好きこそものの贈与なれ。
前置き
プロ奢ラレヤーの月額マガジンを買うともれなくついてくるslackに入れる権利の中でモースの『贈与論』を読むという企画?がある。
贈与論は読み終わったのだが、課題として実際にモースの贈与論に当てはめて、贈与して考察しようとなった。
能動的に勉強できることは素晴らしく楽しい。課題もけっこうノリノリで書いている。がっつりレポート形式の文を作るのは大学生以来。自分から作るのは正直初めてである。
内容は食べ物の贈与。コンビニで買ったたらこスパゲティの素。老舗の和菓子屋で買った柏餅。どちらが贈与の力があるか?より強い力を持つ贈与とは何か?を考えていきたい。
(論文って最初に要約のせたりするよね。なんとなく真似。)
課題
モースの『贈与論』によると、こうある。
タオンガはその森、郷土、土地のハウ(霊)によって生命を吹き込まれているからである。それはまさに「土着の」ものである(30)。
「土着の」とは、人が昔から住み着いていること。タオンガは贈り物そのもの、ハウとはタオンガに付随する魂みたいなものである。贈り物が人間、ハウがスタンド能力と思えばいい。
「ジョジョの奇妙な冒険」より
更にこうある。
タオンガないしハウはそれ自体一種の個体であり(32)、一連の保有者が祝宴、祝祭、贈与によって、同等あるいはそれ以上の価値の財産、タオンガ、所有物、労働、交易をお返ししない限り、彼らにつきまとう。
タオンガを貰うと、そのタオンガと同じ強さのタオンガをぶつけないと、能力につきまとわれるらしい。ならば、贈与するならなるべく強いタオンガをぶつけたほうがいいことになる。
そしてタオンガの強さは「土着」の力が重要のようだ。贈与として土着の力が(あるもの)と(ないもの)。贈与としてどう差があり、どのような贈与が有効なのか?
これを課題としたい。
実験
普段鍼を刺す許可をくれている、ありがたい伊予柑さんに(@iyokan_nico)鍼とは関係なく、週を変えてある贈与品2品を渡した。
1.セブンイレブンのたらこスパゲティの素1つ。
https://7premium.jp/product/search/detail?id=141
2.地元の老舗の和菓子
5月だったので柏餅。こしあん、つぶあん、みそあんを1つずつ。
https://iseya-kashiwa.com/
1は全国規模でどこででも手に入る。私の最近のお気に入り。2は地元、老舗、季節物、と土着力高め。どちらが贈与としての力が強いのか?アンケートをとってみた。
①.どちらのほうが贈与の力が強いか?
②.1と2、それぞれのタオンガを返すなら何を返そうと思うか?
これをTwitterのDMで聞いた。
結果
たらこの勝ち。
たらこの勝ちである!(モースの嘘つき…)
②に関しても和菓子は対等な返礼になっているが、たらこはセブンイレブンのお礼が成城石井に変わっている。
これは!まさに!わらしべ!長者状態!
(さて、どうしよう。とりあえず寝るわ)
考察
(1日考えた。)
①の贈与は自分の「好き」な贈与。②は自分の「土着」に即した贈与だった。結果は好きが土着に勝ったということになる。モースの話とは違うわけだ。ハウは土着で強まるのではなかったのか?
しかしモースごめん。モースの言ったことは間違いではない。ただ時代が変わっているのだ。昔はそれぞれ地域、家族と血縁がメインの土着コミュニティが強固にある。強固がゆえに閉鎖的であり、断絶的だったとも言える。
コミュニティの強固さは維持しないといけない。離反者が出ては他のコミュニティに侵食されてしまう。またしかし、閉鎖的でありすぎると、脆弱さも兼ね備えてしまう。同じ遺伝子が集まると、伝染病で全滅する可能性が高い。
コミュニティの強固さを維持しつつ、脆弱さを回避するために、冠婚葬祭でお互いに贈与のルールを決めて、従わないコミュニティに罰を与えていたのだろう。
しかし現代では土着コミュニティは崩壊してしまった。もはやコミュニティとは言えない核家族となり、昔の人が恐れていた脆弱さが残ってしまった。
血縁が頼りにならなくなった現代では「好き」のコミュニティにハウが移っていると思う。マンガ、アニメ、ゲーム、ラジオ、スポーツ、車。現代人はそれぞれに好きなものを決めて、好きなものが同じ同士で楽しむのだ。
土着のハウは弱まり、好きのハウが強くなっている。しかし贈与の力自体は変わってない。ここは勇気を出して、自分の好きを他の好きな人に思いきってぶつけるべきと言いたい。
私が結婚を決め、初めて嫁氏の両親に挨拶に行ったときに、お土産をどうするか、少し揉めた。嫁氏は無難なものを持っていったほうがいいと主張したが、私はどうしても自分の1番好きなお菓子を持って行きたかった。
http://211.1.227.214/tbc/
嫁氏はお義母さんはチーズケーキが好きじゃないから、と言っていたが、私はこのケーキが好きすぎて、ここぞと言うときに持っていくと決めていた。「土着」の場である両親の挨拶に自分の「好き」を叩きつけた。結果としてお義母さんも猫も食べた。
今でも嫁氏の実家に行くと、お義母さんがこの話をしてくれたりするので、ハウの影響は未だに残っている。大成功だったと言っていいだろう。
結論として土着の贈与は死に、好きの贈与の力が増している。ハウはあなたの好きにいるので、自分の好きすぎるものをタオンガにして、遠慮なく相手に叩きつけよう。
好きこそものの贈与なれ。
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