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朗読劇「ROOM」感想

2024年5月19日、南圭介さんが出演した朗読劇「ROOM」の昼公演を観劇してきました。

4作品の短編朗読劇を1時間30分に詰め込んだ作品。
圭ちゃん以外の出演者は古賀葵さん、榊原優希さん、野島裕史さんという3人全員が声優ということで、ファンとして1人肩書きが違う中どんな演技を見せてくれるのかというワクワクと若干の不安を抱きつつ(笑)劇場に向かいました。


1.缶詰

圭ちゃんの配役:五郎(自殺志願者の青年)
個人的に1番面白かったストーリーです。
序盤からアドリブがあって、いい意味で舞台上の4人と客席の雰囲気が柔らかくなったのを肌で感じました。
圭ちゃんの五郎はもっと陰鬱とした役柄なのかなと思っていたのでよくある"冴えないオタク"だったのが少し残念な気持ちもありつつ、それが逆に暗すぎない展開になって良かったのかな、とも。

最終的に4人全員が繋がっていくのがあまりにも出来すぎていて、これが1番のミステリーじゃないかと(笑)そういう面白さも込みでクスッとしつつも重要な場面はきちんと締められていたと思います。

五郎が最後に「人生かけて応援します!」とアイドル・ユカリに宣言した時に真っ先に出た「重っ…!」というユカリの返事がグサグサ刺さりました……そうだよね、オタクって重いよね……ごめんね………(笑)

2.家族旅行

圭ちゃんの配役:健三郎(父)
セリフ量も多く4作品の中ではメインのポジション。
前作品(缶詰)の五郎とは全く違う発声、声のトーンで初手から圭ちゃんがグッと自身の中に役を引き込んだ感覚がこちらにも伝わってきました。
このストーリーが1番演者(声優のお三方)の技量を感じられたというか…榊原さんの艶やかなお母さん、古賀さんの可愛らしくも元気な少年声、野島さんの少女な声とじいじ・ばあば役への切り替えの素早さ……圧巻でした。

シットコムと書かれていただけあって終始クスッとくる家族のやり取りが微笑ましかったです。
ペペロンチーノをあんなに色っぽく聞いたのは生まれて初めての体験でした(笑)

3.旦那デスノート

圭ちゃんの配役:馬場サエコ
これまでの2作品がミステリー・コメディ寄りのお話だった中でのサスペンス、ホラー要素が中心のストーリー。
旦那役を古賀さん、妻役を榊原さんという一見すると性別的には逆では…?と思う配役でしたが違和感が全く無くここでも声優さんの凄さを実感しました。
そんな中、野島さんと圭ちゃんの主婦友コンビが序盤はめちゃくちゃ面白く、終盤はサイコパスさがあって良いスパイスでした。
圭ちゃんの主婦役はあまりにも(良い意味で)無理がありすぎて本当に笑いました。月1(トリプル・ゾーン)でよく見る動きと話し方で…(笑)

そしてラストが本当に衝撃的!!
最後の最後に伏線を回収された上での榊原さんの最後のセリフ。声のトーンと照明がマッチしていたのも相まって鳥肌が立ちました。

4.スイート

圭ちゃんの配役:老女・幸男(青山の同級生)・愛子(青山の母親)・機動隊

ミステリアスな雰囲気があって、ラストに相応しいストーリーでした。

圭ちゃんの出番は少なめでしたが序盤の老女の声はとても優しいおばあちゃんさが滲み出ていてとても良かったです…!青山を説得する場面では機動隊⇄母親⇄同級生と3役の切り替えが大変そうでしたがそれぞれの役の個性を上手く表現していたと思いました。
終盤、青山が参観日に戻るシーンにかけて榊原さんの声色が自然に、且つわかりやすく若々しく(子供に)なっていくのがとても素敵でした。


総括

真っ白な衣装にシンプルな舞台セット、ストーリーにぴったりな4人の素敵な声とそれを際立たせる綺麗な照明と音響。全てがストレートで楽しい作品でした。それぞれ単独のお話ではなく、ちょっとずつ話が繋がっているのもテンポを途切れさせないようになってて良かったです。欲を言えば台本が欲しかったな〜〜物販が何も無いことがもったいない…!!
特に思ったのが榊原さんの声は全編通して本当に同じ人が演じているの?と疑うほど全く異なる声で(元々プレイしていたゲームに出演されていたのでその上手さは知っていましたが)、生で聞くとより圧倒的な迫力がありました。"演じる"というより"憑依している"という言葉が合いますね。凄かったです…!
野島さんの温かさが滲み出る心地よい声も古賀さんの可憐さ、凛々しさを感じられる可愛らしい声も最高で…終始耳が心地良すぎました(笑)

何より驚いたのが、カーテンコールで告げられた「この4人での通しは今日が初めて」だったということ!
お互いの持っている手札(技量)が見えずに手探りだったようでしたが、全くそんな風には感じられない程4人の呼吸もぴったりでしたしストーリーの展開もスムーズであっという間の1時間30分でした。ソワレも見たかったな……地方オタクの悲しい性ですね。

「朗読劇」という声が重要なコンテンツで、"発声"だけ見るとやはり圭ちゃんは本業のお三方とは見劣りする部分もあったかもしれませんが、台本を読みながら自分のセリフが無い時でも役柄に応じた表情や身体の動きを途切れさせず「全身で演じる」という役者ならではの演じ方をしていて、いつもとは異なる環境の中汗だくになりながら良い緊張感を持ちつつ懸命に食らいついていた姿がとてもかっこよかったです…!
配役もストーリーも本人の演じる姿勢も、全てが「こういうのを見たかった!」と思えた作品でとっても楽しかったです!

またこういう見応えのある面白い作品に出演してくれますように。