精霊吸血鬼の館
精霊吸血鬼の館
館の主は、レイキューレ。
精霊吸血鬼の長で、唯一純血の末裔。
レイキューレの館では、夜霧が晴れることはない。
レイキューレの館では、常に月が昇っている。
レイキューレの館では、毎晩主が血を啜る。
レイキューレの館には、入れば再び出て来れぬ。
そんなレイキューレの館に忍び込みんだとある生き霊が居た。名をベニハと言う。若い女だった。どうも魔族の者だ。霊体になって訪ねてきていた。これも能力らしい。人間ならばかぶりついていただろう。若い女の血は美味い。魔族ゆえに期待外れの『土産客』※だったが、おかげで初めて友というものができて、毎日を楽しみ謳歌している。
我らは親しき物の怪仲間として友になった。
※彼女の言う土産客とは客として迎えた人間の獲物のことで、彼女による造語です。
❶我が親友ベニハ(会った時よりも少し大人になったようだ。
❷我。牙がある。
我は常に新鮮な血のゼリーを
口の中で転がし、血を補給している。
❸死神シャーロット。我にへばりつき、魔力と金を啜っていた、友を自称するもの。
ある日、霧の深い夜、今日もまたベ二ハが訪れた。しかし、顔は青ざめ、肩は震え、服はズタズタだ。これは流石に変だ。(今霊体化状態の彼女が着ている服は本当の彼女の精神の一部、つまり霊としてのベニハの体の一部で、本体がこけたりやぶに引っかかったりしても破れるはずがない。これが破損すると言うのは余程のことだ。)「ベニハ、入れ。何があった!」「こ、、、怖かった」声が震えている。「怖かったよおおおお!キュー!」
これは、ただ事ではない。もしかすると、、、焦りつつ、イヤな予想を振り払って宥め、質問する。「何があった。落ち着け。ここに侵入できるものは滅多にないのだから。説明してくれ。あと、良く見ると最初に出会った頃の姿に戻っているのだがその理由も頼む。」ベニハは震えながら少し落ち着き、子供っぽく辿々しく話し始めた。「私怖かった。白い人、怖い。もう帰りたくない。白い人、本体じゃなくて私をねらうの。怖い!その時、聞き忘れかけていた二百年前に別れた友の声がした。「そこにいるのは雑魚血魔?こんな屋敷など持って。私の獲物を引き渡して。私はランクEの死神シャーロット!跪きなさい、無知な人間よ!」そう言って飛び出してきたのはまごうかたなき親友のシャーロットだった。死神になれたのか。よかったな。
「あっ、、貴方は、、、」向こうも気づいたようだ。
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