韓国政府奨学金(KGSP)について
大韓民国政府奨学金(KGSP)とは?
名前の通り、韓国の政府機関である国立国際教育院が管轄している奨学金です。大学院の場合は、毎年2月にその年の9月入学の募集要項が公示されます。
韓国内での入学金や学費はもちろん、月々の生活費や研究費なども支給してもらえます。さらに、韓国語レベルが一定のレベルに満たない場合は、語学研修期間も援助をもらえます!
韓国政府奨学金の詳しい支援内容や応募要項は、Googleで検索すればすぐに出てきますのでそちらで確認をお願いします!
韓国で大学院進学を志した経緯
私は2019年卒で中堅メーカーに就職し、韓国営業を担当していました。
もともと仕事で韓国に携わりたくてこの会社に就職したものの、自分の予想していたものとは何か違うな、仕事に対して興味や向上心が全く湧かないな…と紋々とした日々を送っておりました。
積もり積もって一番精神的にしんどかったのが2019年の12月。毎日会社に行くのが嫌すぎて、もう本当にしんどかったんです。
そこで、思い立ちました。韓国で大学院に行こう!!!と。
韓国政府奨学金の存在はもともと知っていた!
大学のときに交換留学で1年間西江大学に通っていましたが、そこで色々な出会いや学びがあり、いつか韓国で大学院に行きたいなという思いをずーっと秘めていました。
でも新卒で一回働いてみたかったし、9月入学となると大学4年の3月に応募して落ちたらニートじゃん!という焦りから卒業後すぐには応募しませんでした。
そして私は大学在学中にもJASSOの奨学金を貸与していたため、自費留学などもってのほか!大学時代の学費や生活費も自分で工面していた部分が多かったので、家族に頼ることもできません。
なので、ここは政府奨学金に落ちたらすっぱり諦めることが前提です。
そんな覚悟で書類の準備を始めました。
書類準備について
他の応募者様たちは早い方だと1年前から書類準備すると聞きましたが、私は思い立ったのが突然だったため働きながら3か月で書類完成させました!
なので、今からじゃ遅いかな…と気にしている方も、努力次第で間に合わせることはできる!と思います。
前回の記事でも書きましたが、私は韓日共同高等教育留学生交流事業の選考もあったため、そちらの書類は1か月で完成させました(笑)
気になる方がいるかは分かりませんが、各書類についてざっとこんな内容で提出しました。
卒業証明書・成績証明書
私は大学側にネットから必要な枚数の証明書を申請・決済し、郵送してもらいました!
ほとんどの大学で英文の卒業証明書および成績証明書が発行できると思います。その場合は公証は必要ありません。
GPA
KGSPはGPAのスコアパーセンテージが80%以上が応募条件になっていますが私は3.51/4.00で100%換算すると90%でした。
高いに越したことはないかと思いますが、80%ぎりぎりでも合格した方もいるそうなので、とりあえず超えていれば大丈夫かと思います!
GPAの計算方法については、韓国語または英語の募集要項の最後のほうのページに参考になる表がついていますので確認してみてください。
自己紹介書
私は翻訳専攻が第一希望だったので下記のような内容で書きました。
なぜ、いつ韓国語に興味を持ち勉強しはじめたか。
今までどうやって韓国語を勉強してきたか
交換留学中は何を勉強していたか(西江大学で語学堂で最優秀成績賞を受賞したこともアピっておきました)
なぜ大学院進学をしたいのか
この奨学金を応募した理由(経済的に自費での進学が難しいこと)
日本語の書類もほぼほぼ同じ内容で提出しました!
