パーマカルチャー(Permaculture)
導入
パーマカルチャーとは、オーストラリアのビル・モリソンとデビット・ホルムグレンにより提唱された恒久的に持続可能な環境を作り出すためのデザイン体系である。Wikipediaによると
Permaculture is a set of design principles centered around whole systems thinking simulating or directly utilizing the patterns and resilient features observed in natural ecosystems.
ですね。
そもそもパーマカルチャーとは「Permanent(恒久的な)」+「Agriculture(農業)」を組み合わせた造語であると同時に、「Permanent(恒久的な)」+「Culture(文化)」と言う意味も合わせ持っています。ここには原理原則のみがあり、具体的な道筋はありません。ただ、3つの倫理と12の原則があります。
3つの倫理
英語では「The three core tenets of permaculture」と示されるものです。
1. Care for the earth (地球への配慮)
地球が健康でない限り人類の繁栄はありえない。
2. Care for the people (人々への配慮)
人々の存在のために、それら資源へのアクセスを提供しよう。
3. Fair share (公平な共有)
必要以上に奪うことをやめ、人と資源を共有し、再投資をする前にシステムに資源をちゃんと返そう。
要は価値観のようなものですね。具体的にこれをしましょう、あれはやめましょうと言うよりも大きな軸としてこれらの価値観を大切にしましょうと言うことです。より大義で共有されることにより、土地や環境に応じたパーマカルチャーの設計が可能となります。
12の原則
続いて、パーマカルチャーをデザインする上での12の原則です。
1. Observe and interact (観察と相互作用)
自然と触れ合う時間を作ってこそ、自分にあったデザインを導くことができる。これは自然でなくてもいいのかもしれないです。何かの行動を取るときにその背後にある生態系を意識しようと言うことですね。その食べ物はどこから来るのか?などを意識することです。
2. Catch and store energy (自然の力の蓄えと活用)
ピーク時の資源を集めることで、必要なときにそれを利用することができる。温室を作るならば陽の当たるところにしましょう、などもこの例となります。
3. Obtain a yield (収穫を得る)
行なっていることに対する適切な報酬を得ましょう。これは作物としての収穫もさることながら、コミュニティから技術や情報という見えにくい形での還元もあるかもしれません。
4. Apply self-regulation and accept feedback (自身での制御力を活用し、フィードバックを受け付けよう)
システムが正しく機能するために、不適切な流れが生まれないようにしましょう。我々は連続体の一部です。前にあったもの、後ろに続くものを意識し、自然の流れを受け入れましょう。
5. Use and value renewable resources and services (再生可能な資源やサービスを評価し利用しましょう)
自然の豊富な資源を活用し、人の消耗的で再生不可能な資源の活用を減らしましょう。果物を育てて、夏はその木陰で涼み、果実ができなくなったらその木で家具を作るなどです。
6. Produce no waste (無駄を生まない)
全ての資源を利用可能にすれば、ゴミはなくなる。
7. Design from patterns to details (多様に存在するパターンから詳細を設計しよう)
我々は社会や自然の中に多くのパターンを見つけることができます。それらはデザインにおける軸になります。そこから詳細を詰めていきましょう。
8. Integrate rather than segregate (分離よりも統合)
適切なものを適切な場所に配置することで、それらは連携し成長していきます。
9. Use small and slow solutions (小さなことからはじめましょう)
小さくてゆっくりとしたシステムは大きなものよりも維持が簡単です。手元の資源を活用し、継続可能な成果を得ましょう。すぐに成果の出る大きなことを考えるよりも、時間をかけても最適なシステムが回るようにしましょう。
10. Use and value diversity (多様性の価値を知り利用しましょう)
多様性は様々な脅威に対する脆弱性を削減し、そこに独特な自然環境の利点を発揮させてくれます。複数種類のものを育てることで、ひとつの病気から受けるリスクが削減されます。
11. Use edges and value the marginal (端を活用し、境界に価値を見出しましょう)
ふたつのものの境界面はもっとも興味深い部分です。そこには価値あるものや、多様性や、生産的なものが潜んでいます。海と陸、日向と日陰などの境界こそ、生物にとって適度に良い環境であることがあります。
12. Creatively use and respond to change (機転を利かせ変化に対応しよう)
注意深く観察し、適切なタイミングで入っていくことで避けられない変化にさえ、前向きな影響を与えることができます。今年うまく行ったことが来年成功するとは限りません。制御しようとするのではなく、避けられない変化とも共存しましょう。
まとめ
パーマカルチャーとは、自然の中にあるエコシステムを観察し理解し、人間である以上はさらに頭を使って、それらに逆らうことなく、永続する自然の摂理と共存することで持続可能なライフスタイルを築いていきましょう、ということかな。そこにはゴールなどなく、永遠に変化し続けるエコシステムを受け入れて変化に対応、適応しつつ、世代を超えて生きていこうというものなのかな、と思います。