです。
・母恵夢(B)
ゆったりとした話し方で包容力のある"大人の良い女"を上手く表現していたと思います。
・セバスチャン(A)
子供っぽさと水川に対して「僕が簡単に心を開くと~」と言う件で腹黒さを見せるような声のトーンへの切り替えがとても上手くて、個人的に圭ちゃんが演じたサブキャラクターの中で1番好みの演技でした…!
●反省会(3 Actors Talk)
前半はそれぞれの水川と印象的なキャラクターの演技プランを、後半は各回で幼少期~20歳までの自分を振り返ったり今後の未来へ対する思いが聞けました。
何より3人の雰囲気が本当に良くて…!!!圭ちゃんも楽しそうに2人へツッコミを入れたり2人から弄られたり…その弄りもただ弄るだけの不快なものじゃなくてちゃんとフォローも忘れずにしてくれて、久しぶりに嫌な気持ちに一切ならない楽しいトークを聞くことができました。
組み合わせが発表された時から3人には仲良くなって欲しいな、と思っていたのですが短期間でここまで距離が縮んでいた事に驚きと嬉しさでいっぱいでした。まさに「あうん」で「うんあ」の呼吸!(笑)
難波さんが「5YAはジャズセッションのような朗読劇」と仰っていましたがまさにその通りな程同じストーリーなのに毎回違う3人の掛け合いが起きていて、予想の斜め上から誰かが仕掛けてくると思ったらそれをまた更に他の2人が斜めから打ち返す…「生の演劇」の良さが詰め込まれてるなあと感じました。
反省会のMCも務めてくださった難波さん。3人とも良い距離感で面白く、時には真面目な話を振ってくれたので安心して話を聞くことができました。
●総括
毎回配役が変わる6回公演、同じ公演は1回も無い=毎公演が初日で千秋楽というシステム。
三者三様という言葉がぴったりなほど演じ方が異なるので毎公演見ていて飽きないどころか新鮮で楽しかったです。
個人的にはA:今江、B:佐伯、C:南(5/25ソワレ)の配役がストーリーが進むにつれてどの回よりも水川啓人の物語がすっと頭の中に入ってきてこれだ!ってピースがハマる感覚がしました。
でも第2章のみうと真希の件で、佐伯さん演じるみうと圭ちゃん演じる真希が25歳の水川を演じる今江くんに対して大暴れしていたのがあまりにも面白すぎて笑いが止まらなかったのでキャラクター面で言うとA:佐伯、B:今江、C:南(5/26マチネ)も大変素晴らしかったです(笑)
千秋楽のトリプルカーテンコールで35歳の水川啓人の物語を少し演じてくれたのが本当に嬉しくて、本編はもちろんアフタートークの話題とも繋がりがあって思わず感動で涙が出てしまいました…家族で温泉に行けて本当に良かった(泣)
NO.4さんの作品はあの頃(わたしが圭ちゃんを応援し始めて舞台を好きになった頃)の懐かしさがあって心が落ち着くのもありますが何より演劇に対する熱い気持ちがすごく伝わってくるものが多くて安心感があります。
前回の5YAではコロナ禍真っ只中で最前も距離があったり客席側もなるべく声を出さないように…とリアクションをすることに抵抗があるような雰囲気でしたが、月日が経った今、同じ場所同じ作品でマスクも無しで客席から笑い声や色んな反応が感じられたことが1ファンとしてグッときてしまいました。
そんな気持ちも相まってか毎公演難波さんの言葉が胸にすっと入ってきて、難波さんの前説後説を含めての5 Years Afterだなあと実感しました。観劇という「自分の楽しいこと」を忘れないように、この朗読劇のテーマでもある「Enjoy your life!」という言葉を忘れずに生きていきたいです。
3日間6公演、本当に本当に楽しいことだけの舞台でした…!
これからも圭ちゃんが楽しいと思える座組で素敵な皆さんと共に一生懸命演じる姿がたくさん見られますように。