学業計画書
学業計画は私の場合、翻訳専攻と韓国語教育専攻の二本立てで出願したので、すごい曖昧なことしか書けませんでした!💦
※翻訳が第一希望ですが、韓国の一般大学院で翻訳を専攻できるのは全国に2校しかありません。
その代わりどの専攻に行っても達成したい目標を書き、日本人として韓国語に向き合うなかで学びたいことを書きました。
卒業後の進路について
一言でいうと、「起業します!」と書きました。
大学時代に卒論の事例で韓国の私立図書館でインタビューをしたのですがそこで出会った方々や空間が私にとって大きな影響を与えてくれたので自分もそういった空間を作りたい!と書きました。
韓国語または英語の語学能力試験証明書
私はTOPIK6級の合格証だけ提出しました。
英語については一番最近受けたTOEICのスコアが650点くらいだったんですが逆に不利になるんじゃないかと思って、出しませんでした💦
英語で授業受けるつもりがないなら、提出しなくても平気だと思います。周りの奨学生も出していない方多いです。
推薦状
他の書類は自分の力でなんとかできますが、推薦状だけは教授に頼まなければいけないので早めに準備しましょう。
私は大学時代のゼミの先生と、大学時代に学内の奨学金応募するときに推薦状お願いした先生にお願いしました。
どちらの先生も社会学部の教授ですので、院での専攻とは関係ありません。
推薦状の内容は完成版を見せていただいていないのですが、こんな内容で書いてくださったと思います。
応募者の性格や、教授との関係について
応募者が奨学金を受けて学ぶのに値する学生である理由
両親の国籍を証明する書類
両親ともに日本国のパスポートを持っている場合は、パスポートのコピーを提出すれば大丈夫です。当たり前ですが、公証なども必要ありません! →※2021年度から戸籍謄本の提出+追加でパスポートコピー提出に変更になったようです!2021年度以降の応募者の方は、ご自身で募集要項をお確かめください!
私の場合は母子家庭で、父親に連絡を取りたくなかったため駐日韓国大使館に確認をして「応募者本人のパスポートコピー+母親のパスポートコピー+戸籍謄本原本&訳文(公証必要)」を提出すればよいと言われました。戸籍抄本(同一戸籍にいるうち1人分)ではなく、謄本(同一戸籍にいる家族全員の戸籍簿の写し)です!
戸籍謄本は本籍がおいてある市町村に依頼すると取れます。ちなみにマイナンバーカードを持っている場合は、本籍がおいてある市町村に依頼をして手続きをすればコンビニのマルチコピー機で戸籍謄本が印刷可能です。
戸籍謄本を提出する場合は日本語版しかないと思うので、自身で英訳または韓国語訳をして公証役場で公証を取得する必要があるので注意です。私はネットで検索したところ、英訳のテンプレが多数見つかったため英訳しました。
公証のみでよいのか、アポスティーユまで必要なのかは最新の応募要項で必ず確認してください!
書類審査で何が重視されるのか?
これはあくまでも個人的な考えですが、一番見られているのは下記の2点かと思います。
韓国で2または3年間何を学び、それをどのように社会に還元したいのか
この奨学金をどうしてももらいたい!という熱意はあるか
1年という時間を要して書類を準備された方は、自分が2年間支援してもらいながら何を成し得たいのかをじっくり突き詰めて考えていらっしゃったんだと思います。
ただ単に韓国に住みたいから、という理由だけでは合格は難しいのかなと思います。
面接試験について
書類審査が通ると、駐日韓国大使館で面接試験があります。
本当に申し訳ないんですが、面接時の質問をどこにメモしたか思い出せず…😿うろ覚えですが書きたいと思います。
2020年度はコロナでオンライン面接になりました。
その日はド平日でしたが、私の面接は夜の7時からだったので在宅勤務終了後にスカイプで受験しました。
聞くところによると、早い方は午後1時から面接だったそうで途中に休憩が入ったとしてもかなりの人数面接があったのかなと思います。
私も6時50分くらいからそわそわ待機していたのですが、6時55分くらいに電話が来ました!早い!!
