【櫻坂46】『隙間風よ』から感情を受け取る
こんにちは。
初めてnoteを書いています。
noteに限らず長い文章を書くこと自体とてもとても久しぶりなので、お手柔らかに読んでいただけたら嬉しいです。
今回のテーマは、櫻坂46 7thシングル「承認欲求」の通常盤に収録されている楽曲『隙間風よ』について。
これまで櫻坂46の楽曲には何度も励まされ、背中を押され、時には涙もしてきた私ですが、
この曲が一番、そしてもしかしたら唯一、
「寄り添ってくれる」と感じた楽曲でした。
この楽曲のセンターを務める小林由依さんが、2023年10月23日に配信したSHOWROOM内でMVの解説をしています。
このnoteではSHOWROOMで言及されていた言葉を元に、私が感じたことや受け取ったものをつらつらと書いていきたいと思います。
そのため予めご了承いただきたいのですが、MV考察や歌詞考察とは少し違います。
真新しいこととか、知らなかった発見とかはないと思います。
MVの中で出てくるモノリスの壁の意味とか、
MVの最後で小林さんが捨てている灰の意味とかわからないです。
悪しからず。
MVはもう充分咀嚼したから結論だけ読みたいって方は「『隙間風よ』が届けてくれたもの」の章に飛んでくださいね。
乾いた質感 -MV全体の世界観-
小林さんは「MVは歌詞の世界観で作った」と言って、2箇所の歌詞を挙げました。
「いつの間に傷ついた今日までの自分」
「傷ついても慣れたから感じない 何も」
そして、
「曲の中の主人公は『痛みを感じなくなっちゃったゾーン』にいる。乾いた感じ。無感情が近いですね。」
と説明。
草原や山・景色全体の茶色っぽい感じや、メンバーが持っているドライフラワーは、そんな「心の渇き」を表現しているそうです。
メンバーはみんな無表情のまま、曲は進んでいきます。
「無表情」で「がむしゃら」の矛盾 -1サビ-
1サビで、持っていたドライフラワーをバラバラに投げ散らす振りがあります。
がむしゃらで力強い振りです。
だからメンバーには表情がありそうなのですが、無表情。
(表情が分からないように撮影しているという方が正しいかもしれません。)
そこに矛盾を感じました。
痛みを感じなくても、心の奥底は傷ついていて、本当は痛いはず。
「感じない/確かに痛んでいる」という矛盾を、
「無表情/がむしゃら」という矛盾が表しているような気がします。
伝わるかな… 日本語難しいな…
余談)
2023年11月25日,26日にZOZOマリンスタジアムで開催された「櫻坂46 3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」にて、『隙間風よ』が披露されました。
私の印象の一つは「イメージ以上に激しく踊ること」でした。
そんな激しい振り付けは、確かに存在する痛みゆえなのかなと。
無機質なビンタと“痛み” -2番-
印象的なビンタのシーンですが、
小林さんの話では、
「ドラマで見るような感情的なビンタではない。
夢か現実か確かめるときの頬をつねる行為に近いビンタ。」
痛みを感じないから、ビンタされてもメンバーは無表情でただ叩き返すだけ。
ビンタについては10月17日にYouTubeの「櫻坂チャンネル」内で行われた生配信で、森田ひかるさんも
「感情的なビンタじゃなくてちょっと無機質な演出」
と言及しています。
↑このアーカイブ動画の32:43あたりからビンタの話をしています。よかったら。
・初めて感じた“痛み”
ここで、主人公が初めて痛みに気づく大切なシーンがあります。
みんなが無表情でビンタし合う中、小林さんだけが、叩かれた頬に手を当てるシーン。
小林さんは自分の頬に手を当てた後、叩き返すことなく、相手である土生瑞穂さんの頬にその手を差し出しています。
小林さんはSHOWROOMで「私だけは『痛かったんだ』ということに気づき、相手に手を差し伸べている。」と言っていました。
土生さんの頬に伝う涙が非常に印象的な場面ですね。
この涙、このMVで初めて見られる「感情」だと思います。
土生さんが自身の痛みに気付いた瞬間なのでしょうか。
しかしそこに「表情」はまだ無いです。
歌わないリップシーン -2サビ-
2サビはメンバーそれぞれのアップのカットなのですが、これがちょっと異質で。
通常リップシーンというと、歌っている(もしくは歌に合わせて口を動かしている)のです。
しかしここでは誰ひとり口を動かしていない。
無表情で、ただ一点を見つめて手だけ動かしているのです。
リップシーンといっていいのかわからないですね。
無表情のアップに手だけの振り。
怖さすら感じさせます。
ちなみに私はこのシーンめちゃくちゃ好きです。
炎 -ラスサビへ-
・初めての“表情”
「空気…空気…」のシーンで、
みんながカメラに背を向け炎の方へ歩いていく中、小林さんだけが一度こちらを振り返ります。
なにかに気づいたようにも見えるし、
残してきたなにかを名残惜しそうに振り返っているようにも思えます。
今までの痛みでしょうか。なんだろう。
そして、Cメロというのかな?
遠くの炎を見つめるメンバーの顔が映ると、そこには確かに「表情」が浮かび上がっていました。
歌も実際に歌っています。
うるうると涙を目にためる者。
柔らかい微笑みを浮かべる者。
歌に気持ちを込める者。
今までの乾いた空気とは一変しました。
・乾いた心を浄化する炎
ラスサビは炎をバックに踊るシーンが印象的です。
炎は大きく燃え上がっていますが、小林さんは
「ボーッ!と燃えている炎ではなくて、気持ちとしてはファーっとしている(激しくない)炎」
「乾いた感情をいっそ浄化してくれ、という感じの炎」
「浄化させて次に進んでいくような感じ」
と話しました。
まるで炎に浄化されていくかのように、
今まで一切見られなかった
「痛み」「苦しみ」「悲しみ」
のような表情を、それぞれのメンバーから確かに見ることができます。
ラスサビの歌詞は1サビと同じですが、これまでのサビとは全く違う“色”がついています。
とても表情豊かなのです。泣いちゃうよね。
歌詞全文
ここに歌詞を載せます。
もう何度も聴いたよというBuddiesのみなさんも、よかったら改めて読んでみてください。
『隙間風よ』が届けてくれたもの
冒頭で「寄り添ってくれる曲だと感じた」と書きましたが、それはどうしてなのか。
極めて個人的な意見ですが、
「僕」が慣れてしまった傷や感じなくなってしまった痛みに気づいていくのと同時に、聴いている私自身の痛みに気づかせてくれるから。
私(聞き手)が無意識に傷ついていたことに対しても「本当は痛かったんだよね」って背中をさするようにそばにいてくれるから。
だから涙が出るほど心が動くのではないかと思うのです。
痛い、苦しい、つらい。
そう思ってもいいんだよって言ってくれているように感じます。
つまり『隙間風よ』は、無感情・無表情だったところへ感情を届けてくれる楽曲。
私はそう解釈しました。
なんて温かい… 本当に大好きな楽曲です。
最後に
先日、小林由依さんの卒業が発表されました。
筆舌に尽くし難い思いですが、
今後小林由依さんが『隙間風よ』を届けてくれるのは、配信ミニライブを除けばおそらく2日間の卒業コンサートのみ。
大切に受け取りたいと思います。