ハーフエルフは愛が欲しい(第三話)
案内していたリチャードが言った。
『またですかフェリクス、あれほど資料を整理してきちんと管理しなさいと言ったでしょう。』
フェリクス
『も、申し訳ありません。その時間も無くて、、』
リチャード
『まぁこの仕事量なら仕方ないですね、貴方に苦労をかけます。期待してますよ。』
フェリクス
『め、滅相もない!仕事が出来ない私の実力不足です。期待に沿えるよう努力します!』
リチャード
『そうそう今年の新人を連れて来ました。
アイさんとアーニャさんです。
しっかり教えてあげて下さい、最初からきちんと教えれば有能な部下となるでしょう。では。』
フェリクス
『肝に命じます、お気をつけて。』
アイとアーニャはハキハキとフェリクスに挨拶した。
アイ
『リチャードさんに紹介いただきました、アイと言います。よろしくお願いします。』
アーニャ
『同じく紹介いただきましたアーニャです!
よろしくお願いします!』
フェリクスはリチャードを見送った後、振り返ってアイとアーニャを見て言った。
フェリクス
『あー、フェリクスです。よろしく。
僕あんまり教えるの得意でないけど、
出来るだけわかりやすく教えるね。分からない所は遠慮なく聞いてよ。』
アイはふと疑問に思ったことを聞いた。
アイ
『フェリクスさんはリチャードさんと仲が良く無いのですか?とても緊張した話し方でしたが。』
フェリクスは驚いた表情で首を横にブンブン振って言った。
フェリクス
『いや!逆だよ!尊敬してるんだよ!
あ〜リチャードさんにも嫌われてるとか思われたらどうしよう、もしそうならショック死しそう。どうしても仕事が上手くいかないんだよな。
良い所見せたいのに。』
アイは聞いてみないと考えてる事って分からないものだなと思った。
そして謝った。
アイ
『お気を悪くされたならごめんなさい。あまりにも緊張した様子だったので。』
フェリクスは少し落ち着いた様子で言った。
フェリクス
『いや正直に思う事を聞いてくれてありがとう。客観的な自分の様子が知れてよかったよ。』
アイはこの職場の上司も良い人柄そうで安心した、と同時に迷惑かけないように頑張ろうと心に改めて決めた。
そしてアイとアーニャはフェリクスから詳しい仕事内容の説明を聞いていくのだった。
フェリクスの方もアイとアーニャの様子を見て、
今年は素直でおとなしそうな子で良かった〜とこっそり思っていた。
何故なら去年はわがままな新人が多く、言う事をちゃんと聞かず大変だったのだ。
そして結局リチャードさんも堪忍袋の尾が切れてクビ、せっかく時間を作って教えた事も無駄になった。
賢い部下は大歓迎ださっそくどんどん仕事を覚えてもらわないと。
仕事は山ほどあるのだから。
続く
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