面接官は韓国人の方2名(おそらく大使館の方)と、日本学生支援機構の方1名でした。以下質問事項です。
自己紹介(韓国語)
大学院で専攻したい分野(日本語)
交換留学に行っていたと聞いたが、韓国生活で辛いことはなかったか?辛いことがあった場合はどのように克服したか(日本語)
今会社に勤めているようだが、休職するのか?退職するのか?
卒業後は日本と韓国どちらで働くつもりか。(日本語)
8分程度で終了。
なんか、もっと変化球的な質問がくるとおもったので拍子抜けしました💦
私に興味ないんじゃないか?と思うくらいあっさり終了。
でも無事に受かってました☺
大学別審査について
私は出願した3校はすべて面接なし、書類審査のみでした。
3校中2校合格しました!翻訳専攻1校と、韓国語教育専攻2校出しましたが韓国語教育専攻の1校落ちました💦
たぶん本当に韓国語教育学びたいっていう気持ちが見えなかったんだと思います。自分でもそう思うので異論なし!です。
あと、最終合格の前に健康診断受けなきゃいけないんですが都内のトラベルクリニックで42000円もしました😿
検査項目もフォーマット送ったらすべて病院側で確認してくれて、英語でも日本語でも完璧に診断書作ってくれましたが高い高い😿
合格までの道のりは、ざっとこんな感じです。
韓国政府奨学金に関するQ&A
Twitterやインスタを通して、複数の方にご質問いただいたのでまとめてお答えします!
Q1. 韓国語レベルについて、合格者はTOPIK6級保持者ばかりでしょうか?
私は自分の出願したい学科がそもそもTOPIK5級以上でないと出願できなかったこともあり、TOPIK6級の成績書を提出しました。でも、この奨学金は入学前の語学レベルよりも「大学院で何を学びたいか?」のほうが重視されると思います。
そのため、今年の合格者の方の中にも語学研修からスタートされる方もいらっしゃいました!今の自分の韓国語能力に自信がなくても、熱意があれば問題ないと思います!
Q2. 英語の資格は提出されましたか?
提出していません!
大学院で英語で進行される授業を履修したい方、そういった学科に行かれる方は必要かもしれませんが、私は何も提出しませんでした。
Q3. 大学での専攻と今の院の専攻は近いですか?
この質問、複数名の方にされたのでかなり気にしている方がいるのかなと思います。
私は大学時代社会学を専攻し、現在は韓国語翻訳を専攻していますので全く異なります。
ただし、韓国語翻訳は学術的知識よりも韓国語能力が重視される分野ですので、例えば大学では「経済学勉強していたけれど、院では政治を学びたい」などといった場合は、合格できても入学後に授業や研究についていくのが大変かと思います。
やはり、院というのは大学でその学問分野の基礎を学んできた前提で授業が進むと思いますので…💦
Q4. 添付書類に卒論は出しましたか?
出しませんでした!
前述のとおり大学時代と専攻分野が全く異なりますので、必要ないかと思いました。大学の卒論で研究したことと、院で学びたいことが関連している場合は提出してもよいと思います。
何か留学以外にボランティアなどの韓国関係の活動に参加したりしていましたか?政府奨学金という名前から、過去の活動も豊富な方が合格されているイメージがあって…。
ボランティアですと、日韓交流おまつりのスタッフをやったことがあります。そのほかにも内閣府の日本韓国青年親善交流事業と日韓大学生討論会に参加したことがありますが、どの経験も書類や面接で言及しておりません。
ボランティアなどの経験について記入する欄があるわけではないので、そういった活動に参加していなくてもマイナスになることはないと思います。
Q5. 学業計画書を作成するにあたり、希望する学科や教授に関する論文は読みましたか?
私は読んでいませんでした。学業計画書も、志望分野が翻訳と韓国語教育という全く別の分野だったので、あまり詳しいことは書きませんでした。
ただ、学校ごとに面接がある場合は読んでおいた方が面接対策にはなると思いますし、事前にその学科や教授のもとでどんな勉強ができるのかを把握するためにも、学業計画書で言及しないにしても読んでおいて損はないと思います!
