TAIYO MAGIC FILM 第15回公演「センチュリープラント2022」感想
2022年11月26日、南圭介さんがゲスト出演した舞台「センチュリープラント2022」夜公演を観劇してきました。
西条みつとしさんの脚本・演出で「人生の選択」という題材。
真っ先に2020年に観劇した舞台「◯◯な人の末路〜僕たちが選んだ××な選択〜」を思い出しました。
舞台「まる末」は中盤から物語が2パターン(月/海side)に分岐する内容で、それぞれ全く異なる選択だったにも関わらず両パターンとも素晴らしい結末だったので同じ"人生の選択"というテーマで西条さんが描かれる違う世界を見てみたいと思い、今回観劇することにしました。
感想
自分の人生の分岐点はどこだっただろう、その時選んだ道は正解だったのか?頭の中で色んなことを反芻しながら、自分が生きてきた時間を振り返りながら観劇しました。心に抱えていた色んな感情が溢れて終始涙が止まらなかったです。
田野さん演じる分離不安を抱える妹(智枝)を決して見放さず、必死に支え続ける姉(良美)を演じる文音さん。物語の軸であるこの2人の掛け合いが本当に素晴らしかったです。周りには気丈に振る舞うけど少しずつ憔悴していくお姉さんの姿が本当にリアルで胸に刺さって見ていてとても辛かった……
圭ちゃん(ゲスト)が演じたのは町田さん演じる弘道が長年想いを寄せていた愛未の恋人役。
弘道へ結婚式の招待状を「来てください」と渡したり、弘道が愛未のために渡したお金を「僕が用意できたのでお返しします」と返す姿、彼にとっては当たり前の言動だけど弘道の気持ちを思うと…(泣)嫌味が一切ないからこそ、やり場のない気持ちだけが残ってしまう。短いシーンでしたが個人的に凄く苦しい場面でした。
どのキャラクターにも感情移入できるくらい「人間味」に溢れていて、クスッときたりジーンときたり…感受性がとても揺さぶられました。
だからこそラストのインド映画さながらのダンスシーンは多幸感に溢れていてとても眩しくて、まさにハッピーエンド!という終わり方でこちらの心も救われた気持ちになりました。
バイオリンを弾きながら華麗に踊る後藤さんの姿は特に目を惹かれました。流石のキャリアですね……
色んな人生の分岐点を自分で選択していく中で、結果的にどの「選択」が1番の正解だったかなんてわからないし誰かの人生と比較してしまうことで自分の人生が正しいのか不安に思ってしまうことも多いけれど、劇中の台詞にもあった「私が選んだ道、間違ってなかった」と思えるよう真っ直ぐ前を向いて生きていきたい、と強く感じる舞台でした。
間違いではない、と心から思えるまでどのくらいの年月がかかるかは分からないけど……「センチュリープラント」のようにいつかは必ず花が咲いて、自分が幸せだと思える日が来ることを信じたいなって。
アフタートーク
西条さんと藤原さんが圭ちゃんを終始「いい人」「紳士だ」とベタ褒めして下さっていてとてもほっこり(笑)
最初のダンスシーンの1歩目の動きがツボに入った西条さんに対して、「そこはもう、200%の気持ちで挑んだので刺さってくれて嬉しいです」と自慢げに語る圭ちゃん。とても気合いが入っていたのは客席からみても明らかだったのでですよね、という気持ち。
Q.自分の中での"選択"に関するエピソード
南「人生の中で1番最初に選択したかもしれないのが…ドラクエ5って知ってますか?ゲームの中で結婚相手を2人のどちらか選ぶっていうのが…当時は子どもながら衝撃的で。あれはすごく"選択"だったかな〜と」
西「どっち選んだの?」
南「フローラを選びました。上品な方を(笑)」
Q.もし別の登場人物を演じるなら誰を選択するか
南「いいな〜と思った役はたくさんあるんですが…やっぱり演技をしていく中で"演じるシーン"を演じる3人を監督目線で見たいなと思ったので町田さん演じる原田かな、と。」
終始まったりとした雰囲気の中でも物語に対する西条さんの思いも聞けて短い時間でしたがとても楽しいアフタートークでした。
統括
この舞台を観劇したこと、この舞台に出会う人生を選択できたことがとても嬉しく誇らしい気持ちになりました。清々しい気持ちで劇場を出れる嬉しさ…!
生で役者の皆さんが作り出す物語を心で受け止め頭で考えられて、約2時間の中で泣いて笑って最後にはスッキリできる。演劇の良さがたくさん詰め込まれた舞台だと感じました。
まる末の時も感じましたが、西条さんの脚本は物語の中で散りばめられた様々な伏線を1つも溢さずきちんと回収してくれるのがとても好きです。
パズルのピースが少しずつ綺麗に埋まっていくドキドキ感と、完成した瞬間の高揚感というか…グッと感情を掴まれる感覚。(伝わってたらいいな)
まる末に出演されていた杉本さん・米さん・坂田さんもいらっしゃって、あの時のことを思い出して懐かしい気持ちにもなれました。まる末も再演してほしいな〜〜
(終演後に西条さんへ直接感想を伝えられたのもとても嬉しかったです!)
圭ちゃんはゲストなので出番は少なめでしたがそれが気にならない程舞台そのものの完成度が高く、本当に素敵な作品でした。
この舞台を見るきっかけをくれた圭ちゃんに感謝です。
ただ、本編で後ろから何度か話し声が聞こえてきたりアフタートーク中は横の方々のリアクションが度を超えた身振り手振りと揺れで嫌でも視界に入ってくる上に座席が繋がっているのでこちらまで揺れて非常に不快でした。仲間内で家でテレビを見ている訳じゃないんですよ……周りが見えてないんだろうな、とうんざしました。
舞台上で見せてくれた世界が本当に素晴らしかったからこそ、悔しかったです。
"2度あることは3度ある"、また西条さんの脚本を演じる圭ちゃんが見れますように!(ゲストもいいけど、レギュラーとして出演できたらともっと嬉しいな!)