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読書記録『麦本三歩の好きなもの 第二集』住野よる

麦本三歩の好きなもの 第二集/住野よる/幻冬舎

後輩、お隣さん、合コン相手ーー
三歩に訪れる色んな出会い
図書館勤務の20代女子・麦本三歩の
あいかわらずだけどちょっと新しい日々

わたしの大好きな作家さん、住野よるさんの新刊です。
発売されたのは今年の2月25日。発売日に購入することはできませんでしたが、その週の金曜日、残業を終えたわたしはまっすぐ本屋さんへ向かいました。
一週間の疲れを癒すため、頑張った自分へのご褒美として、この本を購入しました。

1日1話。「これは感想文を書こう」と思いながら読み進め、かなり前に読み終えたのに、なかなかPCを開けませんでした。


第二集ということは、つまり第一集があったわけで。
もちろんそちらもしっかり読みました。

第一集を読んだ当時、正直「三歩のこと、好きになれないな」という感想でした。今まで読んできた住野よるさんの作品とは明らかに毛色の違う作品。
ちょっとドジで、同性のわたしから見るとあざといと思うほど、自分とはタイプの違う女の子、三歩。
「こんな人が身近にいたとしたら、仲良くはならない」という印象をもつ主人公に共感がもてませんでした。

第二集が出ると聞いたとき、「まじか」と。
今までの住野よるさんの作品は全部読んできたから、半ば意地で読むことは決めたけど、正直、そこまで待っていなかった。

そんなわたしが、一週間頑張ったご褒美にこの本を心待ちにしていたのは、自分の状況が変わったからではないかと思います。
決して器用とは言えないし、周りの人たちに迷惑をかけてしまうことのほうが多い三歩が、今の自分と重なったから。


第二集で久しぶりに会った三歩は、以前抱いていた印象とは変わっていました。
相変わらず先輩に怒られたり、ぐだぐだな姿もあったけれど、三歩の思いにきゅんとなることが多かった。きゅんっていうのは「あ、好き」みたいなきゅんではなくて、ちょっと胸が痛くなるきゅん。

今までずっと同じ目線で話をしていたと思ったら、突然大人な考えを聞いたみたいな。
「あれ、いつの間にそんな遠くにいっちゃったの、置いてかないでよ」って切なくなるきゅん。

不器用な三歩だけど、頭の中ではいろんな考えが巡ってて、相手のことを想った解釈をしている。その解釈は相手には伝わってないし、完全な自己満足なのかもしれない。だけど、「もしかしたらあの子はあの子で悩んでいるのかも」「だとしたら私はこうするよ」

そんな発想ができる三歩に、勝手に敗北宣言をしました。
第一集の時には完全に自分のほうが三歩より世の中の役に立ててる、勝ってると見下した三歩に対して、「負けたな」と。

同時に、自分の周りに起きたいろんな状況に対して、三歩の解釈を見習いたいなと思いました。

おそらくわたしと同い年と思われる三歩。
同じ学校にいたら、同じ職場にいたら、やっぱり最初は好きになれないかもしれない。
「なにこいつ」って冷めた視線を向けてしまったと思う。

でも何かのきっかけで、例えば同じ班になったとか帰り道が同じだったとかで話をする機会があったとしたなら、最初のわたしの無礼な視線を三歩が許してくれるなら、仲良くなりたいです。
一緒にお酒を飲んだり、好きな作家さんの話をしたりしたいです。

三歩の表に出てくる不器用な部分を見守りながら、三歩のように相手の内の部分を理解しようと思える心を持ちたい。

三歩と仲良くなりたくなったので、第一集を読み直そうと思います。


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