Q6. 卒業後の進路について、どのようにお考えですか?
書類や面接では起業します!と宣言しましたが、実際卒業後何の資金もないですし、何なら日本で借りたJASSOの貸与型奨学金も返還しなければならないので、日本か韓国でひとまずどこかに就職すると思います。
翻訳関係で就職できればベストですが、正直今悩んでも働けるのは2年後なので、不確かな将来のことよりは今この環境どう有効活用できるかを考えています。
でもいつか韓国語を学ぶ人たち、韓国語が好きな人たちが集まれる語学カフェを経営したいです♡
Q7. 選考を受けながらの手応えや周りの合格者の共通点などあれば教えてください!合格者の進学された専攻や大学なども分かれば教えていただきたいです。
前にも書きましたが面接があまりにもあっさりしすぎていて、手応えはあまりありませんでした。
周りの合格者といっても、今年はオリエンテーション中止のため直接お会いした合格者は4名しかおりませんが、みんな学びたいことが明確で、しっかりしているなぁという印象です!
進学先などはこちらのサイトで合格者のリストが確認できます。
ですが、リストには個人の実名も記載されているため、あまり公にしないほうがよいかと思い見方などの説明は控えておきます💦
Q8. 今からできることで、やっておくべきことは何でしょうか?
ひとまず、自分が韓国の大学院で何を勉強したくて、その分野に関してどの大学だったら学べるのかを下調べしておくことをお勧めします!大学院のホームページを見たり、時には教授に連絡をしてみることも大切です。
合格して入学したものの、自分の学びたいことが学べない大学だった…となっても後の祭りですので、大学の知名度だけでなくその分野に特化した授業や教授がいるかを確認しておきましょう。
また、推薦状を書いていただきたい先生に連絡を取り、推薦状の内容についても相談しておくことをお勧めします。
毎年KGSPの募集要項は1月~2月に出ると思いますが、その時期日本の大学の先生方は期末試験採点や卒論審査でかなりお忙しいので、事前に相談しておくに越したことはないと思います!
Q9. 働きながらの準備で大変だったこと、社会人であることについて専攻の時なにか質問されたりしましたか?(プラスになったなと思うことがあればそれも教えてください)
私は土日休みの仕事でしたので、書類の準備は土日に進めていました。ですが、公証役場訪問や推薦状を書いてくださる教授へのご挨拶は平日しかできないので半休を駆使しなければならなかったことくらいでしょうか?
面接で今の職場は休職するつもりかを聞かれましたが、社会人受験がプラスになることもマイナスになることもないと思います。
それよりは、個人的に短くても一度社会に出て働いてみてよかったなと、個人的に感じています。会社に入らなければ知らなかった仕事もあったし、PCスキルも上がったし、なによりも幅広い年代の方々と関係を築くことができました。辛いことや悩んだこともあったけれど、自分を少し成熟させてくれた気がします。
Q10. どのように学校を選ばれましたか?
上にも書きましたが、私が学びたかった翻訳に関しては韓国の一般大学院では全国に2校しかありません。
さらにそのうち1校は2020年秋学期は学科が開講されないということで1校しか選べませんでした💦
韓国語教育に関しては、結構いろんな大学に学科があったためホームページを参考に出願校を決めました。
また、3校中1校はソウル以外の大学を選ばなければならないので、地理的要因も考慮しました。
※KGSPでは通翻訳大学院のような専門大学院は出願できず、一般大学院のみです!
最後に
Twitterを見ていると、韓国の大学院進学を目指している方をちらほらお見掛けします。
私も受験した当時は本当に受かるかどうか、不安でしたし自信もありませんでしたが、無事に合格して大学院に通えています。なによりも挑戦することなしには良い結果も出ませんので、勇気を出して一歩踏み出すことが大切かと思います!
今応募を考えている皆さまもどうか、良い結果が訪れますように…☺