張り詰める日常が切れる音

ぷつん と糸が切れるような
ぱちん と風船が弾けるような
ふっ とコップから水が溢れるような
ビリリ と電気が走るような
そんな表現を使われる、急に何か訪れる瞬間

この前、大豆田とわこと3人の元夫というドラマを見ている時、急に大号泣してしまった時がまさにそうだった。淡くて温かい色調のドラマなのに、どこか物哀しさが生まれるのは、ぱきぱきとした若者の感情ではなく、緩やかな坂のような大人の感情を出演者がうまく演じてたからだと思う。以前一度見たことあるドラマだったのに、前よりも悲しさが強く感じ取れたのは、生意気にも歳をとって成長したから、だと思った。そんな繊細な感情を感じ取れるようになって、ドラマに流れる悲しさを掴むことができて、気付いたら大洪水の涙が流れた。それは、見ている時だけではなく、終わった後に入ったお風呂まで引きずる涙だった。

良かったのは何か吹っ切れたのか、急にしんどくなって、微熱だった。次の日はしっかり熱が出て寝込んで、また次の日に病院へ行くとコロナを発症していた。突然訪れた出勤停止に、こりゃ参ったなあって思いつつ、公式に休めることをどこかほっとしていた。多分ずっとこの数ヶ月、何か張り詰めていて、それが冒頭の糸のように、ぷつんと切れたんだと思う。

夫にもうつしてしまい、急に始まった夫婦の闘病生活、といいつつ結局2人とも仕事を置いとけなくて、パソコン2台置くにはちょっと狭いダイニングテーブルで向かい合って、集中したり、目配せしたり、ちょっと話したり。それはそれで楽しかった。
通勤時間がなくなるだけで割と余裕が出て、毎日ご飯を作ったり、平日にはなかなかない、2人でドラマを見たり、会話が増えたり。こういう時間は全く今までなかったな、これが夫婦だ、と結婚してしばらく経つ中で久々に実感した。

1週間ぶりに出社すると、それはそれで人との会話がちょっと嬉しくて、なんだか日常を感じた。相変わらず、仕事は疲れるしくたくたになる。帰ってご飯を作って黙々と食べる。だらっとしてからいやいや食器を洗ってお風呂に入る。今日もまたいつもの日常を過ごしてから布団に入って、明日に備える。

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